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「目下の課題は、歴史クラブの無期限活動停止を解除してもらうことです」
田井中部長が後藤先生に詰め寄る。
「そのためには、後藤先生もそれなりに動いてもらわないとなりません。まずは生徒会と交渉していただかないと」
「いや、オレは六嶋先生には逆らえない。何しろ、六嶋先生は、社会科主任だし、教育委員会にも顔がきくし、下手したらオレの首が危ない」
後藤先生はしどろもどろに答えるだけだ。
「後藤先生はそんなに六嶋先生が怖いんですか? いい年した大人なのに、おかしくないですか?」
あたしは、ずずいと身を乗り出す。後藤先生はジリジリと後ずさる。
「君たちにはわからないだろうがな、大人には大人の事情ってのがあるんだよッ!」
後藤先生は、今にも泣き出しそうだった。
「そりゃ、人間が永遠に生きられるなら、目先の仕事や金のことも考えますがね、人間の寿命は有限なんですよ。だから、人生は太く短く生きれば良いんじゃないですか?」
あたしは詰め寄った。
「そうは言っても、オレにだって、守るべき家庭もあるんだッ! 高校生の君らには、わからないだろうがな」
「なるほど。わっかりやした。要するに後藤先生って、自分の進退の問題ばかり気にする、つまんない大人なんですね。ガッカリです。あたしたち子供は、そんなつまんない理由で、反抗するのをあきらめたりしませんよ。納得できなければ、徹底抗戦する覚悟です」
「ウチも高橋も覚悟は同じです。後は後藤先生が覚悟を決めるだけですよ」
「でも、オレが仕事をクビになった日にゃ、嫁に殺される。包丁で八つ裂きにされちゃうよぉ」
そこで、あたしはスマホを取り出し、後藤先生の奥さんに連絡をとってみた。
『そりゃ、浮気の調査なら、いくらでも協力するけどね、主人の失職がかかってくるとなると、話は別よ。こちらの生活もかかってくるしさ』
「生活のほうは、ご心配なく。後藤先生の田舎のご実家は、かなり広い土地を持ってらっしゃるので、失職したら離婚して慰謝料をふんだくってやればいいんです」
横から後藤先生が、「何を言ってるんだ? 慰謝料なんて払う気ないぞ」と叫んでるが、あたしはお構いなしだ。
『そうね。主人が浮気性なのは、もうバレバレだし、そのぐらいは請求させてもらっても良いわね』
「そんなぁ」
後藤先生は、ヘナヘナと膝から崩れる。それを、田井中部長が肩をつかんで、ズルズルと無理やり生徒会室に引きずっていく。
「さあ、善は急げ、ですよ。早速、ウチらのために働いてもらいまっせ」
後藤先生の抵抗もむなしく、あたしたちは田井中部長に手を貸して、後藤先生を生徒会室にひきずっていった。
「失礼します。歴史クラブです」
田井中部長が、「たのもうッ!」と言わんばかりの勢いで、生徒会室の扉を開けて入室するが、生徒会の面々は、「生徒だけで何しに来たんだ?」と言いたそうに、うさんくさそうにあたしたちを眺める。
「今日は顧問の後藤先生から話があります」
「いや、だから、その後藤先生はどこですか?」
「どこって、ここにいますやろ」
田井中部長が隣の後藤先生のいるはずの空間を指差すが、既に後藤先生の姿はない。忽然と消えていたのだ。
「あのダメ教師~! 土壇場で逃げくさったか~!」
「後藤先生がいらっしゃらないなら、残念ながら話はできませんねぇ。お引取りを」
おかっぱの生徒会役員が、冷たく言い放つ。
「待ってくださいッ! 後藤先生がいなくても、あたしが代わりに話します。それとも、あたしじゃ力不足だとお思いですか?」
「先生は、そうは思わないけどな。でも、生徒会顧問である先生が出てきた以上、歴史クラブも顧問を出すべきだと、先生は思うな」
大柄な太った男が出てくる。これが生徒会顧問、六嶋先生だ。
田井中部長が後藤先生に詰め寄る。
「そのためには、後藤先生もそれなりに動いてもらわないとなりません。まずは生徒会と交渉していただかないと」
「いや、オレは六嶋先生には逆らえない。何しろ、六嶋先生は、社会科主任だし、教育委員会にも顔がきくし、下手したらオレの首が危ない」
後藤先生はしどろもどろに答えるだけだ。
「後藤先生はそんなに六嶋先生が怖いんですか? いい年した大人なのに、おかしくないですか?」
あたしは、ずずいと身を乗り出す。後藤先生はジリジリと後ずさる。
「君たちにはわからないだろうがな、大人には大人の事情ってのがあるんだよッ!」
後藤先生は、今にも泣き出しそうだった。
「そりゃ、人間が永遠に生きられるなら、目先の仕事や金のことも考えますがね、人間の寿命は有限なんですよ。だから、人生は太く短く生きれば良いんじゃないですか?」
あたしは詰め寄った。
「そうは言っても、オレにだって、守るべき家庭もあるんだッ! 高校生の君らには、わからないだろうがな」
「なるほど。わっかりやした。要するに後藤先生って、自分の進退の問題ばかり気にする、つまんない大人なんですね。ガッカリです。あたしたち子供は、そんなつまんない理由で、反抗するのをあきらめたりしませんよ。納得できなければ、徹底抗戦する覚悟です」
「ウチも高橋も覚悟は同じです。後は後藤先生が覚悟を決めるだけですよ」
「でも、オレが仕事をクビになった日にゃ、嫁に殺される。包丁で八つ裂きにされちゃうよぉ」
そこで、あたしはスマホを取り出し、後藤先生の奥さんに連絡をとってみた。
『そりゃ、浮気の調査なら、いくらでも協力するけどね、主人の失職がかかってくるとなると、話は別よ。こちらの生活もかかってくるしさ』
「生活のほうは、ご心配なく。後藤先生の田舎のご実家は、かなり広い土地を持ってらっしゃるので、失職したら離婚して慰謝料をふんだくってやればいいんです」
横から後藤先生が、「何を言ってるんだ? 慰謝料なんて払う気ないぞ」と叫んでるが、あたしはお構いなしだ。
『そうね。主人が浮気性なのは、もうバレバレだし、そのぐらいは請求させてもらっても良いわね』
「そんなぁ」
後藤先生は、ヘナヘナと膝から崩れる。それを、田井中部長が肩をつかんで、ズルズルと無理やり生徒会室に引きずっていく。
「さあ、善は急げ、ですよ。早速、ウチらのために働いてもらいまっせ」
後藤先生の抵抗もむなしく、あたしたちは田井中部長に手を貸して、後藤先生を生徒会室にひきずっていった。
「失礼します。歴史クラブです」
田井中部長が、「たのもうッ!」と言わんばかりの勢いで、生徒会室の扉を開けて入室するが、生徒会の面々は、「生徒だけで何しに来たんだ?」と言いたそうに、うさんくさそうにあたしたちを眺める。
「今日は顧問の後藤先生から話があります」
「いや、だから、その後藤先生はどこですか?」
「どこって、ここにいますやろ」
田井中部長が隣の後藤先生のいるはずの空間を指差すが、既に後藤先生の姿はない。忽然と消えていたのだ。
「あのダメ教師~! 土壇場で逃げくさったか~!」
「後藤先生がいらっしゃらないなら、残念ながら話はできませんねぇ。お引取りを」
おかっぱの生徒会役員が、冷たく言い放つ。
「待ってくださいッ! 後藤先生がいなくても、あたしが代わりに話します。それとも、あたしじゃ力不足だとお思いですか?」
「先生は、そうは思わないけどな。でも、生徒会顧問である先生が出てきた以上、歴史クラブも顧問を出すべきだと、先生は思うな」
大柄な太った男が出てくる。これが生徒会顧問、六嶋先生だ。
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