18 / 40
小話3. パーティーのおもひで
しおりを挟む
ソフィアは学生時代、よくドミトリーと一緒にいた。それは、ソフィアの近寄るなオーラに負けず、話しかけてきた人がドミトリーだけであり、ドミトリーがソフィアを人よけとして、体よく使っていたということが理由だった。ドミトリーはお坊ちゃんの取り巻きやご令嬢の媚びに疲れていたのだ。
ラインハルトに会う前のソフィアはかなり尖っていて、さすがにやばい気がすると面倒見の良いドミトリーがソフィアをパーティーに連れ出したことがあった。ソフィアはいつもは理由をつけてサボっているが、ドミトリーに一度は参加して見ろ、料理は美味しいと説得されたのだ。
「ドミトリー様と仲がよろしいのですね」
「ドミトリー様はお優しいので何も言われないけれど、迷惑がっていますわ」
ソフィアは誰ですかあんたという見知らぬ令嬢達に突然話かけられた。令嬢達は普段話しかけにくいソフィアにパーティーの機を乗じて接触したのだった。
「誰だか知らないが、ドミトリーに直接ご忠告して差し上げたらどうかな?」
「わ、私たちはあなたとドミトリー様のクラスメートですよ!!」
「知らないなんて、失礼よ!」
ソフィアは料理美味しいと堪能していた時に邪魔をされて不快だった。ついでに言うと、興味ない人間の顔は覚えない性質だ。
「へえ、そう。じゃあ、なおさらドミトリーに言えばいいじゃん。ほら、ろくな人間と話してないで私たちの方見てってさあ?」
「な……!」
「言えない感じ?だから、私にそんなこと言ってくるワケ?随分陰湿だね」
「無礼な!!この方は伯爵家の令嬢でお父上は騎士団長なのよ!誰に向かってそんな口を聞いていて!?」
「本命にアプローチできない愚か者」
「こ、この……!」
「あー、ごめんね。さすがに言い過ぎたよ。今から詫びにドミトリー呼んでこようか?」
「結構よ、あなたにそんなことしてもらう必要はありません!!!!!」
ご令嬢は顔を真っ赤にして叫んでいる。パーティーの場で悪目立ちしていた。
「それより、ドミトリー様はあなたのような人に呼び捨てにされるような方ではないわ!!」
「ふふふ、ご存知ないのかもしれないが、ここは学校だ。身分に関係なく皆等しく対等の学舎。もう一回、校則を読み直した方がいい」
「この、お父様に!」
言いつけるだの何だの言おうとしたのだろう。その時、仲裁が入った。
「そこまで」
「ドミトリー様!」
「やぁ、ドミトリー。ちょうどよかった。この方達があなたとお話して、あわよくば心を射止めたいらしいよ」
「……その、すまない。私に何か用かな?」
ドミトリーはソフィアに事を荒立てるなバカという目を向けた。
「いえ、その」
「無いならいい。それに、ドミトリー様と呼ばれるのは気恥ずかしいから、ドミトリーでいいよ」
「あっ、はい」
では失礼しますと令嬢方はそそくさと去った。ソフィアはにっこり笑顔で、バイバイと手を振っている。
「ソフィア」
「手は出してない」
ソフィアは顔でも叩いたら大人しくなるかなと思ったが、さすがに自重した。
「……もう少し当たり障りのない話し方はできないのか?」
「私には難しいな。ご教授いただけます?ドミトリー様?」
「君に様付けされると寒気がするからやめてくれ」
「ふふふ」
「とりあえず、そうだねとか相槌打って、目上の人にはですます付けとけば上手くいく」
「それ、コツ?いいこと聞いたー」
「なあ、そんなに貴族が嫌いか?」
「……嫌味を言われるのが嫌いなんだ。言うのはいいけれどね」
「相変わらず身勝手が過ぎる」
「ふふふ、あと、父親とは反りが合わなくてね。父は典型的な貴族っていう性格なんだ。それもあって、あーいうの貴族っぽい感じの人が嫌い。関わり合いたくなーい」
ソフィアは家族の話を滅多にしないため、ドミトリーは珍しいと思った。
「ドミトリーは妹がいるんだっけ?」
「ああ、来年ここに入学してくる」
「へぇ、じゃあ、三つ下か~。どう妹は可愛い?」
「両親は可愛がっているが、私はあんまりだな」
「何がお気に召さないのかな?ドミトリー君」
「……特に理由はない。反りが合わないのだと思う」
ドミトリーは嫌いとまではいかないが、妹とはあまり関わり合いが深くなかった。喧嘩はしないが、仲は良くなかった。
「ドミトリーはあんま貴族っぽい性格じゃないから、楽だよ」
「私も、ソフィアはそこらの令嬢みたいに媚び売ってこないからやりやすい」
それ以来、ドミトリーはソフィアをパーティーに行かせようとすることをやめた。ソフィアもよく知らない相手からずけずけと言われることが嫌でたまらないため、パーティーの類に参加することはなかった。
ラインハルトに会う前のソフィアはかなり尖っていて、さすがにやばい気がすると面倒見の良いドミトリーがソフィアをパーティーに連れ出したことがあった。ソフィアはいつもは理由をつけてサボっているが、ドミトリーに一度は参加して見ろ、料理は美味しいと説得されたのだ。
「ドミトリー様と仲がよろしいのですね」
「ドミトリー様はお優しいので何も言われないけれど、迷惑がっていますわ」
ソフィアは誰ですかあんたという見知らぬ令嬢達に突然話かけられた。令嬢達は普段話しかけにくいソフィアにパーティーの機を乗じて接触したのだった。
「誰だか知らないが、ドミトリーに直接ご忠告して差し上げたらどうかな?」
「わ、私たちはあなたとドミトリー様のクラスメートですよ!!」
「知らないなんて、失礼よ!」
ソフィアは料理美味しいと堪能していた時に邪魔をされて不快だった。ついでに言うと、興味ない人間の顔は覚えない性質だ。
「へえ、そう。じゃあ、なおさらドミトリーに言えばいいじゃん。ほら、ろくな人間と話してないで私たちの方見てってさあ?」
「な……!」
「言えない感じ?だから、私にそんなこと言ってくるワケ?随分陰湿だね」
「無礼な!!この方は伯爵家の令嬢でお父上は騎士団長なのよ!誰に向かってそんな口を聞いていて!?」
「本命にアプローチできない愚か者」
「こ、この……!」
「あー、ごめんね。さすがに言い過ぎたよ。今から詫びにドミトリー呼んでこようか?」
「結構よ、あなたにそんなことしてもらう必要はありません!!!!!」
ご令嬢は顔を真っ赤にして叫んでいる。パーティーの場で悪目立ちしていた。
「それより、ドミトリー様はあなたのような人に呼び捨てにされるような方ではないわ!!」
「ふふふ、ご存知ないのかもしれないが、ここは学校だ。身分に関係なく皆等しく対等の学舎。もう一回、校則を読み直した方がいい」
「この、お父様に!」
言いつけるだの何だの言おうとしたのだろう。その時、仲裁が入った。
「そこまで」
「ドミトリー様!」
「やぁ、ドミトリー。ちょうどよかった。この方達があなたとお話して、あわよくば心を射止めたいらしいよ」
「……その、すまない。私に何か用かな?」
ドミトリーはソフィアに事を荒立てるなバカという目を向けた。
「いえ、その」
「無いならいい。それに、ドミトリー様と呼ばれるのは気恥ずかしいから、ドミトリーでいいよ」
「あっ、はい」
では失礼しますと令嬢方はそそくさと去った。ソフィアはにっこり笑顔で、バイバイと手を振っている。
「ソフィア」
「手は出してない」
ソフィアは顔でも叩いたら大人しくなるかなと思ったが、さすがに自重した。
「……もう少し当たり障りのない話し方はできないのか?」
「私には難しいな。ご教授いただけます?ドミトリー様?」
「君に様付けされると寒気がするからやめてくれ」
「ふふふ」
「とりあえず、そうだねとか相槌打って、目上の人にはですます付けとけば上手くいく」
「それ、コツ?いいこと聞いたー」
「なあ、そんなに貴族が嫌いか?」
「……嫌味を言われるのが嫌いなんだ。言うのはいいけれどね」
「相変わらず身勝手が過ぎる」
「ふふふ、あと、父親とは反りが合わなくてね。父は典型的な貴族っていう性格なんだ。それもあって、あーいうの貴族っぽい感じの人が嫌い。関わり合いたくなーい」
ソフィアは家族の話を滅多にしないため、ドミトリーは珍しいと思った。
「ドミトリーは妹がいるんだっけ?」
「ああ、来年ここに入学してくる」
「へぇ、じゃあ、三つ下か~。どう妹は可愛い?」
「両親は可愛がっているが、私はあんまりだな」
「何がお気に召さないのかな?ドミトリー君」
「……特に理由はない。反りが合わないのだと思う」
ドミトリーは嫌いとまではいかないが、妹とはあまり関わり合いが深くなかった。喧嘩はしないが、仲は良くなかった。
「ドミトリーはあんま貴族っぽい性格じゃないから、楽だよ」
「私も、ソフィアはそこらの令嬢みたいに媚び売ってこないからやりやすい」
それ以来、ドミトリーはソフィアをパーティーに行かせようとすることをやめた。ソフィアもよく知らない相手からずけずけと言われることが嫌でたまらないため、パーティーの類に参加することはなかった。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
59
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる