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彼女の今世
episode75
「天界ですか」
「うん、普段リティが生活している下界とは時間の流れや生態系が違う事を除けばほぼ同じような場所ね。エルニカが判断して連れてきたみたい」
エルニカ猊下は水を注いだコップを私に渡しながら言う。
「あれだけ消耗していると魔力が完全回復するまで時間がかかるのよ。天界であれば回復速度も早まり、時間経過も遅いから、他の者からも不在を邪推されずにすむでしょう。こちらではもう三日経っているけれど、下界ではまだ三十分も経っていないはずよ」
(そんなに差があるんだ)
ということは天界の一日が普段暮らしている世界の十分程度なのだろうか?
確かに外は穏やかな安らげる光景が広がっていて、体感でも時の流れを遅く感じる。
「で、リティが倒れたのはこちらの不手際だったから一応ね、私が診ることになったの。それが今、私がここにいる理由」
「では、枯渇以外に悪いところはありましたか」
「ないわ! 至って健康体よ。数年見ないうちにどんどん大きくなって人間の成長は早いわ~~」
にこにことしているノルン様は優しく私の頭を撫でる。
(となると……忘れないうちに聞いてしまおう)
「ノルン様」
「なあに」
「──私の魔力が擬似枯渇した際、髪と瞳の色が若干変化したのです。その理由をノルン様は知っていますよね。教えて頂けますか」
尋ねた途端全力で目を逸らすノルン様にエルニカ様は呆れた目をしている。
「説明されてないのですか」
「だって普通に生活する上では必要ないじゃん……」
「そもそも、ノルン様の迂闊な行動でリーティアさんの人生を大きく狂わせてしまったのですよ? 今更それを貴女様が言いますか?」
ピシャリと言い放ったエルニカ猊下は私に向き直る。
「リーティアさんもどんどんこの人に仰って頂いていいんですよ。溜め込むことになるくらいなら吐き出してくださいね。リーティアさんに関係することでノルン様が追い詰められるのは自業自得ですので。以前にも言いましたけど、もっと怒っていいのよ」
あけすけな物言いに若干置いてきぼりをくらってしまう。
(…………エルニカ猊下にとっても敬う対象のはずよね?)
まるで同僚のような空気感だ。けれども、ノルン様は気分を害した様子はない。唇を尖らせてはいるが、反論するつもりもないようだった。
「分かっているわ。全部私の責任。贖罪はする」
そうして手を叩いたノルン様の前には椅子が二対現れる。それを寝台のすぐ横に浮遊魔法で移動させ、腰掛けた。エルニカ猊下も隣に座る。
「とっても簡潔に説明すると、エルが魔法を行使する際にリティから吸い上げた魔力の影響で一時的に聖女の方に性質が寄ってしまったのよ」
「寄ったって……どういうことですか」
「ちょっとややこしくて……まず保有する魔力について少し説明を加えないといけないのだけれど。大前提としてリティの中にある魔力って、唯一無二な特別なの」
ノルン様は二つの白と金の水球を私との間に浮かせる。
「人間が持つ魔力を左の白の水球に例えると、私達神々が持つ魔力は右の金ね。だから根本から使える魔法が違う」
「では聖女は白の方ですか?」
「そう思うでしょう? そこからがとってもややこしいのよ。聖女は完全な白ではないの。私達、神々の魔力がね、元々持っている魔力に混ざるのよ」
説明とともに白と金の水球がぶつかり、溶け合った。きらきらと輝く水球に私は目が吸い寄せられる。
「これが聖女の魔力ね。だからこそ、神聖魔法という私たちの魔法に似た特別な魔法が聖女は扱える。で、ここからなんだけどリティの魔力はね、白と金どちらも保持していて、その上で普段は混ざらずに両立しているのよ」
ノルン様がパチンと指を鳴らすと透明な水球がもうひとつ現れ、その中に先程混ざった白と金の水球が個々自律してすっぽり収まる。
「転生する前に私が貴女に神々の魔力を授けた結果、産まれた時から二つの魔力が体内にあって、身体はそれが正常だと判断してそのまま順応したみたいなのよね」
「……聖女は混ざるのですよね?」
「そちらは元々体内で確立している所に新たな魔力を押し付けるようなものだから。私達が聖女を選んだ際、魔力を異物として排除されないよう混ぜてしまうの」
(そんな都合のいいこと……頭痛くなりそう)
ノルン様の説明を全て完璧に理解した訳では無いが、今の話から聖女に寄ってしまった理由よりももっと厄介なことに気づいてしまう。
「つまり、あの、これは憶測ですが…………二つの魔力を個々に使えると思われる私も──ノルン様と同じ人間では扱えないような魔法の使用が理論上可能ということですよね」
怖くてノルン様の顔が見れず、そっとエルニカ猊下の方を見ると、猊下は同情するような眼差しを向けてきていて、もうそれだけで悟ってしまう。
(肯定されたのと同じじゃない)
顔を覆って俯いた私にノルン様は忙しなくおろおろとする。
「ご、ごめんなさい、そんなに嫌? でも、そこまで悪いものじゃ──」
「巻き込まれるのは仕方がないことだと諦めていましたが……このままでは永遠に叶わなそうなので伝えておきますね。ノルン様、私に平穏な日々をください。私の幸せは、望みは、それだけです。力を持つに越したことはないですが、必要以上の力はトラブルの元になるので避けたいです」
言葉を遮り、低い声でそれだけ伝えるとノルン様はますます焦る。
「わ、わかってる! わかってるわ! だから魔力の半分は封印していたの! リティが意図せず使ってしまうことがないようにって! 予防策は講じていたのよ。なのにっ」
後をエルニカ猊下が引き継ぐ。
「何度か解かれてるのよ。まあ、その内一回は私で、その前にもアリアが一時的に封印を解いたみたいだけど」
「えっ」
驚いて顔を上げるとエルニカ猊下は自身の額をトントン叩いた。
「今回、儀式が始まる前にリーティアさんの額にキスをしたでしょう? アレよ」
「ああ!」
注がれる魔力に嫌な予感を抱いたのでよく覚えている。
(あんなあっさり……って!)
「アリアもですか?」
聞き捨てならない名前だ。
「そうよ。知らなかったの? あの子が解いたことで若干封印が緩んでいたわ」
「知りませんでした」
(いつだろう。身に覚えがないわ。後で問い詰めないと)
もしかしたら今回の件よりも早く他の人にバレてしまったかもしれない。帰ったらアリアへの説教を固く心に誓う。
「それで話を戻すと私が封印を解いたことで吸い上げる途中で魔力が混ざってしまい、髪と瞳に影響が出てしまったみたい。申し訳ないわ」
「顔をお上げください! エルニカ様はそのようなことも考慮して私にヴェールを被せていたのでは?」
「万が一に備えてね。私が協力を頼んだ側なのに、貴女に多大な不利益を被らせる可能性は避けなければならないもの」
結果としてウィオレス様には勘づかれてしまったが、まあ彼にはそのうちバレていた気もするので許容範囲内だ。
その後こまごまとした質問し、エルニカ猊下と共に下界に戻ることになった。
転移陣の上に移動し、見送ってくださるノルン様を見上げる。
「せっかくお会いできたのでもうひとつお尋ねしてもよろしいでしょうか」
「もちろんよ。なんでも聞いてちょうだい」
「──レリーナはこの世界にも居るのですよね」
ノルン様はちょっと言葉に詰まる。
「いるわ。いるけれど、リティの想像している通りで存在しているわけではない」
ノルン様は咲いていた花を手折って私の耳元に挿す。ふわりと鼻をくすぐる甘い匂いは波が引くように消えていく。
「聖女ではないってことですよね」
「…………そうね。だから彼の伴侶の座に一番近いのはリティよ。そこは変わらない」
「……私はなりたくありません」
「うん、それでもいい。運命はまだ定まってないから貴女の意思を貫き通せばいいのよ。そうしたら自ずと最善の道は開ける」
そう、私を鼓舞してくれたが。
転移魔法発動の直後、朧気になっていくノルン様の唇は「ごめんなさい」と微かに動いた気がした。
「うん、普段リティが生活している下界とは時間の流れや生態系が違う事を除けばほぼ同じような場所ね。エルニカが判断して連れてきたみたい」
エルニカ猊下は水を注いだコップを私に渡しながら言う。
「あれだけ消耗していると魔力が完全回復するまで時間がかかるのよ。天界であれば回復速度も早まり、時間経過も遅いから、他の者からも不在を邪推されずにすむでしょう。こちらではもう三日経っているけれど、下界ではまだ三十分も経っていないはずよ」
(そんなに差があるんだ)
ということは天界の一日が普段暮らしている世界の十分程度なのだろうか?
確かに外は穏やかな安らげる光景が広がっていて、体感でも時の流れを遅く感じる。
「で、リティが倒れたのはこちらの不手際だったから一応ね、私が診ることになったの。それが今、私がここにいる理由」
「では、枯渇以外に悪いところはありましたか」
「ないわ! 至って健康体よ。数年見ないうちにどんどん大きくなって人間の成長は早いわ~~」
にこにことしているノルン様は優しく私の頭を撫でる。
(となると……忘れないうちに聞いてしまおう)
「ノルン様」
「なあに」
「──私の魔力が擬似枯渇した際、髪と瞳の色が若干変化したのです。その理由をノルン様は知っていますよね。教えて頂けますか」
尋ねた途端全力で目を逸らすノルン様にエルニカ様は呆れた目をしている。
「説明されてないのですか」
「だって普通に生活する上では必要ないじゃん……」
「そもそも、ノルン様の迂闊な行動でリーティアさんの人生を大きく狂わせてしまったのですよ? 今更それを貴女様が言いますか?」
ピシャリと言い放ったエルニカ猊下は私に向き直る。
「リーティアさんもどんどんこの人に仰って頂いていいんですよ。溜め込むことになるくらいなら吐き出してくださいね。リーティアさんに関係することでノルン様が追い詰められるのは自業自得ですので。以前にも言いましたけど、もっと怒っていいのよ」
あけすけな物言いに若干置いてきぼりをくらってしまう。
(…………エルニカ猊下にとっても敬う対象のはずよね?)
まるで同僚のような空気感だ。けれども、ノルン様は気分を害した様子はない。唇を尖らせてはいるが、反論するつもりもないようだった。
「分かっているわ。全部私の責任。贖罪はする」
そうして手を叩いたノルン様の前には椅子が二対現れる。それを寝台のすぐ横に浮遊魔法で移動させ、腰掛けた。エルニカ猊下も隣に座る。
「とっても簡潔に説明すると、エルが魔法を行使する際にリティから吸い上げた魔力の影響で一時的に聖女の方に性質が寄ってしまったのよ」
「寄ったって……どういうことですか」
「ちょっとややこしくて……まず保有する魔力について少し説明を加えないといけないのだけれど。大前提としてリティの中にある魔力って、唯一無二な特別なの」
ノルン様は二つの白と金の水球を私との間に浮かせる。
「人間が持つ魔力を左の白の水球に例えると、私達神々が持つ魔力は右の金ね。だから根本から使える魔法が違う」
「では聖女は白の方ですか?」
「そう思うでしょう? そこからがとってもややこしいのよ。聖女は完全な白ではないの。私達、神々の魔力がね、元々持っている魔力に混ざるのよ」
説明とともに白と金の水球がぶつかり、溶け合った。きらきらと輝く水球に私は目が吸い寄せられる。
「これが聖女の魔力ね。だからこそ、神聖魔法という私たちの魔法に似た特別な魔法が聖女は扱える。で、ここからなんだけどリティの魔力はね、白と金どちらも保持していて、その上で普段は混ざらずに両立しているのよ」
ノルン様がパチンと指を鳴らすと透明な水球がもうひとつ現れ、その中に先程混ざった白と金の水球が個々自律してすっぽり収まる。
「転生する前に私が貴女に神々の魔力を授けた結果、産まれた時から二つの魔力が体内にあって、身体はそれが正常だと判断してそのまま順応したみたいなのよね」
「……聖女は混ざるのですよね?」
「そちらは元々体内で確立している所に新たな魔力を押し付けるようなものだから。私達が聖女を選んだ際、魔力を異物として排除されないよう混ぜてしまうの」
(そんな都合のいいこと……頭痛くなりそう)
ノルン様の説明を全て完璧に理解した訳では無いが、今の話から聖女に寄ってしまった理由よりももっと厄介なことに気づいてしまう。
「つまり、あの、これは憶測ですが…………二つの魔力を個々に使えると思われる私も──ノルン様と同じ人間では扱えないような魔法の使用が理論上可能ということですよね」
怖くてノルン様の顔が見れず、そっとエルニカ猊下の方を見ると、猊下は同情するような眼差しを向けてきていて、もうそれだけで悟ってしまう。
(肯定されたのと同じじゃない)
顔を覆って俯いた私にノルン様は忙しなくおろおろとする。
「ご、ごめんなさい、そんなに嫌? でも、そこまで悪いものじゃ──」
「巻き込まれるのは仕方がないことだと諦めていましたが……このままでは永遠に叶わなそうなので伝えておきますね。ノルン様、私に平穏な日々をください。私の幸せは、望みは、それだけです。力を持つに越したことはないですが、必要以上の力はトラブルの元になるので避けたいです」
言葉を遮り、低い声でそれだけ伝えるとノルン様はますます焦る。
「わ、わかってる! わかってるわ! だから魔力の半分は封印していたの! リティが意図せず使ってしまうことがないようにって! 予防策は講じていたのよ。なのにっ」
後をエルニカ猊下が引き継ぐ。
「何度か解かれてるのよ。まあ、その内一回は私で、その前にもアリアが一時的に封印を解いたみたいだけど」
「えっ」
驚いて顔を上げるとエルニカ猊下は自身の額をトントン叩いた。
「今回、儀式が始まる前にリーティアさんの額にキスをしたでしょう? アレよ」
「ああ!」
注がれる魔力に嫌な予感を抱いたのでよく覚えている。
(あんなあっさり……って!)
「アリアもですか?」
聞き捨てならない名前だ。
「そうよ。知らなかったの? あの子が解いたことで若干封印が緩んでいたわ」
「知りませんでした」
(いつだろう。身に覚えがないわ。後で問い詰めないと)
もしかしたら今回の件よりも早く他の人にバレてしまったかもしれない。帰ったらアリアへの説教を固く心に誓う。
「それで話を戻すと私が封印を解いたことで吸い上げる途中で魔力が混ざってしまい、髪と瞳に影響が出てしまったみたい。申し訳ないわ」
「顔をお上げください! エルニカ様はそのようなことも考慮して私にヴェールを被せていたのでは?」
「万が一に備えてね。私が協力を頼んだ側なのに、貴女に多大な不利益を被らせる可能性は避けなければならないもの」
結果としてウィオレス様には勘づかれてしまったが、まあ彼にはそのうちバレていた気もするので許容範囲内だ。
その後こまごまとした質問し、エルニカ猊下と共に下界に戻ることになった。
転移陣の上に移動し、見送ってくださるノルン様を見上げる。
「せっかくお会いできたのでもうひとつお尋ねしてもよろしいでしょうか」
「もちろんよ。なんでも聞いてちょうだい」
「──レリーナはこの世界にも居るのですよね」
ノルン様はちょっと言葉に詰まる。
「いるわ。いるけれど、リティの想像している通りで存在しているわけではない」
ノルン様は咲いていた花を手折って私の耳元に挿す。ふわりと鼻をくすぐる甘い匂いは波が引くように消えていく。
「聖女ではないってことですよね」
「…………そうね。だから彼の伴侶の座に一番近いのはリティよ。そこは変わらない」
「……私はなりたくありません」
「うん、それでもいい。運命はまだ定まってないから貴女の意思を貫き通せばいいのよ。そうしたら自ずと最善の道は開ける」
そう、私を鼓舞してくれたが。
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