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彼女の今世
episode65
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「どういう風に魔力をこの子に注げばいいのかしら」
傘をさしながら魔法を使うのは大変なので急いで馬車へと戻り、腰掛ける。膝の上に予備のハンカチを敷いてその上にそっと妖精を乗せた。
「優しく包み込む想像をしながら魔法を展開すればいいよ。人間より妖精は小さいから注ぐ量は半分くらい」
手袋を脱いで妖精の手を取る。
(よし)
深呼吸してからアリアの指示に従って慎重に魔法を展開する。
私の指先から光が溢れ、妖精へと注がれていく。体が受け付けられる魔力量を超えると逆流してしまうので、それにも気をつけながら量を増やしていく。
最初の方は何も変化がなかったけれど、徐々に効果が現れてきた。光が彼女の全身を包み、切り傷は塞がり、アザになっていた所は元の皮膚の色へ戻っていく。
「リーリー、もういいよ」
言われてそっと手を離す。緊張からかじわりと汗ばんだ額を手の甲で拭いつつも、妖精からは目を離さない。
(うまく……いったかしら)
見た目的には成功したと見て取れるが。失敗して逆に害となったらどうしようかと、息をするのも忘れて起きるのを待つ。
「……んっ」
(あ!)
固唾を呑んで見守ること数分後、ゆるりと瞳が開いたところで体から力が抜ける。瞬きする妖精に私はゆっくり声をかける。
「──体はどう?」
「から、だ?」
ぼんやりとした目をしている。
「わたし……私はっ」
がばりといきなり体を起こした妖精はよろけ、アリアが支えに回った。手を取って、もう片方の腕を背中に回している。
「まだ動いちゃダメだよ。魔法で無理やり回復させただけだもん」
「あなたは……」
「──アリア。リーリーの契約妖精」
「アリアさま?」
「アリアでいいよ。同じ種族だもん仲間でしょ?」
妖精は小さく頷いた。
「……会話を遮るようでごめんなさい。もう一度聞くわ。体はどう?」
アリアに向いていた目が私を捉える。長い年月熟成された葡萄酒のように深い赤色の瞳に、絹のような金髪。今は絡まってしまっているが、梳かせば見違えるように艶を取り戻すだろう。
「──愛し子さまですよね」
「そうね。そう呼ぶ人もいるわ」
至って普通の人間なので呼び名負けしてるけれども。中々呼ばれない名前なので慣れておらず、くすぐったい。
「助けて下さりありがとうございます。私、ルーチェと申します」
深深とルーチェは頭を下げる。
「愛し子さまのおかげで体の痛みは無くなりました。本当に何とお礼を言えばいいのか分かりません」
無理に言っているようには見えないから成功したとこれは確信していいだろうか。回復魔法は初めて使ったけれど、失敗しなかったのは誇っていいかもしれない。
「私の名前はリーティア。愛し子さまなんて慇懃な呼び方しなくていいわ。アリアのようにリーリーでも、リーティアでも、呼びやすいもので呼んで」
ルーチェの緊張を解くため、柔らかく微笑む。彼女はちょっと戸惑いを見せた。
「流石に呼び捨てはできませんので……リーティアさまでもいいですか」
「ええ」
別に「様」も取り外して構わないのだが。私は手を伸ばし彼女の髪に触れる。
「ルーチェは私に助けを求めていたわね。内容を聞かせてくれるかしら」
するとみるみるうちに目を見開き青ざめた。今度は羽ばたこうとしたのを止める。ルーチェはそれでも飛ぼうと足掻く。
「リーティアさま助けてください! 私の仲間が囚われているのです!」
早口にルーチェは悲痛な叫び声を上げた。
「早くしなきゃみんな死んじゃう。そんなの絶対に嫌なんです。たったひとり、私だけの為にわざと物音を立てて、わざと挑発して監視の目を引き付けてっ」
喉をひくつかせ最後には大粒の涙をこぼした。ルーチェは強く目元を拭うが溢れ出る涙の方が量が多く、拭いきれない。
「戻ってきちゃダメだって言われたけど、戻らなきゃいけないんです。だけど、私は無力です。対妖精用の武器や何倍も大きい人間にはどう頑張っても敵いません。怪我を治療して頂いただけでも満足しなければならないですが……お願いします助けてください。終わったら煮るなり焼くなり私の事を好きなようにしていいですから」
(……対価として命を差し出すのね)
彼女だってボロボロで。命からがら逃げてきたはずなのに。それほどまでに囚われている仲間が大切なのだろう。
「対価は要らないわ」
「へ?」
こんな小さな──けれども、私よりきっと長い時を生きてきて、魔法にも長けている妖精に見返りを求めるなんて恥ずかしいことできるわけが無いし、したくもない。
「命を差し出さなくてもルーチェに手を貸すわ」
「っ! ありがとうございます」
ルーチェの瞳に光が灯る。
「囚われているなら一刻も早く助けた方がいいわね」
「はい。人間達は明日、私達をオークションにかけると話していましたから」
(なら、今日中に動かないと)
とはいえ、私が単独で悪党達の巣食う根城に突入したところであっさり倒されるに決まっている。返り討ちにあい、捕まってしまうのがオチだろう。
そんな負け戦はしない。
「妖精狩りは人攫いと同じ立派な犯罪よ」
二人に言い聞かせながらごそごそ胸元を探る。アリアから妖精狩りの話を聞いた時、ピンッと来たのだ。ちょうど適任者がいるじゃないかと。
引っ張り出したのはネックレスに通された鈍く光る指輪。
「妖精というか、精霊は魔法と切っても切り離せない存在。魔法の管轄は──魔法省よ」
細かく言えば魔法省の中でも精霊局が主に対応する案件。だけど、精霊局が主な担当局であるというだけで、その局でなかったとしても、魔法省に所属している時点で彼はこの件を無視できない。
妖精達が出品される現場は、所謂闇オークションというもので、犯罪や裏金稼ぎの温床となっているのが現状だ。帝国としても取り締まりたいに決まっている。
「私、ちょうど最近魔法省にコネができたの」
二人はきょとんとしている。アリアの方は勘づいても良さそうだけど、彼女は彼と会ってないから仕方の無いことかもしれない。
「私よりこの手の物に慣れていて、魔法に長けている強い味方に協力を仰ぎましょう」
(……来てくれるか分からないけれど)
手の中にある指輪。今日は約束している日では無いので無視されてしまうかもしれない。
(来てくれますように)
きゅっと軽く握って願う。うだうだする時間が惜しいので、一か八か指に嵌めて魔力を込める。
「──ウィオレス様」
指輪を使って呼べば、数秒の間を置いて気だるげな彼が正面の座席に姿を現した。よれよれの黒いローブに寝癖なのか髪の一部がぴょんっと跳ねている。
「こんにちはあいにくの雨ですね」
狭い馬車の中で空気の読めない挨拶を口にすると、ウィオレス様は眉を顰める。
「……ねえ、今日は会う約束してたか?」
「してません」
「……やっぱり出るんじゃなかった」
彼は呻きながら頭を抱えてしまう。どうやら分かってて、それでも応えてくれたらしい。
「何故、妖精が二人も居るんだ? 嫌な予感がするんだが、君が突然呼んだ理由と繋がっているのか?」
「それはですね……」
これまでの出来事を掻い摘んで話す。最初のうちは表情を変えず聞いていたが、途中からウィオレス様は遠い目をして、窓枠に頬杖をつきながら、打ちつける雨を眺めていた。
きちんと聞いているのか怪しかったが、何個か質問が飛んできたので聞いてくれていると信じたい。
「……──以上です」
「事情は理解したが……そもそも何で私に頼む? 私は君のようにお人好しでは無い。めんどくさい物には首を突っ込まない主義だ」
足を組み、頭を搔くヴィオレス様は呆れたように私を見た。
「それは直ぐに連絡が取れる魔術師様がウィオレス様しかいませんでしたし、ウィオレス様は面倒くさそうにしつつも、面倒見が良いので。事情を話せば協力してくださると」
私との練習だって「だるい。眠い」と文句を言いつつも最後まで付き合ってくれ、的確なアドバイスもしてくれた。そんな彼が、助けを乞う妖精を冷たく突き放すなんてしないと思ったのだ。
「今だってほら、私が突然呼んだのにもかかわらず無視せず応じて下さりました」
畳み掛ければ、はぁ~~~っとウィオレス様は長いため息をついた。
傘をさしながら魔法を使うのは大変なので急いで馬車へと戻り、腰掛ける。膝の上に予備のハンカチを敷いてその上にそっと妖精を乗せた。
「優しく包み込む想像をしながら魔法を展開すればいいよ。人間より妖精は小さいから注ぐ量は半分くらい」
手袋を脱いで妖精の手を取る。
(よし)
深呼吸してからアリアの指示に従って慎重に魔法を展開する。
私の指先から光が溢れ、妖精へと注がれていく。体が受け付けられる魔力量を超えると逆流してしまうので、それにも気をつけながら量を増やしていく。
最初の方は何も変化がなかったけれど、徐々に効果が現れてきた。光が彼女の全身を包み、切り傷は塞がり、アザになっていた所は元の皮膚の色へ戻っていく。
「リーリー、もういいよ」
言われてそっと手を離す。緊張からかじわりと汗ばんだ額を手の甲で拭いつつも、妖精からは目を離さない。
(うまく……いったかしら)
見た目的には成功したと見て取れるが。失敗して逆に害となったらどうしようかと、息をするのも忘れて起きるのを待つ。
「……んっ」
(あ!)
固唾を呑んで見守ること数分後、ゆるりと瞳が開いたところで体から力が抜ける。瞬きする妖精に私はゆっくり声をかける。
「──体はどう?」
「から、だ?」
ぼんやりとした目をしている。
「わたし……私はっ」
がばりといきなり体を起こした妖精はよろけ、アリアが支えに回った。手を取って、もう片方の腕を背中に回している。
「まだ動いちゃダメだよ。魔法で無理やり回復させただけだもん」
「あなたは……」
「──アリア。リーリーの契約妖精」
「アリアさま?」
「アリアでいいよ。同じ種族だもん仲間でしょ?」
妖精は小さく頷いた。
「……会話を遮るようでごめんなさい。もう一度聞くわ。体はどう?」
アリアに向いていた目が私を捉える。長い年月熟成された葡萄酒のように深い赤色の瞳に、絹のような金髪。今は絡まってしまっているが、梳かせば見違えるように艶を取り戻すだろう。
「──愛し子さまですよね」
「そうね。そう呼ぶ人もいるわ」
至って普通の人間なので呼び名負けしてるけれども。中々呼ばれない名前なので慣れておらず、くすぐったい。
「助けて下さりありがとうございます。私、ルーチェと申します」
深深とルーチェは頭を下げる。
「愛し子さまのおかげで体の痛みは無くなりました。本当に何とお礼を言えばいいのか分かりません」
無理に言っているようには見えないから成功したとこれは確信していいだろうか。回復魔法は初めて使ったけれど、失敗しなかったのは誇っていいかもしれない。
「私の名前はリーティア。愛し子さまなんて慇懃な呼び方しなくていいわ。アリアのようにリーリーでも、リーティアでも、呼びやすいもので呼んで」
ルーチェの緊張を解くため、柔らかく微笑む。彼女はちょっと戸惑いを見せた。
「流石に呼び捨てはできませんので……リーティアさまでもいいですか」
「ええ」
別に「様」も取り外して構わないのだが。私は手を伸ばし彼女の髪に触れる。
「ルーチェは私に助けを求めていたわね。内容を聞かせてくれるかしら」
するとみるみるうちに目を見開き青ざめた。今度は羽ばたこうとしたのを止める。ルーチェはそれでも飛ぼうと足掻く。
「リーティアさま助けてください! 私の仲間が囚われているのです!」
早口にルーチェは悲痛な叫び声を上げた。
「早くしなきゃみんな死んじゃう。そんなの絶対に嫌なんです。たったひとり、私だけの為にわざと物音を立てて、わざと挑発して監視の目を引き付けてっ」
喉をひくつかせ最後には大粒の涙をこぼした。ルーチェは強く目元を拭うが溢れ出る涙の方が量が多く、拭いきれない。
「戻ってきちゃダメだって言われたけど、戻らなきゃいけないんです。だけど、私は無力です。対妖精用の武器や何倍も大きい人間にはどう頑張っても敵いません。怪我を治療して頂いただけでも満足しなければならないですが……お願いします助けてください。終わったら煮るなり焼くなり私の事を好きなようにしていいですから」
(……対価として命を差し出すのね)
彼女だってボロボロで。命からがら逃げてきたはずなのに。それほどまでに囚われている仲間が大切なのだろう。
「対価は要らないわ」
「へ?」
こんな小さな──けれども、私よりきっと長い時を生きてきて、魔法にも長けている妖精に見返りを求めるなんて恥ずかしいことできるわけが無いし、したくもない。
「命を差し出さなくてもルーチェに手を貸すわ」
「っ! ありがとうございます」
ルーチェの瞳に光が灯る。
「囚われているなら一刻も早く助けた方がいいわね」
「はい。人間達は明日、私達をオークションにかけると話していましたから」
(なら、今日中に動かないと)
とはいえ、私が単独で悪党達の巣食う根城に突入したところであっさり倒されるに決まっている。返り討ちにあい、捕まってしまうのがオチだろう。
そんな負け戦はしない。
「妖精狩りは人攫いと同じ立派な犯罪よ」
二人に言い聞かせながらごそごそ胸元を探る。アリアから妖精狩りの話を聞いた時、ピンッと来たのだ。ちょうど適任者がいるじゃないかと。
引っ張り出したのはネックレスに通された鈍く光る指輪。
「妖精というか、精霊は魔法と切っても切り離せない存在。魔法の管轄は──魔法省よ」
細かく言えば魔法省の中でも精霊局が主に対応する案件。だけど、精霊局が主な担当局であるというだけで、その局でなかったとしても、魔法省に所属している時点で彼はこの件を無視できない。
妖精達が出品される現場は、所謂闇オークションというもので、犯罪や裏金稼ぎの温床となっているのが現状だ。帝国としても取り締まりたいに決まっている。
「私、ちょうど最近魔法省にコネができたの」
二人はきょとんとしている。アリアの方は勘づいても良さそうだけど、彼女は彼と会ってないから仕方の無いことかもしれない。
「私よりこの手の物に慣れていて、魔法に長けている強い味方に協力を仰ぎましょう」
(……来てくれるか分からないけれど)
手の中にある指輪。今日は約束している日では無いので無視されてしまうかもしれない。
(来てくれますように)
きゅっと軽く握って願う。うだうだする時間が惜しいので、一か八か指に嵌めて魔力を込める。
「──ウィオレス様」
指輪を使って呼べば、数秒の間を置いて気だるげな彼が正面の座席に姿を現した。よれよれの黒いローブに寝癖なのか髪の一部がぴょんっと跳ねている。
「こんにちはあいにくの雨ですね」
狭い馬車の中で空気の読めない挨拶を口にすると、ウィオレス様は眉を顰める。
「……ねえ、今日は会う約束してたか?」
「してません」
「……やっぱり出るんじゃなかった」
彼は呻きながら頭を抱えてしまう。どうやら分かってて、それでも応えてくれたらしい。
「何故、妖精が二人も居るんだ? 嫌な予感がするんだが、君が突然呼んだ理由と繋がっているのか?」
「それはですね……」
これまでの出来事を掻い摘んで話す。最初のうちは表情を変えず聞いていたが、途中からウィオレス様は遠い目をして、窓枠に頬杖をつきながら、打ちつける雨を眺めていた。
きちんと聞いているのか怪しかったが、何個か質問が飛んできたので聞いてくれていると信じたい。
「……──以上です」
「事情は理解したが……そもそも何で私に頼む? 私は君のようにお人好しでは無い。めんどくさい物には首を突っ込まない主義だ」
足を組み、頭を搔くヴィオレス様は呆れたように私を見た。
「それは直ぐに連絡が取れる魔術師様がウィオレス様しかいませんでしたし、ウィオレス様は面倒くさそうにしつつも、面倒見が良いので。事情を話せば協力してくださると」
私との練習だって「だるい。眠い」と文句を言いつつも最後まで付き合ってくれ、的確なアドバイスもしてくれた。そんな彼が、助けを乞う妖精を冷たく突き放すなんてしないと思ったのだ。
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