恋愛小説2

七海美波

文字の大きさ
13 / 13

12

しおりを挟む
 数日後の夕方、あたしたちは後藤先生夫妻を強制的に校舎裏に呼び出し、決起集会を開いた。
「では、これより、生徒会との全面対決のための、決起集会を開催いたします。発起人は、もちろんウチです。さあ、まずはアナーキストの聖歌である『黒旗の歌』を斉唱しましょう!」
「「「革命の旗、黒旗は、我らの頭上になびく。自由にさける反逆の血潮は旗を染めぬ。黒旗よ、黒旗よ、その陰に生死せん。民衆よ、武装せよ。我らは黒旗守る」」」
「二番はとばして、三番を斉唱しましょう」
「「「ロシアに媚びて神聖の旗を汚すは誰ぞ。金と地位とに惑いたるボルシェビキのやつら。黒旗よ、黒旗よ、その陰に生死せん。民衆よ、武装せよ。我らは黒旗守る」」」
 だが、後藤先生だけは沈黙して歌わない。田井中部長は、それを無視して、持参したスッポンの血を紙コップについだ。
「さすがに牛などの動物の血は入手できないから、ウチの親がもらったけど気持ち悪くて飲めなかった、スッポンの血にするわ。さあ、皆で飲み合おうか」
 スッポンの血は、そこまで美味いとは思えなかったが、あたしは我慢して飲んだ。後藤先生の奥さんは美味そうに飲んだが、後藤先生のほうは、目をむいて、ものすごく嫌そうに飲んでいた。
「おいおい、普通、こういう場合は、お神酒を飲み合うもんだろう。なぜ、スッポンの血なんだよ?」
「仕方ないでしょう。ウチらは高校生だから、酒なんか飲めませんもん。でも、まだスッポンの血が余ってるから、二杯目いきますよ」
あたしは正直、気乗りしなかったが、辛抱して二杯目を飲む。
「前回の桃園の誓いの延長線上として、今日は後藤先生夫妻を加えたということで、ここに血盟団を結成したいと思います」
「勝手に加えるな!」
後藤先生のクレームを無視して、血盟団結成の儀式は粛々と進められる。
「とりあえず、ウチが井上日召になります。一人一殺とまではいきませんが、一人で生徒会役員の一人を論破しましょう」
「そのためには、あたしたちもきちんとマルクス主義を学ばねばなりませんね。ダラカンの似非左翼ではない、真正のマルクス主義は劉備の『義』に通じますから」
「そのためには、後藤先生には、きっちりウチらにマルクス主義を教えていただかないといけませんね」
「勘弁してくれ。オレは革命の理論家だ。実践家ではないのだから、生徒の間に入って革命の支援はできない」
「あら、実践無くして理論無しですわよ、後藤先生。それとも後藤先生って、実践が怖い臆病者ですか?」
後藤先生は一瞬、返答に窮したが、すぐに答える。
「や、やってやろうじゃないか。こちとら、腐っても社会科教師。劉備の『義』も知らないほど、落ちふわれちゃいない。ただし、条件があるがな」
しおりを挟む
感想 4

この作品の感想を投稿する

みんなの感想(4件)

渡辺玉緒
2024.04.14 渡辺玉緒

この作品は作者の歴史上の知識が語られていて興味深いです

解除
渡辺玉緒
2024.04.12 渡辺玉緒

この作品は色々と歴史上の言葉が出てきて自分は難しいですが、それなりに色々と勉強になります。

解除
水神 楓香
2024.04.03 水神 楓香

姉の感想を書いときます。

会話文が多いのと、あとは、世界観には入りやすいんですけど、なんか、前と同じで堅苦しい感じがあったので、そこを直せば、良いかなとは思いました。続き楽しみにしてます

解除

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)その後

MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合つまた。 その後、大学を卒業した祐輔(ユウスケ)の新たなストーリーが始まった。 全15話を予定

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

背徳のミラールージュ(母と子 それぞれが年の差恋愛にのめり込んでいく鏡写し)

MisakiNonagase
恋愛
24歳の市役所職員・中村洋平には、自慢の恋人がいた。2歳年上の小学校教師、夏海。誰もが羨む「正解」の幸せの中にいたはずだった。 しかし、50歳になる母・美鈴が21歳の青年・翔吾と恋に落ちたとき、歯車は狂い出す。 ​母の恋路を「不潔だ」と蔑んでいた洋平だったが、気づけば自分もまた、抗えない引力に引き寄せられていた。  その相手は、母の恋人の母親であり、二回りも年上の柳田悦子。 ​純愛か、背徳か。4年付き合った恋人を捨ててまで、なぜ僕は「彼女」を求めてしまうのか。 交差する二組の親子。歪な四角関係の果てに、彼らが見つける愛の形とは――。

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

いちばん好きな人…

麻実
恋愛
夫の裏切りを知った妻は 自分もまた・・・。

蝋燭

悠十
恋愛
教会の鐘が鳴る。 それは、祝福の鐘だ。 今日、世界を救った勇者と、この国の姫が結婚したのだ。 カレンは幸せそうな二人を見て、悲し気に目を伏せた。 彼女は勇者の恋人だった。 あの日、勇者が記憶を失うまでは……

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。