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第三章 王立学校
温泉
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「じゃあ1時間後くらいでいいか?」
「そうですね、そうしましょうか」
部屋で料理を楽しんだ俺たちは、次に大浴場へ行くことにした。ここのお風呂は有名らしく、俺は今日一テンションが上がっている。
暖簾をくぐって中に入る。荷物が割とあり、そこそこ人が入ってそうだ。空いているスペースに物を置き、俺は服を脱いだ。
「内風呂は2個か」
普通だが大きめの風呂が2つあり、片方は水風呂となっている。しかし、目玉はそこではない。外に待ち構えている本命にワクワクしながらまずは体を洗いに行った。
「うーん……逆に一発目から行っちゃうか」
全身をくまなく洗った俺は、最初から露天風呂に行くことを決めた。期待を胸に扉を開く。
「お、おぉぉぉ!」
目の前に広がるは、まるで秘境のような光景。自然豊かで、硫黄の匂いが鼻に入る。こんな都会のど真ん中でこのレベルの温泉に入れるとは、流石異世界といったところか。
かなり奥行があって、100人くらいなら入れそうだ。少年のような昂る気持ちを鎮め、冷静に風呂と対峙する。よし、まずはつま先からゆっくりとだ。
温度は42℃程だろう。この寒い時期にぴったりだ。肩まで浸かっていくと自然と「ふぅ」とため息が漏れる。これは俺の人生においてかなり高いランクに位置づけられる風呂だと、この数秒で確信した。
一連の俺の流れを見て、近くにいたおっちゃんが話しかけてきた。
「坊主、えらい幸せそうな顔だなぁ」
「はは、あまりにも気持ち良かったもので」
「そりゃあそうだろ。何せ実際に湧き出てるんだからな」
「それって……ここの地下から温泉が出てるってことですか?」
「いいや、ここの地下ってよりは遠く離れた場所さ。そこから魔法で引っ張ってきてるんだよ」
「な、なるほど……」
今までの疑問が少し解けた。理論は結局魔法頼りだった訳だ。詳細は聞いてもきっと理解出来ないだろう。
「そういや坊主は昼間の事件平気だったか?」
「昼間の事件って———」
そう聞いて思い出す。
「十大罪人……」
「そうそう、それだ。俺は実際に見たんだぜ?」
「見たって、犯人をですか?」
「ああそうさ。燃やされた所は俺が働いてる奴隷を売ってる店なんだけどよ、いきなり現れて刀で牢を壊しやがったんだ」
「その後どうしたんですか?」
「どうしたもこうしたもねぇよ。刀で壁に言葉を刻んでどっかに行っちまった。背格好は丁度お前さんくらいだったな、顔は隠れてて見えなかった」
現場に書かれた文字に今の話から考えても、クラリスという可能性は薄そうだ。彼女も犯罪者だが、正直俺はそこに疑問を持っている。
「こういう事ってよくあるもんなんですか?」
「いやぁ、こんな街中で堂々とやるなんて滅多にないと思うんだけどな。奴らの考えてることはよく分からん」
奴隷を牢から出したという行いが俺には引っかかった。奴隷を助けた? そう考えてしまう。
「じゃあ俺は出るわ。坊主も奴隷が欲しくなったら俺の店に来いよ。何匹が逃げられたが、上等なのは残ってるからよ」
「はは……考えときます」
奴隷は人に非ず、ということだろうか。この世界の価値観と微妙にズレている自分がいる。俺がどうこうできる問題ではないし、それがこの世界の常識なのだ。その状態を受け入れるしかない。
「……俺は見失わないようにしないとな」
夜空に光る星々を見つめて、俺はそう呟いた。
「そうですね、そうしましょうか」
部屋で料理を楽しんだ俺たちは、次に大浴場へ行くことにした。ここのお風呂は有名らしく、俺は今日一テンションが上がっている。
暖簾をくぐって中に入る。荷物が割とあり、そこそこ人が入ってそうだ。空いているスペースに物を置き、俺は服を脱いだ。
「内風呂は2個か」
普通だが大きめの風呂が2つあり、片方は水風呂となっている。しかし、目玉はそこではない。外に待ち構えている本命にワクワクしながらまずは体を洗いに行った。
「うーん……逆に一発目から行っちゃうか」
全身をくまなく洗った俺は、最初から露天風呂に行くことを決めた。期待を胸に扉を開く。
「お、おぉぉぉ!」
目の前に広がるは、まるで秘境のような光景。自然豊かで、硫黄の匂いが鼻に入る。こんな都会のど真ん中でこのレベルの温泉に入れるとは、流石異世界といったところか。
かなり奥行があって、100人くらいなら入れそうだ。少年のような昂る気持ちを鎮め、冷静に風呂と対峙する。よし、まずはつま先からゆっくりとだ。
温度は42℃程だろう。この寒い時期にぴったりだ。肩まで浸かっていくと自然と「ふぅ」とため息が漏れる。これは俺の人生においてかなり高いランクに位置づけられる風呂だと、この数秒で確信した。
一連の俺の流れを見て、近くにいたおっちゃんが話しかけてきた。
「坊主、えらい幸せそうな顔だなぁ」
「はは、あまりにも気持ち良かったもので」
「そりゃあそうだろ。何せ実際に湧き出てるんだからな」
「それって……ここの地下から温泉が出てるってことですか?」
「いいや、ここの地下ってよりは遠く離れた場所さ。そこから魔法で引っ張ってきてるんだよ」
「な、なるほど……」
今までの疑問が少し解けた。理論は結局魔法頼りだった訳だ。詳細は聞いてもきっと理解出来ないだろう。
「そういや坊主は昼間の事件平気だったか?」
「昼間の事件って———」
そう聞いて思い出す。
「十大罪人……」
「そうそう、それだ。俺は実際に見たんだぜ?」
「見たって、犯人をですか?」
「ああそうさ。燃やされた所は俺が働いてる奴隷を売ってる店なんだけどよ、いきなり現れて刀で牢を壊しやがったんだ」
「その後どうしたんですか?」
「どうしたもこうしたもねぇよ。刀で壁に言葉を刻んでどっかに行っちまった。背格好は丁度お前さんくらいだったな、顔は隠れてて見えなかった」
現場に書かれた文字に今の話から考えても、クラリスという可能性は薄そうだ。彼女も犯罪者だが、正直俺はそこに疑問を持っている。
「こういう事ってよくあるもんなんですか?」
「いやぁ、こんな街中で堂々とやるなんて滅多にないと思うんだけどな。奴らの考えてることはよく分からん」
奴隷を牢から出したという行いが俺には引っかかった。奴隷を助けた? そう考えてしまう。
「じゃあ俺は出るわ。坊主も奴隷が欲しくなったら俺の店に来いよ。何匹が逃げられたが、上等なのは残ってるからよ」
「はは……考えときます」
奴隷は人に非ず、ということだろうか。この世界の価値観と微妙にズレている自分がいる。俺がどうこうできる問題ではないし、それがこの世界の常識なのだ。その状態を受け入れるしかない。
「……俺は見失わないようにしないとな」
夜空に光る星々を見つめて、俺はそう呟いた。
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