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第140話 俺、海の氷を溶かしてやる
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「おいビーディ、ラクシャーサの仮面を外せ。悪目立ちする」
『わかってるって』
道行く住民達は明らかに恐れおののいている。声を上げて逃げる者者いれば、その場で失禁する者、自宅に逃げ込む者様々だ。間違いなくビーディの姿を見ての反応であるのは確定的に明らかである。
「――早く外せ。仕事に支障が出るかもしれんだろうが」
『ちょっと待ってよ。俺素顔の無骨さがあんまり好きじゃないんだよ』
「顔のデザイン変えればいいだろ」
『あれ有限じゃん。しかも俺、けんちゃんみたいに手先器用じゃないしさー。――ふぅ』
彼は顔面に張り付いた半透明の仮面を手で引き剥がし、インベントリを起動させ、正四角形のボックスの中へと放り込むと即座にボックスが消え失せる。
黒鉄色のフレームがむき出し状態。口、耳、鼻がなく本来眼がある所に2つの発光フレームがはまった彼の顔を見て、おっさんがあんぐりと口を開けている。
『なに? なんか付いてる?』
「お前達は……一体何者なんだ?」
『正義の味方1号&2号だよ?』
「何でもいいわ! 説明したところでおっさんには理解できねぇんだから、俺の言う通りに港まで案内すりゃいいんだよ!」
「あ、あぁこっちだ」
おっさんの後に付いてき、住宅街を抜けると開けた場所に出た。向こうに4隻の帆船を確認できるが、この寒さでどの船も海と一緒に凍ってしまっている様だ。港自体も人はほとんどおらず酷く寂れてしまっている。
俺とビーディは波止場で立ち止まる。
「では、頼むぞ……」
「あぁ良いだろう。おいビーディ」
『ハイよ』
彼がそう言うと凍てついた海に巨大な亀裂がいくつも奔り全ての船が宙に浮き出した。
流石だな。伊達にサイコモジュールをいくつも機体に装備している訳ではないな。俺1人では2隻ずつが限界だ。
「さて、次は俺の番だな」
画面にニライカナイのインジケータを表示させる。先の戦争で1度使ってしまっている為、数値は25%を指している。
まぁ、海の氷を溶かす程度には申し分ないか。
《インターセプト完了》
「よし、ニライカナイ照射!」
眩い閃光が上空から現れ海に照射されたレーザーが海を溶かしていく。
よし、仕上げといくか。
「エレメンタルエンチャント! ウンディーネ、ヘルイフリート!」
炎で形成されたトカゲが俺の肩に顕現し、続いて俺の側で波がうねりを上げ真っ青な人魚が波の中から出現した。
ヘルイフリート、ウンディーネの両者からそれぞれ炎が滾る赤い球体との巨大な雫が中央に見える蒼い球体が海に向かって放たれ、赤い色と青色に光を一瞬放ったかと思うと姿がかき消えた。
「い……今のは……」
「加護を付与してやった。炎の精霊神であるヘルイフリートと、水の精霊神であるウンディーネの加護だぞ? もう二度と港が凍りついて船が出せないなんて事にはならねぇ」
「あ……ありがとう御座います! この御恩は一生忘れません!」
おっさんが俺に縋り付いてくる。
「あーやめろ! うっとおしい! 別にお前の為にやったんじゃねぇ!」
『すげーテンプレなツンデレ』
「良いからお前はとっとと船を降ろせ!」
『ハイハイ』
宙に浮いていた船の着水を見届けた俺は、インベントリから幾らか金を入れたズタ袋をおっさんに渡す。
「服破っちまったからそれで新しい服でも買え。じゃ、俺達帰るから。後は自分でなんとかしろよ」
「あ、あの!」
「んだよ、まだなんか用があんのかよ」
「お名前を……」
「ただの通りすがりの正義の味方1号だよ。またの名をゲインだ」
『通りすがりのと言っておきなら、結局名前言っちゃうっていう』
「うるせーバカ」
俺達はおっさんの礼の言葉を背に受けながら帝国を後にし出入り口まで戻ってきた。
牢屋の側で陽炎が突っ立っているのが目に入った。
「ウェイクアップ、バイオアーマー陽炎」
そう言うと装備一式がバラバラになり、俺に向かって飛んでくると即座に躰へ着装される。
脳裏にアマテラスの姿が浮かび上がる。
「お帰りやす。ダーリン」
「あぁ大丈ないか?」
「特に変わったことは何もおまへん」
「そうか。よし、ではこれからエルフの森へ向かうぞ」
『いやー冒険してるなぁ』
「良いから早くジークフリートにナイトパーティを連結させろ」
『了解』
俺はライトニングボルトへ近づくと後創成期部のカーゴドアがひとりでに開き始める。
輸送機の中へ入っていき、座っているエルフ達は不安と期待が入り交じった目で俺に注目している。
「――不安要素は取り除いた。だから安心してくれていい」
エルフ達の歓声を背に鋼鉄製のドアを開け操縦席へ座る。
『おはようございます。ゲイン様』
「ライトニングボルト、垂直離陸後75度回頭し北西にあるエルフの森へ迎え」
『承知致しました。輸送開始致します』
眼前の景色がせり上がっていき右に回転を開始。輸送機がゆっくりと飛行を始めた。
白い蒸気を上げる蒸気機関車に繋がれた電車が眼下に見える。
「いざゆかん、エルフの森へ」
楽しみだな~。エルフの森。まさにロープレの王道って感じ
俺は否が応でも上がるテンションにウキウキ気分で目的地へ向かうのだった。
『わかってるって』
道行く住民達は明らかに恐れおののいている。声を上げて逃げる者者いれば、その場で失禁する者、自宅に逃げ込む者様々だ。間違いなくビーディの姿を見ての反応であるのは確定的に明らかである。
「――早く外せ。仕事に支障が出るかもしれんだろうが」
『ちょっと待ってよ。俺素顔の無骨さがあんまり好きじゃないんだよ』
「顔のデザイン変えればいいだろ」
『あれ有限じゃん。しかも俺、けんちゃんみたいに手先器用じゃないしさー。――ふぅ』
彼は顔面に張り付いた半透明の仮面を手で引き剥がし、インベントリを起動させ、正四角形のボックスの中へと放り込むと即座にボックスが消え失せる。
黒鉄色のフレームがむき出し状態。口、耳、鼻がなく本来眼がある所に2つの発光フレームがはまった彼の顔を見て、おっさんがあんぐりと口を開けている。
『なに? なんか付いてる?』
「お前達は……一体何者なんだ?」
『正義の味方1号&2号だよ?』
「何でもいいわ! 説明したところでおっさんには理解できねぇんだから、俺の言う通りに港まで案内すりゃいいんだよ!」
「あ、あぁこっちだ」
おっさんの後に付いてき、住宅街を抜けると開けた場所に出た。向こうに4隻の帆船を確認できるが、この寒さでどの船も海と一緒に凍ってしまっている様だ。港自体も人はほとんどおらず酷く寂れてしまっている。
俺とビーディは波止場で立ち止まる。
「では、頼むぞ……」
「あぁ良いだろう。おいビーディ」
『ハイよ』
彼がそう言うと凍てついた海に巨大な亀裂がいくつも奔り全ての船が宙に浮き出した。
流石だな。伊達にサイコモジュールをいくつも機体に装備している訳ではないな。俺1人では2隻ずつが限界だ。
「さて、次は俺の番だな」
画面にニライカナイのインジケータを表示させる。先の戦争で1度使ってしまっている為、数値は25%を指している。
まぁ、海の氷を溶かす程度には申し分ないか。
《インターセプト完了》
「よし、ニライカナイ照射!」
眩い閃光が上空から現れ海に照射されたレーザーが海を溶かしていく。
よし、仕上げといくか。
「エレメンタルエンチャント! ウンディーネ、ヘルイフリート!」
炎で形成されたトカゲが俺の肩に顕現し、続いて俺の側で波がうねりを上げ真っ青な人魚が波の中から出現した。
ヘルイフリート、ウンディーネの両者からそれぞれ炎が滾る赤い球体との巨大な雫が中央に見える蒼い球体が海に向かって放たれ、赤い色と青色に光を一瞬放ったかと思うと姿がかき消えた。
「い……今のは……」
「加護を付与してやった。炎の精霊神であるヘルイフリートと、水の精霊神であるウンディーネの加護だぞ? もう二度と港が凍りついて船が出せないなんて事にはならねぇ」
「あ……ありがとう御座います! この御恩は一生忘れません!」
おっさんが俺に縋り付いてくる。
「あーやめろ! うっとおしい! 別にお前の為にやったんじゃねぇ!」
『すげーテンプレなツンデレ』
「良いからお前はとっとと船を降ろせ!」
『ハイハイ』
宙に浮いていた船の着水を見届けた俺は、インベントリから幾らか金を入れたズタ袋をおっさんに渡す。
「服破っちまったからそれで新しい服でも買え。じゃ、俺達帰るから。後は自分でなんとかしろよ」
「あ、あの!」
「んだよ、まだなんか用があんのかよ」
「お名前を……」
「ただの通りすがりの正義の味方1号だよ。またの名をゲインだ」
『通りすがりのと言っておきなら、結局名前言っちゃうっていう』
「うるせーバカ」
俺達はおっさんの礼の言葉を背に受けながら帝国を後にし出入り口まで戻ってきた。
牢屋の側で陽炎が突っ立っているのが目に入った。
「ウェイクアップ、バイオアーマー陽炎」
そう言うと装備一式がバラバラになり、俺に向かって飛んでくると即座に躰へ着装される。
脳裏にアマテラスの姿が浮かび上がる。
「お帰りやす。ダーリン」
「あぁ大丈ないか?」
「特に変わったことは何もおまへん」
「そうか。よし、ではこれからエルフの森へ向かうぞ」
『いやー冒険してるなぁ』
「良いから早くジークフリートにナイトパーティを連結させろ」
『了解』
俺はライトニングボルトへ近づくと後創成期部のカーゴドアがひとりでに開き始める。
輸送機の中へ入っていき、座っているエルフ達は不安と期待が入り交じった目で俺に注目している。
「――不安要素は取り除いた。だから安心してくれていい」
エルフ達の歓声を背に鋼鉄製のドアを開け操縦席へ座る。
『おはようございます。ゲイン様』
「ライトニングボルト、垂直離陸後75度回頭し北西にあるエルフの森へ迎え」
『承知致しました。輸送開始致します』
眼前の景色がせり上がっていき右に回転を開始。輸送機がゆっくりと飛行を始めた。
白い蒸気を上げる蒸気機関車に繋がれた電車が眼下に見える。
「いざゆかん、エルフの森へ」
楽しみだな~。エルフの森。まさにロープレの王道って感じ
俺は否が応でも上がるテンションにウキウキ気分で目的地へ向かうのだった。
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