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第8話:シナリオ通りにいかない世界
3.
しおりを挟む(私の取りそうな行動、カイ様にはお見通しなの!?)
「……図星です。反対されていたら、一人で行っていたかもしれません」
「だろう? だったら、私も一緒の方がまだ安心だ。私は水魔法に加えて風魔法も使えるし、アンディは雷魔法、ケイティは土魔法が使えるんだ。
4人いれば基本属性は抑えられるし、一人より仲間は多い方が良い。まぁ、治癒魔法使いがいないのはネックだが……エリアナの作るご飯を食べれば元気が湧いてくるしな」
「フフッ カイ様、食いしん坊なのでしょうか」
「あぁ、これからも美味しいものが食べたい、というのは嘘ではないな」
「アンディとケイティも、大丈夫? 無理はしないでほしいわ」
「お嬢様!! 何をおっしゃるんですか。公爵家を一緒に飛び出した時点で、どこまでもついていきますよ! むしろ一人で行ってしまったら、私は怒っていたと思います」
「私も、カイ様が行く所にはどこまでお供します」
「みんな……」
こんなことに巻き込むのはどうなんだろう……と思っていたけれど、そんな気遣いは不要だと皆が教えてくれた。
のんびりとセカンドライフを過ごすのは難しそうだけれど、この国の魔獣や瘴気を解消してから、また時間を作れば良い。楽しみは後に取っておこう。
「みんな、頑張りましょう!!
……ついでに、現地の食材で美味しいものを作るわ!!」
『ついで』の宣言に、3人がズルッとずっこける。やっぱり、食への想いを捨てられないのだから仕方がない。
「あ、エリアナ様。美味しいものと言えば、グラニットの住人に魔獣について聞き取りをしていた際、皆さん口々に言っていましたよ。
『エリアナさんの作るパンがまた食べたい、この間騒ぎを起こした男は絶対に嘘をついてる』と」
「まぁ! それは嬉しいわね! でも、各地を巡っている間はグラニットでパンを売ることは出来ないし、どうしたら良いかしら」
「そうですね、もし出発までに数日猶予があれば、パンを販売するか……」
「あ! だったら、パン教室を開こうかしら! 前に『今度作り方を教えて』って言ってくれた子供がいたし、大人数は無理だと思うけれど……」
「エリアナ、良い考えだね。作り方を教えておけば、この後も自分達で再現できるだろう。ケイティ、エリアナが無理し過ぎないよう監視を頼む」
「もちろんです! 最近のお嬢様は止まることを知りませんので、私がついておりませんと!」
「フフ、みんなありがとう!」
その後、住人数名に声をかけて、自宅でパン作り教室を開催した。パンを焼く時は火魔法使いの力を借りたり、自宅にある魔道具で皆どうにかなりそうだ。
こうして、グラニットで出来ることをやり切った私達は、各地を巡る旅を始めるのだったーー。
***
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