好きって言ってみなよ?

葉月カイト

文字の大きさ
上 下
412 / 585
生命

1

しおりを挟む
「碓氷財閥が今度は沙希ちゃんを狙っている」



兄さんからそれを聞かされたのは、冬休み直前。
奴らは俺を殺すのを失敗したから、次は沙希ちゃんか。
ったく、情けない。



「あっちゃん。クリスマスどうする?」
「クリスマス?」
「うん!クリスマスパーティー自由参加じゃない?」
「決めてない」
「じゃあ、まこちゃんや蓮也くんたち誘ってうちでクリスマスしようよ」
「そうだな……」
「でね、あっちゃんは何か作って?」
「いいよ」



こうして俺は沙希ちゃんたちとクリスマスをすることに。



「兄ちゃん!クリスマスの話し聞いた?」
「ん?蓮也とか誘ってクリスマスするって話しだろう?」
「うん。兄ちゃん、ぼく肉がいい。唐揚げ」
「考えとく」
「ねー兄ちゃん」
「ん?」
「冬休みどうするの?」



冬休み。
そういや、今までは瑠衣さん家にいたからな。



「有島のおばさんたちにお願いする」
「兄ちゃん、ぼくは」
「好きにしろ」
「うん!」



そして夕方。
俺は有島のおばさんに電話した。



「冬休み?家にいていいわよ」
「ありがとう」
「晶くん。晶くんは私たちにとって息子と思ってるわよ?もちろん真くんのことも」
「じゃあ冬休みに来るから」




おばさんは明るくそう言ってきた。



「晶ー」
「兄さん?」
「冬休みくるのか?」
「あぁ。まこは磯咲夫妻のとこにいたいみたい」
「晶。冬休みどこか行きたいとこないか?」
「……兄さん、どうしたんだ?」



珍しく兄さんがそう言ってきた。



「とおる先生は如月を遊びに連れていきたいんだよ」



俺がそう考えていると、吉住さんが声をかけてきた。



「よ、吉住っ」
「だってそうだろう?」
「……生徒会がない時ならいいけど」
「素直じゃないな」



吉住さんはそう言った。



「でも如月らしいや」
「で、吉住は?」
「如月に会いに来た」



そう言って俺を抱きしめた。
そしてついでに、キスまで。



「じゃあ俺は職員室に戻るよ」



兄さんはそう言って職員室へ行った。
しおりを挟む

処理中です...