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愛しいキミのために
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「おい!こら、颯太。アホなことしたら由貴が悲しむぞ」
「わかってるよ。それに実際に退学させるの手続きが面倒だし」
「……わかってんならいい」
本音言うと退学にさせたい。
たつはどうしても許せなかったから辞めさせたけど。
「颯太。帰るぞ」
学生会の仕事残ってるけど、まぁいいか。
そして。
陸の家へ。
「颯太、あと頼んだぞ」
陸は店の準備があるらしく、そう言いながらお店に行った。
龍の由貴くんへのあいつの気持ちは"憎悪"。
多分、俺を好きだったんだろう。
俺を好きでも、あんなことをする奴を、好きになんかなれない。
"人"としても。
"恋人"としても。
でも。
陸が止めなかったら多分、俺はアイツを退学させていたと思う。
「由貴くん」
キミは俺が守るから。
だから、何も心配しないでね。
****************
それから。
しばらくして、陸はお店が落ち着いた頃。
帰ってきた。
たまに。
副店長に任せて帰る時あるんだよね。
「頭冷えたか?」
「何それ。まるで俺が頭に血がのぼってたみたいな言い方じゃない」
「実際そうだっただろうが!」
「そんなことないってば」
「飯持ってくるから」
そう言って持ってきたのは……。
親子丼だった。
「今日、親子丼?」
「あぁ。美希が食いたがったから」
美希ちゃんがじゃなくて。
わざわざ作ったんだと思う。
陸はそういう奴だから。
「じゃあもらおうっと!」
「食い終わったら下に食器持ってこいよ」
由貴くん、大丈夫かな?
あれから目を覚まさない。
「う……ん」
「起きた?」
寝ぼけてるのかしばらくぼーっとして。
「颯太?何で?」
「何で?って由貴くん階段から落ちたから」
「あっそうだ!あの時っ」
「キミは何してんの?足首捻ってるんだから」
しばらくは歩けないだろう。
医者に見せなくても、足首がこんだけ腫れてたらわかる。
明日病院に行きたがらないだろうけど。
「吐き気しない?」
「え?」
「由貴くん、頭打って足首捻ってるから」
「大丈夫だって」
由貴くんの頭を撫でるとそのまま眠りについた。
「由貴、しばらく大人しくしてろよ」
翌朝。
陸と共に病院にやって来た。
足首は捻挫じゃなくてヒビが入っていた。
絶対安静て言われたんだけど。
「由貴くん」
由貴くんが大人しくしてるわけない。
由貴くんを構うようになってからわかったこと。
バイトとレポートしなきゃいけない時以外は大学の子と遊びまくっている。
遊びまくっていると言っても俺みたいに女の子とじゃなくて。
純粋に友達と。
純平や律たちと。
たまに藤澤も。
だからか。
たまに誘ってもお断りされるんだけどね。
「由貴くん。暇なのはわかるけど」
「だって暇だし」
大学も春休みで暇なのはわかるけどね。
「燐に電話しようっと」
「…………由貴くんて燐くん好きだよね」
「弟だし。颯太どうしたんだよ?」
由貴くんのせいじゃない。
これはただの嫉妬。
由貴くんの弟に妬いてますとか言ったら由貴くんにあきれられてしまう。
「もしもし?燐。あのさ、そっちに置いてるゲーム持ってきてくんね?」
『わかった。美希ちゃんとできそうなのも持っていくね』
「じゃあよろしく」
「ゲーム?」
「そ。実家に置いてきたゲーム。で、燐に持ってきてもらうから駅についたら迎えに行ってくんない?」
「いいよ。でもいいの?美希ちゃんがゲームしたくなるんじゃない?」
「だから、美希ちゃんができそうなのを燐に選んで持ってきてもらう」
「陸に怒られても知らないよ?」
「陸也に怒られたことないけど」
わかってはいた。
陸は由貴くんが弟云々を抜きにしても甘いからね。
「わかってるよ。それに実際に退学させるの手続きが面倒だし」
「……わかってんならいい」
本音言うと退学にさせたい。
たつはどうしても許せなかったから辞めさせたけど。
「颯太。帰るぞ」
学生会の仕事残ってるけど、まぁいいか。
そして。
陸の家へ。
「颯太、あと頼んだぞ」
陸は店の準備があるらしく、そう言いながらお店に行った。
龍の由貴くんへのあいつの気持ちは"憎悪"。
多分、俺を好きだったんだろう。
俺を好きでも、あんなことをする奴を、好きになんかなれない。
"人"としても。
"恋人"としても。
でも。
陸が止めなかったら多分、俺はアイツを退学させていたと思う。
「由貴くん」
キミは俺が守るから。
だから、何も心配しないでね。
****************
それから。
しばらくして、陸はお店が落ち着いた頃。
帰ってきた。
たまに。
副店長に任せて帰る時あるんだよね。
「頭冷えたか?」
「何それ。まるで俺が頭に血がのぼってたみたいな言い方じゃない」
「実際そうだっただろうが!」
「そんなことないってば」
「飯持ってくるから」
そう言って持ってきたのは……。
親子丼だった。
「今日、親子丼?」
「あぁ。美希が食いたがったから」
美希ちゃんがじゃなくて。
わざわざ作ったんだと思う。
陸はそういう奴だから。
「じゃあもらおうっと!」
「食い終わったら下に食器持ってこいよ」
由貴くん、大丈夫かな?
あれから目を覚まさない。
「う……ん」
「起きた?」
寝ぼけてるのかしばらくぼーっとして。
「颯太?何で?」
「何で?って由貴くん階段から落ちたから」
「あっそうだ!あの時っ」
「キミは何してんの?足首捻ってるんだから」
しばらくは歩けないだろう。
医者に見せなくても、足首がこんだけ腫れてたらわかる。
明日病院に行きたがらないだろうけど。
「吐き気しない?」
「え?」
「由貴くん、頭打って足首捻ってるから」
「大丈夫だって」
由貴くんの頭を撫でるとそのまま眠りについた。
「由貴、しばらく大人しくしてろよ」
翌朝。
陸と共に病院にやって来た。
足首は捻挫じゃなくてヒビが入っていた。
絶対安静て言われたんだけど。
「由貴くん」
由貴くんが大人しくしてるわけない。
由貴くんを構うようになってからわかったこと。
バイトとレポートしなきゃいけない時以外は大学の子と遊びまくっている。
遊びまくっていると言っても俺みたいに女の子とじゃなくて。
純粋に友達と。
純平や律たちと。
たまに藤澤も。
だからか。
たまに誘ってもお断りされるんだけどね。
「由貴くん。暇なのはわかるけど」
「だって暇だし」
大学も春休みで暇なのはわかるけどね。
「燐に電話しようっと」
「…………由貴くんて燐くん好きだよね」
「弟だし。颯太どうしたんだよ?」
由貴くんのせいじゃない。
これはただの嫉妬。
由貴くんの弟に妬いてますとか言ったら由貴くんにあきれられてしまう。
「もしもし?燐。あのさ、そっちに置いてるゲーム持ってきてくんね?」
『わかった。美希ちゃんとできそうなのも持っていくね』
「じゃあよろしく」
「ゲーム?」
「そ。実家に置いてきたゲーム。で、燐に持ってきてもらうから駅についたら迎えに行ってくんない?」
「いいよ。でもいいの?美希ちゃんがゲームしたくなるんじゃない?」
「だから、美希ちゃんができそうなのを燐に選んで持ってきてもらう」
「陸に怒られても知らないよ?」
「陸也に怒られたことないけど」
わかってはいた。
陸は由貴くんが弟云々を抜きにしても甘いからね。
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