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彼女の前世
episode4
教会の鐘の音が鳴る。
祝福の花火やお祝いの歌、賑やかな音色が首都を彩り、今日行われる一大行事を祝福している。
そう、今日は皇帝と聖女〝レリーナ〟の結婚式なのだ。
リーティアの代わりにレリーナが皇后になる表向きの理由は、『皇帝陛下が市井に視察に訪れた際に聖女レリーナに一目惚れをした。それを知った婚約者のリーティアが、これこそが真実の愛であると感激して身を引き、二人を支えるために皇妃として皇室に嫁ぎ、皇后の補佐をする」
という内容になっている。
真実なようで違う内容。
この話を流す事に納得したと言ったら嘘になる。レリーナさえいなければ今日祝福されていたのは自分だったのだから。
だが仕方がない。今更何を言おうが意味を持たなく、否定することは一介の公爵令嬢には出来ない。
ましてや、そんなことをしたら国家反逆罪で即牢獄行きだ。
そしたら周りの人達にも迷惑をかけてしまう。
まあ自分にはそんなことをする気にもならないが。
それにアルバートがレリーナを愛しているのは紛れもない事実なのだ。
自分の慕っている人がとても幸せそうなのに、それを邪魔することをリーティアは出来るはずもなかった。
◇◇◇
半月前、皇妃になることを言い渡された後初めてアルバートに謁見した。
その時アルバートの隣にレリーナがいたのだ。
彼女は同じ女性から見てもとても綺麗だった。
視界に入れた瞬間、あぁこの人には勝てない。この人こそ彼の隣にいるのが正しいと、リーティアを納得させるくらい。
「アリリエット公爵家長女、リーティア・アリリエットです。本日、聖女様にお会い出来るのは誠に光栄でございます」
レリーナに見蕩れて挨拶をするのを忘れていた。慌てて挨拶の言葉と共に、これまで血のにじむような努力をして備えた完璧なカーテシーをする。
「初めましてレリーナです。そんなに固くならないでください。確か同い歳ですよね? 同い年くらいの子が皇室に嫁ぐと聞いて仲良くなりたいと思ってたんです! これからよろしくね」
屈託のない笑顔で返答するレリーナは純粋無垢という言葉がピッタリだろう。とても眩しい。
真正面から向き合い、金髪の髪と菫色の瞳が視界に入るとやはり父から聞かされた聖女の外見と一致し、紛れもない本物なのだと現実を突きつけられる。
「聖女様にそう言われるのは光栄でございます。どうぞこれからよろしくお願い致します」
(仲良くですって)
乾いた笑いが漏れそうになる。リーティアとしてはしたくない。
(貴女は私から陛下を奪った張本人なのに…………)
無意識のうちにドレスを握るが、嫉妬が混ざった黒い感情を顔に出ないようにする。
そんなリーティアの内心を知らないレリーナは続ける。
「もう聖女様、聖女様って何回も言われると変な感じがするのよ。だからね、私のことは愛称のリーナって呼んでね! 私もリーティアのことリティって呼んでいいかしら?」
きらきらとした瞳で見つめられた。
レリーナは知らないのだろうか。貴族が愛称で呼び合うのは家族、婚約者、親しい者だけなのを。ましてやすぐ自分より地位が高くなるレリーナを、愛称呼びするのは抵抗があった。
返答に困っているとアルバートが痺れを切らしたのか口を開く。
「リーナが愛称呼びをして欲しいと言っているだろう。何をそんなに困っているのだ。愛称で呼び合いをするのが嫌なのか?」
いらついたた声が室内に響き、リーティアは慌てて弁明した。
「いえ、そんなことは全くありません。むしろ光栄でございます。それではリーナ様と呼ばせて頂きますね」
笑顔を無理やり貼り付けてリーナに向き合う。
彼女は満足したようだ。満面の笑みを浮かべた後、少し不満げに「敬語も外して欲しい」と付け加えたが、流石にそれは丁重にお断りした。
「慣れてくれば敬語も外れるのでそれまでは敬語のままでお願いします」と返答すれば、レリーナは納得したのか大人しく引き下がった。
まあ外れる日は来ないのをリーティアは確信していたが。
話にひと段落つき、アルバートが口を開く。
「リーナ用件は終わっただろう? 先に部屋に戻って休んでいなさい」
優しい口調で諭すように。かと言って拒否することは許されない話し方で。
リーナはアルバートの思惑を知ってか知らずかすぐに自室へと戻って行った。
またねとリーティアに向かって手をブンブン振りながら。
「さて、本題に入ろうか」
アルバートの一言で、室内の空気が朗らかな雰囲気から氷のように冷たいものへとすぐさま一変する。
その場に居合わせた者たちに全員に緊張が走る。それはリーティアも例外ではない。威圧感だけで恐怖で足が震えてくるのを、必死に抑えている。
「貴様は残念だったな。皇后になれなくて」
嘲笑めいた口調は初めてのことで。リーティアはぎゅうっと心臓が縮み、身体が凍り付いたように動かず、恐怖に駆られる。
「なんのことでしょうか?」
やっと絞り出した声は途切れ途切れになってしまった。
「はっ。戯言を。貴様は皇后という地位が欲しかったのだろう? だから私と婚約をしてたのだろう?」
彼の発言に目眩を覚える。
(地位……? 私は別にそんな物望んでなんて……)
リーティアはアルバートを慕っていた。それにアルバートの隣──皇后になるのは幼い頃からの決まっていた。
婚約者として、慕う人の役に立つために、精一杯頑張っていただけなのだ。
それを否定され、挙句の果てには嘲笑が上から降ってくる。今すぐここから立ち去って泣いてしまいたい。逃げ出してしまいたい。だけどそれは許されない。
「私は……地位が欲しかったわけではありません」
せめてそれだけは否定しようと凍りついた口を開く。
だが、必死の否定も嘘だと取られたみたいだ。
「嘘はいらぬ。まあそんなことはどうでもいい。一つだけ言っておく、リーナに危害を加えたら許さない。貴様は頭だけは優秀だから精々その頭を有効活用するのだな」
トントンと自身の頭を指でつつき、アルバートはふっと嘲笑うかのように笑った。
それを見たリーティアは世界が急速に色を失い、心が沈んでいくのを感じとった。
(私が何をしたというの? 何もしていないのに)
レリーナに危害? するわけが無いじゃないか。そんなことしたら速攻死刑にされるのが目に見えているのに。
悲しさ、悔しさ、レリーナに対する妬ましさでどうにかなってしまいそうだ。とにかくこの部屋からすぐに退出したい。
だからリーティアは心を落ち着かせるために暗示をかける。自分は完璧な淑女。感情を表に出さず、動揺を隠してこの場を乗り切るのが、今の自分に出来る最大の事だと。
「……分かりました。肝に銘じておきます」
アルバートと目線を合わせる。動揺を隠して何事も無かったかのように。
少しだけ彼は驚いたようだ。いつもは大人しく、目線を合わせようとしないリーティアが目線を合わせたことに。
それを見たリーティアは少しだけ心のモヤが取れた気がした。
祝福の花火やお祝いの歌、賑やかな音色が首都を彩り、今日行われる一大行事を祝福している。
そう、今日は皇帝と聖女〝レリーナ〟の結婚式なのだ。
リーティアの代わりにレリーナが皇后になる表向きの理由は、『皇帝陛下が市井に視察に訪れた際に聖女レリーナに一目惚れをした。それを知った婚約者のリーティアが、これこそが真実の愛であると感激して身を引き、二人を支えるために皇妃として皇室に嫁ぎ、皇后の補佐をする」
という内容になっている。
真実なようで違う内容。
この話を流す事に納得したと言ったら嘘になる。レリーナさえいなければ今日祝福されていたのは自分だったのだから。
だが仕方がない。今更何を言おうが意味を持たなく、否定することは一介の公爵令嬢には出来ない。
ましてや、そんなことをしたら国家反逆罪で即牢獄行きだ。
そしたら周りの人達にも迷惑をかけてしまう。
まあ自分にはそんなことをする気にもならないが。
それにアルバートがレリーナを愛しているのは紛れもない事実なのだ。
自分の慕っている人がとても幸せそうなのに、それを邪魔することをリーティアは出来るはずもなかった。
◇◇◇
半月前、皇妃になることを言い渡された後初めてアルバートに謁見した。
その時アルバートの隣にレリーナがいたのだ。
彼女は同じ女性から見てもとても綺麗だった。
視界に入れた瞬間、あぁこの人には勝てない。この人こそ彼の隣にいるのが正しいと、リーティアを納得させるくらい。
「アリリエット公爵家長女、リーティア・アリリエットです。本日、聖女様にお会い出来るのは誠に光栄でございます」
レリーナに見蕩れて挨拶をするのを忘れていた。慌てて挨拶の言葉と共に、これまで血のにじむような努力をして備えた完璧なカーテシーをする。
「初めましてレリーナです。そんなに固くならないでください。確か同い歳ですよね? 同い年くらいの子が皇室に嫁ぐと聞いて仲良くなりたいと思ってたんです! これからよろしくね」
屈託のない笑顔で返答するレリーナは純粋無垢という言葉がピッタリだろう。とても眩しい。
真正面から向き合い、金髪の髪と菫色の瞳が視界に入るとやはり父から聞かされた聖女の外見と一致し、紛れもない本物なのだと現実を突きつけられる。
「聖女様にそう言われるのは光栄でございます。どうぞこれからよろしくお願い致します」
(仲良くですって)
乾いた笑いが漏れそうになる。リーティアとしてはしたくない。
(貴女は私から陛下を奪った張本人なのに…………)
無意識のうちにドレスを握るが、嫉妬が混ざった黒い感情を顔に出ないようにする。
そんなリーティアの内心を知らないレリーナは続ける。
「もう聖女様、聖女様って何回も言われると変な感じがするのよ。だからね、私のことは愛称のリーナって呼んでね! 私もリーティアのことリティって呼んでいいかしら?」
きらきらとした瞳で見つめられた。
レリーナは知らないのだろうか。貴族が愛称で呼び合うのは家族、婚約者、親しい者だけなのを。ましてやすぐ自分より地位が高くなるレリーナを、愛称呼びするのは抵抗があった。
返答に困っているとアルバートが痺れを切らしたのか口を開く。
「リーナが愛称呼びをして欲しいと言っているだろう。何をそんなに困っているのだ。愛称で呼び合いをするのが嫌なのか?」
いらついたた声が室内に響き、リーティアは慌てて弁明した。
「いえ、そんなことは全くありません。むしろ光栄でございます。それではリーナ様と呼ばせて頂きますね」
笑顔を無理やり貼り付けてリーナに向き合う。
彼女は満足したようだ。満面の笑みを浮かべた後、少し不満げに「敬語も外して欲しい」と付け加えたが、流石にそれは丁重にお断りした。
「慣れてくれば敬語も外れるのでそれまでは敬語のままでお願いします」と返答すれば、レリーナは納得したのか大人しく引き下がった。
まあ外れる日は来ないのをリーティアは確信していたが。
話にひと段落つき、アルバートが口を開く。
「リーナ用件は終わっただろう? 先に部屋に戻って休んでいなさい」
優しい口調で諭すように。かと言って拒否することは許されない話し方で。
リーナはアルバートの思惑を知ってか知らずかすぐに自室へと戻って行った。
またねとリーティアに向かって手をブンブン振りながら。
「さて、本題に入ろうか」
アルバートの一言で、室内の空気が朗らかな雰囲気から氷のように冷たいものへとすぐさま一変する。
その場に居合わせた者たちに全員に緊張が走る。それはリーティアも例外ではない。威圧感だけで恐怖で足が震えてくるのを、必死に抑えている。
「貴様は残念だったな。皇后になれなくて」
嘲笑めいた口調は初めてのことで。リーティアはぎゅうっと心臓が縮み、身体が凍り付いたように動かず、恐怖に駆られる。
「なんのことでしょうか?」
やっと絞り出した声は途切れ途切れになってしまった。
「はっ。戯言を。貴様は皇后という地位が欲しかったのだろう? だから私と婚約をしてたのだろう?」
彼の発言に目眩を覚える。
(地位……? 私は別にそんな物望んでなんて……)
リーティアはアルバートを慕っていた。それにアルバートの隣──皇后になるのは幼い頃からの決まっていた。
婚約者として、慕う人の役に立つために、精一杯頑張っていただけなのだ。
それを否定され、挙句の果てには嘲笑が上から降ってくる。今すぐここから立ち去って泣いてしまいたい。逃げ出してしまいたい。だけどそれは許されない。
「私は……地位が欲しかったわけではありません」
せめてそれだけは否定しようと凍りついた口を開く。
だが、必死の否定も嘘だと取られたみたいだ。
「嘘はいらぬ。まあそんなことはどうでもいい。一つだけ言っておく、リーナに危害を加えたら許さない。貴様は頭だけは優秀だから精々その頭を有効活用するのだな」
トントンと自身の頭を指でつつき、アルバートはふっと嘲笑うかのように笑った。
それを見たリーティアは世界が急速に色を失い、心が沈んでいくのを感じとった。
(私が何をしたというの? 何もしていないのに)
レリーナに危害? するわけが無いじゃないか。そんなことしたら速攻死刑にされるのが目に見えているのに。
悲しさ、悔しさ、レリーナに対する妬ましさでどうにかなってしまいそうだ。とにかくこの部屋からすぐに退出したい。
だからリーティアは心を落ち着かせるために暗示をかける。自分は完璧な淑女。感情を表に出さず、動揺を隠してこの場を乗り切るのが、今の自分に出来る最大の事だと。
「……分かりました。肝に銘じておきます」
アルバートと目線を合わせる。動揺を隠して何事も無かったかのように。
少しだけ彼は驚いたようだ。いつもは大人しく、目線を合わせようとしないリーティアが目線を合わせたことに。
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