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「ウチから言わせてもらえば、生徒会と歴史クラブの問題は、生徒内部の問題です。かつて中国共産党は、『ポーランドのポズナニ暴動は人民内部の問題だが、ハンガリー動乱は西側帝国主義の策謀だ』として、ハンガリー動乱へのソ連軍の介入を弁護しましたが、ポーランドへのソ連軍の介入には反対しました。なぜなら、ハンガリー動乱は西側のラジオ放送が原因ですが、ポズナニ暴動には西側の策謀が見られないからです。したがって、外部の策謀が見られない生徒内部の問題に六嶋先生が介入するのは、全く見当違いもいいところですッ」
田井中部長は、反撃の糸口を作ろうと、必死で舌戦を繰り広げているようだ。一方、六嶋先生は、
「君たちは世界史の教師でもないのに、なぜ教師に向かって世界史の講釈をたれるんだ?本来、これは教師の役目だぞ」
と静かに言い返した。感情的にならないあたりは、まだ余裕があるのだろう。
「だったら、新約聖書に、こう書いてあるのをご存知ですか? 『そなたが教師として振る舞うなら、教師として断罪されるだろう』と」
「先生の専門は近代哲学史だ。宗教史ではないから、新約聖書などの分野は専門外だ」
「は~ん、そう言って論争から逃げるんですね? 教師というインテリの風上にも置けませんね」
「田井中、君は先生の揚げ足をとることしか考えていないのか? 屁理屈はもういい」
「あ~ら、それこそ、論争から逃げたいという証拠ですね。まるで、従軍慰安婦問題をふっかけてくる、似非左翼団体みたいですね。ウチはそういう似非左翼団体が大嫌いなんですよ」
「君は、従軍慰安婦に謝罪する気がないのか? それでも彼女らと同じ女性か?」
「女性とか関係ありません~。韓国の言いがかりには、きちんと正論で言い返すべきだと言ってるんです~。だから、六嶋先生は、自虐史観オタクの韓国の太鼓持ちの左翼反動派教師なんて言われるんですよ」
さすがに頭にきたのか、六嶋先生は顔を真っ赤にして怒りだす。
「さ、左翼反動派教師だとぉ? しかも、韓国の太鼓持ちだとぉ? もう一回言ってみろ! 田井中、おまえだけは許さんぞ」
「はぁ? どう許さないとおっしゃるんですか? ウチのJ大学への推薦を取り消しますか? まあ、推薦ったって、親に言われて受けただけで、ウチは一般入試でも合格する自信はありますから、痛くもかゆくもありませんけどねぇ」
「それだけじゃ済まさないぞッ! 不純異性交遊のうわさを流して、学校にいられなくするぐらい、先生にはどうってことないんだぞ!」
「まあ、六嶋先生ったら、ウチ如き小者にまで、そんな無体なことをなさるんですね。あきれかえりましたわ」
田井中部長は、プププと笑い出す。六嶋先生は殴りたい衝動を抑えてるのか、握りしめた拳をブルブルと震わせ、顔まで真っ赤になっているが、さすがにブチ切れるわけにはいかないと見え、腕時計を見ると、「おっと、会議の時間だ。じゃあ、議論はここまでだな」と言い残し、職員室へと去っていった。
田井中部長は、反撃の糸口を作ろうと、必死で舌戦を繰り広げているようだ。一方、六嶋先生は、
「君たちは世界史の教師でもないのに、なぜ教師に向かって世界史の講釈をたれるんだ?本来、これは教師の役目だぞ」
と静かに言い返した。感情的にならないあたりは、まだ余裕があるのだろう。
「だったら、新約聖書に、こう書いてあるのをご存知ですか? 『そなたが教師として振る舞うなら、教師として断罪されるだろう』と」
「先生の専門は近代哲学史だ。宗教史ではないから、新約聖書などの分野は専門外だ」
「は~ん、そう言って論争から逃げるんですね? 教師というインテリの風上にも置けませんね」
「田井中、君は先生の揚げ足をとることしか考えていないのか? 屁理屈はもういい」
「あ~ら、それこそ、論争から逃げたいという証拠ですね。まるで、従軍慰安婦問題をふっかけてくる、似非左翼団体みたいですね。ウチはそういう似非左翼団体が大嫌いなんですよ」
「君は、従軍慰安婦に謝罪する気がないのか? それでも彼女らと同じ女性か?」
「女性とか関係ありません~。韓国の言いがかりには、きちんと正論で言い返すべきだと言ってるんです~。だから、六嶋先生は、自虐史観オタクの韓国の太鼓持ちの左翼反動派教師なんて言われるんですよ」
さすがに頭にきたのか、六嶋先生は顔を真っ赤にして怒りだす。
「さ、左翼反動派教師だとぉ? しかも、韓国の太鼓持ちだとぉ? もう一回言ってみろ! 田井中、おまえだけは許さんぞ」
「はぁ? どう許さないとおっしゃるんですか? ウチのJ大学への推薦を取り消しますか? まあ、推薦ったって、親に言われて受けただけで、ウチは一般入試でも合格する自信はありますから、痛くもかゆくもありませんけどねぇ」
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「まあ、六嶋先生ったら、ウチ如き小者にまで、そんな無体なことをなさるんですね。あきれかえりましたわ」
田井中部長は、プププと笑い出す。六嶋先生は殴りたい衝動を抑えてるのか、握りしめた拳をブルブルと震わせ、顔まで真っ赤になっているが、さすがにブチ切れるわけにはいかないと見え、腕時計を見ると、「おっと、会議の時間だ。じゃあ、議論はここまでだな」と言い残し、職員室へと去っていった。
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