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翌日、教室に入るとクラスメイト達が挨拶してくれた。
「フィーナ、おはよう!」
「おはようございます」
笑顔で挨拶を返すと自分の席に向かう。そして座ると教科書などを準備するのだった。それからしばらくすると教師が入ってきたので授業が始まったのである。私は真面目に授業を受けることにした。だが、心の中では昨日のカイル殿下のことで頭がいっぱいになっていたのだった……
昼休みになるといつものように食堂へと向かうことにした。そして注文を済ませると空いている席を探して座った。周りを見渡すと他の生徒たちの姿が目に入ったが特に知り合いはおらず一人で食べることになった。
「いただきます」
手を合わせて言うと食事を始めることにした。今日のメニューはカレーライスである。スプーンですくって口に運ぶとスパイシーな味わいが口の中に広がった。とても美味しかったため思わず笑みが溢れてしまう。
すると突然、声をかけられたので顔を上げると目の前にカイル殿下が立っていた。
「ご一緒してもいいかな?」
笑顔で尋ねられたので私は戸惑いながらも返事をした。
「はい、もちろんです!」
(まさか向こうから来てくれるなんて……!)
心の中でガッツポーズをする。カイル殿下は私の向かいの席に座ると話しかけてきた。
「フィーナはカレーライスが好きなのかい?」
「はい! 私、辛いものが好きなんです!」
(えへへ……カイル殿下と話せちゃった……!)
心の中で喜びながらも笑顔を作る。そしてその後も会話を楽しんだのだった。昼食を終えた私は教室に戻ると自分の席に座ると一息つくことにした。すると隣の席に座っていた友人に話しかけられる。
「ねえ、フィーナ」
(ん?)
なんだろうと思って振り向くと彼女は少し興奮した様子だった。一体どうしたのだろうと思っていると突然、予想外のことを言われる。
「あなたってカイル殿下と付き合っているの?」
「えっ!?」
(な、なんで!?)
突然の言葉に動揺してしまう。まさかそんなことを聞かれるとは思っていなかったので焦ってしまった。だが、ここで変に誤魔化すわけにもいかないと思い正直に答えることにした。
「いや……付き合ってないよ? なんでそう思ったの?」
(まあ、実際には恋人同士なんだけどね……!)
心の中で呟きながら聞き返すと彼女は説明してくれた。どうやら昨日、私とカイル殿下が一緒にいたところを目撃した生徒がいるらしい。しかもその後、二人が一緒に帰ったことが噂になっているらしいのだ。
(うっそぉ……見られてたんだ……)
思わず頭を抱えたくなる衝動に駆られるがなんとか我慢する。そして友人の話に耳を傾けることにした。すると彼女は興奮した様子で話を続ける。
「やっぱりそうなのね……! でも、それならどうして一緒にいたの?」
興味津々といった様子で尋ねられたので私は少し悩んでから答えた。
「えっと……その……実はカイル殿下に声をかけられて……」
(本当は告白されたんだけど……)
そこまで言うと恥ずかしくなってしまったため言葉を濁してしまった。すると彼女は目を輝かせて言った。
「すごいじゃない! もう恋人同士なのね!」
(うぅ……違うのに……)
心の中で涙を流すが、否定するわけにもいかず黙っているしかなかった。だが、ここで予想外のことが起きる。なんとカイル殿下がやってきたのだ。彼は私を見つけると近くまでやってくると言った。
「フィーナ、今から少し時間をもらえるかい?」
(え……?)
突然のことに頭が追いつかない。だが、断るわけにもいかず了承することにした。
「はい……大丈夫ですけど……」
(もしかして告白!?)
期待に胸を膨らませながらカイル殿下の後について行くことにする。そして辿り着いた場所は学園の裏庭だった。
(あれ……? ここって人気のない場所だよね……?)
疑問に思っていると彼は私に向き直って言った。
「フィーナ、話があるんだ」
(やっぱり告白!?)
そうに違いないと確信して胸を高鳴らせる。そしてついにカイル殿下が口を開いた。
「付き合って欲しい」
(やったぁぁ!!)
心の中でガッツポーズをする。まさかこんなに早く告白されるとは思ってもいなかったのでとても嬉しかった。だが、喜びも束の間、すぐに次の言葉が続けられた。
「魔法の練習に付き合って欲しい」
(……え?)
一瞬、何を言っているのか理解できなかった。だが、冷静に考えてみると当然のことだと気づく。なぜなら私たちは聖女と賢者としての関係なのだから魔法の練習をするのは当然のことだったのだ。
「もちろんいいですよ!」
(カイル殿下と一緒にいられるなら断る理由なんてありません!)
心の中で叫ぶと笑顔で答えることができたのだった。それからしばらくの間、私たちは魔法の練習をすることになったのだが……
「……あっ……!」
不意に転んでしまい地面に倒れ込んでしまった。幸い怪我はなかったが痛みで動けなくなってしまっていた。するとそんな私を見かねたのかカイル殿下が近寄ってくると言った。
「大丈夫かい?」
心配そうな表情を浮かべながら手を差し伸べてくれる。そんな彼を見ていると胸がキュンとした。
(やっぱり優しいなぁ……)
そんなことを考えながら私は彼の手を取ると立ち上がったのだった。その後はお互いに無言で見つめ合う時間が続いたのだが、それすらも心地よかったため気にしなかったのである……
(ああ……幸せだなぁ……)
そんなことを思いながら帰路につくのであった。
「フィーナ、おはよう!」
「おはようございます」
笑顔で挨拶を返すと自分の席に向かう。そして座ると教科書などを準備するのだった。それからしばらくすると教師が入ってきたので授業が始まったのである。私は真面目に授業を受けることにした。だが、心の中では昨日のカイル殿下のことで頭がいっぱいになっていたのだった……
昼休みになるといつものように食堂へと向かうことにした。そして注文を済ませると空いている席を探して座った。周りを見渡すと他の生徒たちの姿が目に入ったが特に知り合いはおらず一人で食べることになった。
「いただきます」
手を合わせて言うと食事を始めることにした。今日のメニューはカレーライスである。スプーンですくって口に運ぶとスパイシーな味わいが口の中に広がった。とても美味しかったため思わず笑みが溢れてしまう。
すると突然、声をかけられたので顔を上げると目の前にカイル殿下が立っていた。
「ご一緒してもいいかな?」
笑顔で尋ねられたので私は戸惑いながらも返事をした。
「はい、もちろんです!」
(まさか向こうから来てくれるなんて……!)
心の中でガッツポーズをする。カイル殿下は私の向かいの席に座ると話しかけてきた。
「フィーナはカレーライスが好きなのかい?」
「はい! 私、辛いものが好きなんです!」
(えへへ……カイル殿下と話せちゃった……!)
心の中で喜びながらも笑顔を作る。そしてその後も会話を楽しんだのだった。昼食を終えた私は教室に戻ると自分の席に座ると一息つくことにした。すると隣の席に座っていた友人に話しかけられる。
「ねえ、フィーナ」
(ん?)
なんだろうと思って振り向くと彼女は少し興奮した様子だった。一体どうしたのだろうと思っていると突然、予想外のことを言われる。
「あなたってカイル殿下と付き合っているの?」
「えっ!?」
(な、なんで!?)
突然の言葉に動揺してしまう。まさかそんなことを聞かれるとは思っていなかったので焦ってしまった。だが、ここで変に誤魔化すわけにもいかないと思い正直に答えることにした。
「いや……付き合ってないよ? なんでそう思ったの?」
(まあ、実際には恋人同士なんだけどね……!)
心の中で呟きながら聞き返すと彼女は説明してくれた。どうやら昨日、私とカイル殿下が一緒にいたところを目撃した生徒がいるらしい。しかもその後、二人が一緒に帰ったことが噂になっているらしいのだ。
(うっそぉ……見られてたんだ……)
思わず頭を抱えたくなる衝動に駆られるがなんとか我慢する。そして友人の話に耳を傾けることにした。すると彼女は興奮した様子で話を続ける。
「やっぱりそうなのね……! でも、それならどうして一緒にいたの?」
興味津々といった様子で尋ねられたので私は少し悩んでから答えた。
「えっと……その……実はカイル殿下に声をかけられて……」
(本当は告白されたんだけど……)
そこまで言うと恥ずかしくなってしまったため言葉を濁してしまった。すると彼女は目を輝かせて言った。
「すごいじゃない! もう恋人同士なのね!」
(うぅ……違うのに……)
心の中で涙を流すが、否定するわけにもいかず黙っているしかなかった。だが、ここで予想外のことが起きる。なんとカイル殿下がやってきたのだ。彼は私を見つけると近くまでやってくると言った。
「フィーナ、今から少し時間をもらえるかい?」
(え……?)
突然のことに頭が追いつかない。だが、断るわけにもいかず了承することにした。
「はい……大丈夫ですけど……」
(もしかして告白!?)
期待に胸を膨らませながらカイル殿下の後について行くことにする。そして辿り着いた場所は学園の裏庭だった。
(あれ……? ここって人気のない場所だよね……?)
疑問に思っていると彼は私に向き直って言った。
「フィーナ、話があるんだ」
(やっぱり告白!?)
そうに違いないと確信して胸を高鳴らせる。そしてついにカイル殿下が口を開いた。
「付き合って欲しい」
(やったぁぁ!!)
心の中でガッツポーズをする。まさかこんなに早く告白されるとは思ってもいなかったのでとても嬉しかった。だが、喜びも束の間、すぐに次の言葉が続けられた。
「魔法の練習に付き合って欲しい」
(……え?)
一瞬、何を言っているのか理解できなかった。だが、冷静に考えてみると当然のことだと気づく。なぜなら私たちは聖女と賢者としての関係なのだから魔法の練習をするのは当然のことだったのだ。
「もちろんいいですよ!」
(カイル殿下と一緒にいられるなら断る理由なんてありません!)
心の中で叫ぶと笑顔で答えることができたのだった。それからしばらくの間、私たちは魔法の練習をすることになったのだが……
「……あっ……!」
不意に転んでしまい地面に倒れ込んでしまった。幸い怪我はなかったが痛みで動けなくなってしまっていた。するとそんな私を見かねたのかカイル殿下が近寄ってくると言った。
「大丈夫かい?」
心配そうな表情を浮かべながら手を差し伸べてくれる。そんな彼を見ていると胸がキュンとした。
(やっぱり優しいなぁ……)
そんなことを考えながら私は彼の手を取ると立ち上がったのだった。その後はお互いに無言で見つめ合う時間が続いたのだが、それすらも心地よかったため気にしなかったのである……
(ああ……幸せだなぁ……)
そんなことを思いながら帰路につくのであった。
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