恋愛小説2

七海美波

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あたしは早速、後藤先生の予定を四人にLINEした。
『はん! 鬼嫁に捕まったのかよ。自業自得だな。まあ、それでも、ワタシの気持ちはおさまらないけど』
『鬼嫁に捕まったとしても、アタシは後藤に、自分のやったことを思い知らせてやりたいよ』
「そうでしょう。そこで、皆さんに提案があります。後藤先生の行くファミレスは、ガストで、時間は七時台です。その時間帯に、皆さんでガストに来てください」
こうして、ある週末の七時前に、あたしたちはガストに入り、ドリンクバーだけ注文する。あたしは塾をサボって来た。七時半ぐらいに、後藤先生が若い女性を伴って、ガストに入る。そのまま、何かを注文し、日替わりスープを取りに行く。
「皆さん、出番ですよ。手はず通り、後藤先生のところに行ってください」
四人は、スープをカップについでいる後藤先生を取り巻くように群がった。
「何だ、君たちは?」
「とぼけないでよ。まさか、アタシたちの顔を忘れたとは言わせないわよ」
「そうよ。ワタシたちと肉体関係を持っておきながら、飽きたら捨てたでしょう。あの後、スマホのアドレスも、全部変えて」
四人に詰め寄られても、後藤先生はしらを切り通した。
「いったい、何のことを言ってるんだね? 証拠はあるのか? 証拠もないのに、他人に罪を着せるのは、名誉毀損って言うんだよ」
そこで、あたしが出ていき、すかさず、古いビラを取り出す。
「証拠ならあるわ」
そのビラを見たとたん、後藤先生が青ざめる。そこには、家庭教師をしていた頃の後藤先生が、内田さんなどと机に向かい合い、勉強を教えていた写真があった。
「いや~、このビラを集めるのは、苦労しましたよ。後藤先生が家庭教師を辞めてからは、この宣伝ビラも家庭教師会社のイメージダウンになるということで、配布されなくなり、代わりに別の家庭教師の写真がビラに印刷されてましたからね。家庭教師会社に問い合わせたら、『もう、うちの会社とは関係ないから』と言いながら、いろいろ教えてくれましたよ。これでもまだ、しらを切りますか?」
背後からは、奥さんと思われる若い女性が、後藤先生をにらんでいる。後藤先生はタジタジだ。
「あなた、何か言い訳があるなら、おっしゃってください。返答しだいでは、父に言いつけて、離婚したうえで莫大な慰謝料を請求させていただきますよ」
後藤先生はヨロヨロしながら、「君ら、いったい何で、こんなことを」とつぶやく。
「先生が、あたしたちの歴史クラブの顧問なのに、味方になってくれないからですよ。でも、今後、女の子をもてあそんで捨てたりせずに、節度あるお付き合いができるなら、あたしたちは過去のことには目をつぶります。奥さんも、過去のことは水に流してはいかがですか? 今後、奥さんが後藤先生の身辺を、定期的にきちんとチェックすることにして」
奥さんはそれでも腹の虫がおさまらないように見えたが、しぶしぶといった風に、「わかったわ。主人の被害者ということで、手を組みましょう」と言う。
こうなると、恐妻家の後藤先生は奥さんに従わざるを得ず、奥さんも「歴史クラブ顧問として、ちゃんと部員のために働け」と、キツく言ってきたので、後藤先生は翌日から歴史クラブに顔を出すようになり、田井中部長と今後のことを話し合った。
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