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この天蓋の先にはジークヴァルトがいる。
そう思うと、オリヴィアの鼓動は次第に激しく鳴り始めていく。
彼の言っている説明を聞きたいと思う一方で、本人の口から更に酷いことを告げられるのではないかとオリヴィアは怯えていた。
後者の方が勝っていたのか彼女の体は震え、声を出そうという気持ちにはなれなかった。
夜会であの場に立っていた彼は、これから起こることを全て把握していたのだろう。
リーゼルが現れてから、オリヴィアはいつも蚊帳の外で詳しいことは何一つ教えて貰えなかった。
ただ我慢して欲しいと一方的に言われて、オリヴィアはジークヴァルトの言葉を信じて待った。
その結果、あのような信じられない出来事が目の前で行われた。
オリヴィアが追い込まれることも、彼女の思いを踏みにじる行為をすることも、ジークヴァルトは全て分かった上で行動に踏み切ったはずだ。
あの場で彼が一切動かなかったことが何よりもの証拠と言える。
そのことでオリヴィアの心はズタズタに折れて、もう彼の言葉など信じられなくなってしまった。
「リヴィ、いるなら私の名を呼んで欲しい」
ジークヴァルトの声はどこか切なげに聞こえていたが、オリヴィアが彼の名を呼ぶことはなかった。
しかし彼も簡単には引き下がろうとはしない。
「リヴィ、そこにいるのだろう。頼む、私に声を聞かせて欲しい」
(……いや、来ないでっ……)
オリヴィアは震えた手で耳を塞ぎ、彼の声を遮断しようとしていた。
あんなにも好きだったはずなのに、今はジークヴァルトの存在が怖くて堪らない。
きっと全ての説明をされた後に、婚約破棄を言い渡されるに違いない。
オリヴィアはそう思い、恐れていた。
「ジークヴァルト、やめなさい」
「母上は黙っていてください」
「いい加減になさい。勝手に私の離宮に乗り込んで来たかと思えば、今度はなんですか。これ以上私の話を無視するつもりならば、外にいる護衛を呼んで直ぐにでも貴方を引っ捕らえて貰うまでです」
「……母上っ!」
耳を塞いでいても、僅かな声は入ってくる。
二人は未だに口論し続けていて、どちらも譲らない様子だ。
王妃の声は叱りつけるような厳しいもののように感じ取れる。
「今すぐにここから出て行きなさい。そして自分がしたことが本当に正しい行動だったのか、今一度考えることね」
「母上だって事情を全て把握していたはずだ。リヴィの身の安全を一番に考えるためには、ああする他に選択肢はなかったのだと……」
「呆れた……。それはあくまでも陛下の意見でしょう? 貴方はいつもそう。自分では一切考えずに他人の意見を受け入れるだけ。従うだけなら子供にだって出来るわ。自分で考えて決断出来ないような人間が、王になんてなれっこない。この国を守るなんて堂々と言っていたけど、大切なひと一人を守れないような人間に、そんなことが果たして出来るのかしらね? 私には薄っぺらい言葉にしか聞こえなかったわ」
「……っ」
「何も言い返せないのであれば、今すぐに出て行きなさい」
王妃が冷めた声を吐き捨てると、暫くの間重い沈黙が続いた。
それから少し経つと、靴音が遠ざかっていくのを感じる。
きっとジークヴァルトはこの部屋から出て行ったのだろう。
そのことにオリヴィアは安堵していた。
結論から言えば、何も解決出来ていない。
しかし、問題を先延ばしにすることは出来た。
いつまでも避けて通れる問題でないことは、オリヴィアも分かっていた。
だけど今はこれからの事を考える時間が欲しかった。
「オリヴィアさん、起きてしまったかしら?」
天蓋の外から優しい王妃の声が響いてきた。
「……は、い。申し訳ありません……」
「開けるわよ」
オリヴィアが小さな声を上げると、天蓋がゆっくりと開かれていく。
王妃の顔が視界に入ってくると、オリヴィアは安堵したように小さく微笑んだ。
この人はオリヴィアの味方だと認識出来ているからこそ、そのような表情になったのだろう。
「オリヴィアさんが謝る必要なんてないわ。突然押しかけてきたジークヴァルトが悪いのだから。だけど少し言い過ぎてしまったかしらね。考え方を改めさせるきっかけになればいいのだけど……」
「結構厳しいことを言われてましたよね。でも、おかげで助かりました。今はまだ、ジーク様に会うのは少し怖くて……」
「分かっているわ。あんなことがあったばかりなのだから、今は心を休ませることを優先していいのよ。今日はここに泊まっていくといいわ。貴女の邸にはイヴァン様が向かってくれたから、今頃公爵に説明をしてくれているんじゃないかしら?」
「イヴァン様が……? 今日はあの方に助けて貰ってばかりいる気がします。イヴァン様は一体何者なんですか? 王妃様と親しげに話していたり、メルさんのことも知っているように見えました」
今までの一連の出来事から、イヴァンはただの留学生とは思えなくなっていた。
「そのことは後で本人から直接聞いて。私の一存で勝手に話していいものか分からないから」
「……そうですか」
今の王妃の言葉が既に答えになっているとオリヴィアは感じていた。
この国の王妃でさえも、勝手に彼の身分を明かすことが出来ない。
特例はあるのかもしれないが、恐らくイヴァンは相当高い地位にいる人間。
アルティナ帝国の皇族か、あるいはその親族であることは間違いないだろう。
そう考えると、ジークヴァルトと友人関係と言っていたことも簡単に納得出来てしまう。
以前ジークヴァルトはアルティナに視察に行ったことがあった。
恐らくその時にイヴァンと知り合ったのだろう。
「今日はこのまま休みなさい。明日朝早くにここを出れば、きっと人目に付くこともなく帰れるはずよ」
「王妃様には色々とご迷惑をおかけしてしまって、申し訳ありません」
「謝らなくていいと、何度言わせる気かしら? それに今回の事で非があるのはこちらの方よ」
「……っ、ごめんな……」
オリヴィアはつられて謝りそうになってしまい、慌てて口元を手で押させた。
「私はこれで失礼させて頂くけど、外には護衛を置いておくから安心して休みなさい」
「はい、ありがとうございます」
王妃はそう言うと再び天蓋を閉じて、部屋から去って行った。
この部屋にはオリヴィア一人きりになり、辺りは静寂に包まれる。
一度は目を閉じて眠ろうと努力したが、色々なことが頭を巡り逆に目が冴えてしまう。
(これから、わたしはどうすればいいのかしら……)
オリヴィアはずっとそのことばかり考えていた。
今はまだジークヴァルトの婚約者であるが、それがいつまで続くのかはわからない。
なによりもそのジークヴァルトが怖いと感じてしまい、さっきは会うことを躊躇ってしまった。
こんな状態が続けば、当然婚約者として立つことも、役目を果たすことも難しくなるだろう。
そして一番の問題は、オリヴィア自身がジークヴァルトを信じられなくなってしまったということだ。
彼女にとって信じることが、彼女自身を強くさせる糧になっていた。
それがなくなってしまった今、オリヴィアは完全に自信を失っていた。
(もう……無理かも。わたし、王太子妃になんてなれない気がする……)
オリヴィアはそんなことを抱き始めていた。
そう思うと、オリヴィアの鼓動は次第に激しく鳴り始めていく。
彼の言っている説明を聞きたいと思う一方で、本人の口から更に酷いことを告げられるのではないかとオリヴィアは怯えていた。
後者の方が勝っていたのか彼女の体は震え、声を出そうという気持ちにはなれなかった。
夜会であの場に立っていた彼は、これから起こることを全て把握していたのだろう。
リーゼルが現れてから、オリヴィアはいつも蚊帳の外で詳しいことは何一つ教えて貰えなかった。
ただ我慢して欲しいと一方的に言われて、オリヴィアはジークヴァルトの言葉を信じて待った。
その結果、あのような信じられない出来事が目の前で行われた。
オリヴィアが追い込まれることも、彼女の思いを踏みにじる行為をすることも、ジークヴァルトは全て分かった上で行動に踏み切ったはずだ。
あの場で彼が一切動かなかったことが何よりもの証拠と言える。
そのことでオリヴィアの心はズタズタに折れて、もう彼の言葉など信じられなくなってしまった。
「リヴィ、いるなら私の名を呼んで欲しい」
ジークヴァルトの声はどこか切なげに聞こえていたが、オリヴィアが彼の名を呼ぶことはなかった。
しかし彼も簡単には引き下がろうとはしない。
「リヴィ、そこにいるのだろう。頼む、私に声を聞かせて欲しい」
(……いや、来ないでっ……)
オリヴィアは震えた手で耳を塞ぎ、彼の声を遮断しようとしていた。
あんなにも好きだったはずなのに、今はジークヴァルトの存在が怖くて堪らない。
きっと全ての説明をされた後に、婚約破棄を言い渡されるに違いない。
オリヴィアはそう思い、恐れていた。
「ジークヴァルト、やめなさい」
「母上は黙っていてください」
「いい加減になさい。勝手に私の離宮に乗り込んで来たかと思えば、今度はなんですか。これ以上私の話を無視するつもりならば、外にいる護衛を呼んで直ぐにでも貴方を引っ捕らえて貰うまでです」
「……母上っ!」
耳を塞いでいても、僅かな声は入ってくる。
二人は未だに口論し続けていて、どちらも譲らない様子だ。
王妃の声は叱りつけるような厳しいもののように感じ取れる。
「今すぐにここから出て行きなさい。そして自分がしたことが本当に正しい行動だったのか、今一度考えることね」
「母上だって事情を全て把握していたはずだ。リヴィの身の安全を一番に考えるためには、ああする他に選択肢はなかったのだと……」
「呆れた……。それはあくまでも陛下の意見でしょう? 貴方はいつもそう。自分では一切考えずに他人の意見を受け入れるだけ。従うだけなら子供にだって出来るわ。自分で考えて決断出来ないような人間が、王になんてなれっこない。この国を守るなんて堂々と言っていたけど、大切なひと一人を守れないような人間に、そんなことが果たして出来るのかしらね? 私には薄っぺらい言葉にしか聞こえなかったわ」
「……っ」
「何も言い返せないのであれば、今すぐに出て行きなさい」
王妃が冷めた声を吐き捨てると、暫くの間重い沈黙が続いた。
それから少し経つと、靴音が遠ざかっていくのを感じる。
きっとジークヴァルトはこの部屋から出て行ったのだろう。
そのことにオリヴィアは安堵していた。
結論から言えば、何も解決出来ていない。
しかし、問題を先延ばしにすることは出来た。
いつまでも避けて通れる問題でないことは、オリヴィアも分かっていた。
だけど今はこれからの事を考える時間が欲しかった。
「オリヴィアさん、起きてしまったかしら?」
天蓋の外から優しい王妃の声が響いてきた。
「……は、い。申し訳ありません……」
「開けるわよ」
オリヴィアが小さな声を上げると、天蓋がゆっくりと開かれていく。
王妃の顔が視界に入ってくると、オリヴィアは安堵したように小さく微笑んだ。
この人はオリヴィアの味方だと認識出来ているからこそ、そのような表情になったのだろう。
「オリヴィアさんが謝る必要なんてないわ。突然押しかけてきたジークヴァルトが悪いのだから。だけど少し言い過ぎてしまったかしらね。考え方を改めさせるきっかけになればいいのだけど……」
「結構厳しいことを言われてましたよね。でも、おかげで助かりました。今はまだ、ジーク様に会うのは少し怖くて……」
「分かっているわ。あんなことがあったばかりなのだから、今は心を休ませることを優先していいのよ。今日はここに泊まっていくといいわ。貴女の邸にはイヴァン様が向かってくれたから、今頃公爵に説明をしてくれているんじゃないかしら?」
「イヴァン様が……? 今日はあの方に助けて貰ってばかりいる気がします。イヴァン様は一体何者なんですか? 王妃様と親しげに話していたり、メルさんのことも知っているように見えました」
今までの一連の出来事から、イヴァンはただの留学生とは思えなくなっていた。
「そのことは後で本人から直接聞いて。私の一存で勝手に話していいものか分からないから」
「……そうですか」
今の王妃の言葉が既に答えになっているとオリヴィアは感じていた。
この国の王妃でさえも、勝手に彼の身分を明かすことが出来ない。
特例はあるのかもしれないが、恐らくイヴァンは相当高い地位にいる人間。
アルティナ帝国の皇族か、あるいはその親族であることは間違いないだろう。
そう考えると、ジークヴァルトと友人関係と言っていたことも簡単に納得出来てしまう。
以前ジークヴァルトはアルティナに視察に行ったことがあった。
恐らくその時にイヴァンと知り合ったのだろう。
「今日はこのまま休みなさい。明日朝早くにここを出れば、きっと人目に付くこともなく帰れるはずよ」
「王妃様には色々とご迷惑をおかけしてしまって、申し訳ありません」
「謝らなくていいと、何度言わせる気かしら? それに今回の事で非があるのはこちらの方よ」
「……っ、ごめんな……」
オリヴィアはつられて謝りそうになってしまい、慌てて口元を手で押させた。
「私はこれで失礼させて頂くけど、外には護衛を置いておくから安心して休みなさい」
「はい、ありがとうございます」
王妃はそう言うと再び天蓋を閉じて、部屋から去って行った。
この部屋にはオリヴィア一人きりになり、辺りは静寂に包まれる。
一度は目を閉じて眠ろうと努力したが、色々なことが頭を巡り逆に目が冴えてしまう。
(これから、わたしはどうすればいいのかしら……)
オリヴィアはずっとそのことばかり考えていた。
今はまだジークヴァルトの婚約者であるが、それがいつまで続くのかはわからない。
なによりもそのジークヴァルトが怖いと感じてしまい、さっきは会うことを躊躇ってしまった。
こんな状態が続けば、当然婚約者として立つことも、役目を果たすことも難しくなるだろう。
そして一番の問題は、オリヴィア自身がジークヴァルトを信じられなくなってしまったということだ。
彼女にとって信じることが、彼女自身を強くさせる糧になっていた。
それがなくなってしまった今、オリヴィアは完全に自信を失っていた。
(もう……無理かも。わたし、王太子妃になんてなれない気がする……)
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