52 / 99
彼女の今世
episode44
自分がどのような謝罪文を書こうか数日悩んでいる間に、先にアルバート殿下から手紙が届いた。
見慣れた、忘れることの無い美しい手蹟で綴られていたのは、驚かせ、怯えさせてしまったことへの謝罪だった。私は見た瞬間、当日と同じように罪悪感と慚愧の念に駆られた。
今の彼は悪くないのにやってしまった。おまけに謝らせてしまった。きっとアルバート殿下だっていきなり拒絶を示されて、傷ついたに違いないのに。
しかも、届けられたのは手紙だけではなかった。皇宮からの使者は、小さな白い箱も私に手渡した。
丁寧に梱包された包みを受け取り、蓋を開ける。中から出てきたのは真新しいリボンだった。色は日向のような温かみのある黄色。
──君のをダメにしてしまったから。嫌だったら捨ててくれ。
最後にそう書かれ、手紙は締めくくられていた。
前世では最初で最後の贈り物として栞を貰った。それがどうやら今世ではリボンらしい。どちらも小さな、それほど豪華なものではない。日常で見るような、使うような、些細なものだ。
──ありがとうございます。
使者にそれだけ書いた淡い蒼色の一筆箋を渡した。大切に使わせていただきます。とか、書けばよかったのだろうけれど、あいにく己の心情的に書けそうにもなかった。
今後髪に付ける可能性はほとんどない。栞の時のように何度も眺めることやお守り代わりにすることもないだろう。むしろ捨ててしまう可能性の方がとても高い。
最後、ビリビリに破いてしまった栞。空中に散らばりながらゴミ箱に吸い込まれていった。あの後、主を亡くした部屋は掃除され、数少ない私物と一緒に捨てられたのだろうか。
いつの間にか前世のことを考えていた私は、意識を目の前に戻した。
手の中にある物。それに今はまだ向き合う覚悟も捨てる勇気も出なくて、白い箱に綺麗につめ直した後、普段開けないような衣装部屋の奥の方に隠すように片付けた。
アナベルはそんな私を見ても、何も言わず佇んでいた。少し残念そうにしながら。
きっと皇子からお詫びの品──プレゼントをいただけたのに、片付けてしまうことが勿体ないとか思っているのだろう。
彼女は皇宮で何かが起こったのだと勘づいている。多分……だけど。それでも何も聞いてこない。話すよう催促しない。
その心遣いが嬉しかった。私の口からは話したくなかったから。
そんなアナベルは私の髪を梳かしている。髪は梳かせば梳かすほど絹のように滑らかな手触りになる。だから彼女は毎日一生懸命に私の髪を梳かしてくれていた。おかげで周りに自慢出来るくらい艶やかだ。手で触れればいい匂いがする。
鏡の中に映る自分を見る。服装は青のチェックスカートに赤いフード付きローブ。一学期とは色合いが異なる。
今日は二学期の始まりだ。大祝祭のこともあるし、一学期よりも忙しくなるだろう。授業だって難しくなる。予習復習を怠ることは出来ない。
(悩むのは終わり。また次、同じことをしなかったらそれでいい)
「お嬢様、支度が終わりました」
どうやら今日は後ろでお団子みたい。朱のリボンとピンできっちり止められている。最後にいつもの耳飾りを付ければあとは馬車に乗るだけだ。
「いつもありがとうアナベル」
「──どういたしまして」
鏡を通して、微笑む彼女が見えた。
◇◇◇
「御機嫌ようリーティア様」
「御機嫌よう」
クラスメイトに軽く挨拶をして自席に座る。皆、久しぶりの再会だからかいつにもまして教室内は活気があった。
「リーティア様今日はお団子なのですね! 似合ってます」
声をかけてきたのはキャサリン様だった。
「ありがとう」
「だけど残念です。リボンはローズピンクじゃないのですね。お茶会の際、とってもお似合いでしたのに」
キャサリン様は自分の事のように悲しそうに目じりを下げた。
「…………あの日、王宮に片方置いてきてしまったようなの。気が付いて探しに戻っても出てこないからなくしてしまったらしいわ」
言っておいてだが、置いてきたのでは無い。捨ててきたのだ。
「まあ! リボンを落としたとなると、軽いですから既に飛ばされてしまったのかもしれませんね」
「そうですね。次から気をつけようと思ってます」
授業で使う教材を整理する。トントンと教科書を整えて、最初の授業で使わない物は机の中に入れた。
「あっ! では私がプレゼントしても?」
突然の申し出に驚く。というかまだそこにいたのか。てっきり自席に戻ったのかと思った。
彼女の肩にはちょこんとルクスが乗っている。羽をパタパタと動かし、今にも飛び立ってしまいそう。
そういえば……アリアは何処にいるのだろう? 妖精は気分屋なので同じ場所に留まらない。夏季休暇の間もよく傍を離れて、どこかに行くことが多かった。避暑にも、召喚魔法で呼ばなきゃ来なかったし……。
(何か問題を起こしてなければいいのだけれど)
不安でしかない。数ヶ月一緒に過ごして段々彼女の性格が分かってきた。アリアは他の妖精に比べて落ち着きがないのだ。この間だってアリアの身体よりも大きい花瓶の水を変えようとして、落として割っていたし──
キョロキョロと一応教室の中にアリアがいないか私は視線を動かす。しかし、彼女がいるはずもなかった。いたら声で気がつくはずだ。あの子は黙っていることができないから。
「リーティア様、ご迷惑でしたか?」
視線を戻せば彼女は私の表情を窺っていた。
「あっ、いえ。とても嬉しいです」
考えずに答えてしまった。プレゼントなんて断ればよかっただろうか。貰ったらお返しをしなければならない。
「とっておきの! 探してみます!」
嬉しそうなのでそのままにしておくことにした。水を差すこともできたが、そこまでして断るのもどうかと思ったのだ。
そのあとも他愛もない会話をキャサリン様としていれば、アリアが戻って来る前に、先にヘレナ先生が教室に入ってくる。
「今日の午前中は、通常授業の時間割を変更して宝探しをしようと思います。契約した精霊と一緒に頑張ってください」
正面に構内の地図を浮かび上がらせ、ヘレナ先生は説明を続ける。
「構内の至る所にこの宝石──スヴァータを隠しました」
手を前に出して、物体を出現させる。ひとつではなくて、葉っぱやキノコ、虫の形などの形をしている。どうやら本物を真似て作ったホログラムらしい。透き通っているので、奥にある黒板が微かに見える。
「見ての通り形が変わっていますし、探索魔法を使っても見つからない細工を施していますよ?」
楽をしようとしていたらしい子息達から落胆の声が漏れ、ヘレナ先生は笑う。
「これを見つける一番の近道は契約した精霊と協力することです。信頼と普段仲良くしているかが鍵です」
「ヘレナ先生、何故精霊が鍵なのですか?」
元気よく手を上げたのはフローレンス様だった。
「それは、人間が持ってなくて、精霊達が持っているモノが活躍するからですよ。それが何なのかは最初から言ってしまうと面白くないので秘密です」
ウィンクをしながら口に手を当ててシーっという仕草をした。
パッと思いつくのは空を飛べること。空から見ると見つけやすいのだろうか。
「では、皆さんファイトです~! 一番多く見つけた人にはご褒美をあげます」
やる気に満ちた人達は一目散に教室から出ていった。
そんな中で私の視界を横切ったのはエレン様。彼女はアーネに急き立てられるように飛び出して行った。
「まずはアリアを呼び出さなくちゃね」
手の中に魔力を集めるよう意識する。
「おいで、アリア」
一学期で使役している契約精霊を呼び出すくらいならば、無詠唱で召喚魔法が使えるようになった。だから呼びかける必要もないのだが、ついつい言ってしまう。
光が手の中に満ちて、収束する。
「あ、リーリー! こんな時間に珍しいねー!」
珍しいと言ったのは、普段は彼女がしている事の邪魔をしたくなくて、極力呼び出さないようにしているからだろう。
ちょこんと座りながら出現したアリアは、朝もしたばかりなのにチュッとキスをしてくれた。彼女からのキスは少しだけこそばゆい。
「出てきてくれてありがとう。午前中だけ私に付き合ってくれる?」
「リーリーの頼みならなんでも聞くよ!」
即答だった。頬にアリアがすり寄ってくるのでされるがままになる。これで第一関門突破だ。
クラスメイトの中には精霊が召喚魔法を拒否して応じてくれない人がいた。今のところアリアは私が呼ぶと直ぐに現れてくれる。それが彼女と親しく、仲がいいと実感出来てとても嬉しい。
「アリアは何をすればいいの? 水で何かを押し流す? 金槌振り回す? それともほかの精霊と喧嘩?」
「そんな物騒なことさせないわ。宝探しをするのよ」
どうしたらそんな考えにいたるのだろうか。おかしくて笑ってしまう。
「探すのは苦手だよ? 頑張るけど役に立ちそうにない……」
「ヘレナ先生は精霊なら全員役に立つと仰っていたわ。人間が持ってなくて、精霊には持っているモノを使うらしいの。お宝はあれと同じ宝石」
ヘレナ先生が机の上に置いたホログラムを指さす。
「名前、分かる?」
「スヴァータと言っていたけれど……」
身近なガーネットやダイヤモンドとかそういう類の宝石ではないのは確かだった。宝飾品で使われる物でなければ、魔力が込められた魔法石に属する物だろう。
(それにしても聞いたことない名前なのよねぇ)
アリアはホログラムの所へ飛んで行った。
「あー! これかぁ!」
しばらく眺めたあと、アリアはその場で一回転する。
「見つけられる?」
「うん。簡単簡単。2つも目があればね。これならアリアも役に立てる!」
宝探し~! と言いながらアリアは廊下に出ていったので、私は慌てて追いかけたのだった。
見慣れた、忘れることの無い美しい手蹟で綴られていたのは、驚かせ、怯えさせてしまったことへの謝罪だった。私は見た瞬間、当日と同じように罪悪感と慚愧の念に駆られた。
今の彼は悪くないのにやってしまった。おまけに謝らせてしまった。きっとアルバート殿下だっていきなり拒絶を示されて、傷ついたに違いないのに。
しかも、届けられたのは手紙だけではなかった。皇宮からの使者は、小さな白い箱も私に手渡した。
丁寧に梱包された包みを受け取り、蓋を開ける。中から出てきたのは真新しいリボンだった。色は日向のような温かみのある黄色。
──君のをダメにしてしまったから。嫌だったら捨ててくれ。
最後にそう書かれ、手紙は締めくくられていた。
前世では最初で最後の贈り物として栞を貰った。それがどうやら今世ではリボンらしい。どちらも小さな、それほど豪華なものではない。日常で見るような、使うような、些細なものだ。
──ありがとうございます。
使者にそれだけ書いた淡い蒼色の一筆箋を渡した。大切に使わせていただきます。とか、書けばよかったのだろうけれど、あいにく己の心情的に書けそうにもなかった。
今後髪に付ける可能性はほとんどない。栞の時のように何度も眺めることやお守り代わりにすることもないだろう。むしろ捨ててしまう可能性の方がとても高い。
最後、ビリビリに破いてしまった栞。空中に散らばりながらゴミ箱に吸い込まれていった。あの後、主を亡くした部屋は掃除され、数少ない私物と一緒に捨てられたのだろうか。
いつの間にか前世のことを考えていた私は、意識を目の前に戻した。
手の中にある物。それに今はまだ向き合う覚悟も捨てる勇気も出なくて、白い箱に綺麗につめ直した後、普段開けないような衣装部屋の奥の方に隠すように片付けた。
アナベルはそんな私を見ても、何も言わず佇んでいた。少し残念そうにしながら。
きっと皇子からお詫びの品──プレゼントをいただけたのに、片付けてしまうことが勿体ないとか思っているのだろう。
彼女は皇宮で何かが起こったのだと勘づいている。多分……だけど。それでも何も聞いてこない。話すよう催促しない。
その心遣いが嬉しかった。私の口からは話したくなかったから。
そんなアナベルは私の髪を梳かしている。髪は梳かせば梳かすほど絹のように滑らかな手触りになる。だから彼女は毎日一生懸命に私の髪を梳かしてくれていた。おかげで周りに自慢出来るくらい艶やかだ。手で触れればいい匂いがする。
鏡の中に映る自分を見る。服装は青のチェックスカートに赤いフード付きローブ。一学期とは色合いが異なる。
今日は二学期の始まりだ。大祝祭のこともあるし、一学期よりも忙しくなるだろう。授業だって難しくなる。予習復習を怠ることは出来ない。
(悩むのは終わり。また次、同じことをしなかったらそれでいい)
「お嬢様、支度が終わりました」
どうやら今日は後ろでお団子みたい。朱のリボンとピンできっちり止められている。最後にいつもの耳飾りを付ければあとは馬車に乗るだけだ。
「いつもありがとうアナベル」
「──どういたしまして」
鏡を通して、微笑む彼女が見えた。
◇◇◇
「御機嫌ようリーティア様」
「御機嫌よう」
クラスメイトに軽く挨拶をして自席に座る。皆、久しぶりの再会だからかいつにもまして教室内は活気があった。
「リーティア様今日はお団子なのですね! 似合ってます」
声をかけてきたのはキャサリン様だった。
「ありがとう」
「だけど残念です。リボンはローズピンクじゃないのですね。お茶会の際、とってもお似合いでしたのに」
キャサリン様は自分の事のように悲しそうに目じりを下げた。
「…………あの日、王宮に片方置いてきてしまったようなの。気が付いて探しに戻っても出てこないからなくしてしまったらしいわ」
言っておいてだが、置いてきたのでは無い。捨ててきたのだ。
「まあ! リボンを落としたとなると、軽いですから既に飛ばされてしまったのかもしれませんね」
「そうですね。次から気をつけようと思ってます」
授業で使う教材を整理する。トントンと教科書を整えて、最初の授業で使わない物は机の中に入れた。
「あっ! では私がプレゼントしても?」
突然の申し出に驚く。というかまだそこにいたのか。てっきり自席に戻ったのかと思った。
彼女の肩にはちょこんとルクスが乗っている。羽をパタパタと動かし、今にも飛び立ってしまいそう。
そういえば……アリアは何処にいるのだろう? 妖精は気分屋なので同じ場所に留まらない。夏季休暇の間もよく傍を離れて、どこかに行くことが多かった。避暑にも、召喚魔法で呼ばなきゃ来なかったし……。
(何か問題を起こしてなければいいのだけれど)
不安でしかない。数ヶ月一緒に過ごして段々彼女の性格が分かってきた。アリアは他の妖精に比べて落ち着きがないのだ。この間だってアリアの身体よりも大きい花瓶の水を変えようとして、落として割っていたし──
キョロキョロと一応教室の中にアリアがいないか私は視線を動かす。しかし、彼女がいるはずもなかった。いたら声で気がつくはずだ。あの子は黙っていることができないから。
「リーティア様、ご迷惑でしたか?」
視線を戻せば彼女は私の表情を窺っていた。
「あっ、いえ。とても嬉しいです」
考えずに答えてしまった。プレゼントなんて断ればよかっただろうか。貰ったらお返しをしなければならない。
「とっておきの! 探してみます!」
嬉しそうなのでそのままにしておくことにした。水を差すこともできたが、そこまでして断るのもどうかと思ったのだ。
そのあとも他愛もない会話をキャサリン様としていれば、アリアが戻って来る前に、先にヘレナ先生が教室に入ってくる。
「今日の午前中は、通常授業の時間割を変更して宝探しをしようと思います。契約した精霊と一緒に頑張ってください」
正面に構内の地図を浮かび上がらせ、ヘレナ先生は説明を続ける。
「構内の至る所にこの宝石──スヴァータを隠しました」
手を前に出して、物体を出現させる。ひとつではなくて、葉っぱやキノコ、虫の形などの形をしている。どうやら本物を真似て作ったホログラムらしい。透き通っているので、奥にある黒板が微かに見える。
「見ての通り形が変わっていますし、探索魔法を使っても見つからない細工を施していますよ?」
楽をしようとしていたらしい子息達から落胆の声が漏れ、ヘレナ先生は笑う。
「これを見つける一番の近道は契約した精霊と協力することです。信頼と普段仲良くしているかが鍵です」
「ヘレナ先生、何故精霊が鍵なのですか?」
元気よく手を上げたのはフローレンス様だった。
「それは、人間が持ってなくて、精霊達が持っているモノが活躍するからですよ。それが何なのかは最初から言ってしまうと面白くないので秘密です」
ウィンクをしながら口に手を当ててシーっという仕草をした。
パッと思いつくのは空を飛べること。空から見ると見つけやすいのだろうか。
「では、皆さんファイトです~! 一番多く見つけた人にはご褒美をあげます」
やる気に満ちた人達は一目散に教室から出ていった。
そんな中で私の視界を横切ったのはエレン様。彼女はアーネに急き立てられるように飛び出して行った。
「まずはアリアを呼び出さなくちゃね」
手の中に魔力を集めるよう意識する。
「おいで、アリア」
一学期で使役している契約精霊を呼び出すくらいならば、無詠唱で召喚魔法が使えるようになった。だから呼びかける必要もないのだが、ついつい言ってしまう。
光が手の中に満ちて、収束する。
「あ、リーリー! こんな時間に珍しいねー!」
珍しいと言ったのは、普段は彼女がしている事の邪魔をしたくなくて、極力呼び出さないようにしているからだろう。
ちょこんと座りながら出現したアリアは、朝もしたばかりなのにチュッとキスをしてくれた。彼女からのキスは少しだけこそばゆい。
「出てきてくれてありがとう。午前中だけ私に付き合ってくれる?」
「リーリーの頼みならなんでも聞くよ!」
即答だった。頬にアリアがすり寄ってくるのでされるがままになる。これで第一関門突破だ。
クラスメイトの中には精霊が召喚魔法を拒否して応じてくれない人がいた。今のところアリアは私が呼ぶと直ぐに現れてくれる。それが彼女と親しく、仲がいいと実感出来てとても嬉しい。
「アリアは何をすればいいの? 水で何かを押し流す? 金槌振り回す? それともほかの精霊と喧嘩?」
「そんな物騒なことさせないわ。宝探しをするのよ」
どうしたらそんな考えにいたるのだろうか。おかしくて笑ってしまう。
「探すのは苦手だよ? 頑張るけど役に立ちそうにない……」
「ヘレナ先生は精霊なら全員役に立つと仰っていたわ。人間が持ってなくて、精霊には持っているモノを使うらしいの。お宝はあれと同じ宝石」
ヘレナ先生が机の上に置いたホログラムを指さす。
「名前、分かる?」
「スヴァータと言っていたけれど……」
身近なガーネットやダイヤモンドとかそういう類の宝石ではないのは確かだった。宝飾品で使われる物でなければ、魔力が込められた魔法石に属する物だろう。
(それにしても聞いたことない名前なのよねぇ)
アリアはホログラムの所へ飛んで行った。
「あー! これかぁ!」
しばらく眺めたあと、アリアはその場で一回転する。
「見つけられる?」
「うん。簡単簡単。2つも目があればね。これならアリアも役に立てる!」
宝探し~! と言いながらアリアは廊下に出ていったので、私は慌てて追いかけたのだった。
あなたにおすすめの小説
最愛の番に殺された獣王妃
望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。
彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。
手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。
聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。
哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて――
突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……?
「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」
謎の人物の言葉に、私が選択したのは――
あなたへの愛を捨てた日
柴田はつみ
恋愛
公爵夫人エステルは、冷徹な夫レオニスを心から愛していた。彼の好みを調べ、帰宅を待ちわび、献身的に尽くす毎日。
しかし、ある夜会の回廊で、エステルは残酷な真実を知る。
レオニスが、未亡人クラリスの手を取り囁いていたのだ。
「君のような(自立した)女性が、私の隣にいるべきだった」
エステルは悟る。自分の愛は彼にとって「重荷」であり、自分という人間は彼にとって「不足」だったのだと。その瞬間、彼女の中で何かが音を立てて砕け散る。
私が愛する王子様は、幼馴染を側妃に迎えるそうです
こことっと
恋愛
それは奇跡のような告白でした。
まさか王子様が、社交会から逃げ出した私を探しだし妃に選んでくれたのです。
幸せな結婚生活を迎え3年、私は幸せなのに不安から逃れられずにいました。
「子供が欲しいの」
「ごめんね。 もう少しだけ待って。 今は仕事が凄く楽しいんだ」
それから間もなく……彼は、彼の幼馴染を側妃に迎えると告げたのです。
「憎悪しか抱けない『お下がり令嬢』は、侍女の真似事でもやっていろ」と私を嫌う夫に言われましたので、素直に従った結果……
ぽんた
恋愛
「おれがおまえの姉ディアーヌといい仲だということは知っているよな?ディアーヌの離縁の決着がついた。だからやっと、彼女を妻に迎えられる。というわけで、おまえはもう用済みだ。そうだな。どうせだから、異母弟のところに行くといい。もともと、あいつはディアーヌと結婚するはずだったんだ。妹のおまえでもかまわないだろう」
この日、リン・オリヴィエは夫であるバロワン王国の第一王子マリユス・ノディエに告げられた。
選択肢のないリンは、「ひきこもり王子」と名高いクロード・ノディエのいる辺境の地へ向かう。
そこで彼女が会ったのは、噂の「ひきこもり王子」とはまったく違う気性が荒く傲慢な将軍だった。
クロードは、幼少の頃から自分や弟を守る為に「ひきこもり王子」を演じていたのである。その彼は、以前リンの姉ディアーヌに手痛い目にあったことがあった。その為、人間不信、とくに女性を敵視している。彼は、ディアーヌの妹であるリンを憎み、侍女扱いする。
しかし、あることがきっかけで二人の距離が急激に狭まる。が、それも束の間、王都が隣国のスパイの工作により、壊滅状態になっているいう報が入る。しかも、そのスパイの正体は、リンの知る人だった。
※全三十九話。ハッピーエンドっぽく完結します。ゆるゆる設定です。ご容赦ください。
十六歳の妹の誕生日、私はこの世を去る。
あいみ
恋愛
碌に手入れもされていない赤毛の伯爵令嬢、スカーレット。
宝石のように澄んだ青い髪をした伯爵令嬢、ルビア。
対極のような二人は姉妹。母親の違う。
お世辞にも美しいと言えない前妻の子供であるスカーレットは誰からも愛されない。
そばかすだらけで、笑顔が苦手な醜い姉。
天使のように愛らしく、誰からも好かれる可愛い妹。
生まれつき体の弱いルビアは長くは生きられないと宣告されていた。
両親の必死に看病や、“婚約者の献身的なサポート”のおかげで、日常生活が送れるようになるまで回復した。
だが……。運命とは残酷である。
ルビアの元に死神から知らせが届く。
十六歳の誕生日、ルビアの魂は天に還る、と。
美しい愛しているルビア。
失いたくない。殺されてなるものか。
それぞれのルビアを大切に思う想いが、一つの選択をさせた。
生まれてくる価値のなかった、醜いスカーレットを代わりに殺そう、と。
これは彼女が死ぬ前と死んだ後の、少しの物語。
〈完結〉【書籍化&コミカライズ・取り下げ予定】毒を飲めと言われたので飲みました。
ごろごろみかん。
恋愛
王妃シャリゼは、稀代の毒婦、と呼ばれている。
国中から批判された嫌われ者の王妃が、やっと処刑された。
悪は倒れ、国には平和が戻る……はずだった。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。