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彼女の今世
episode77
魔法陣を展開し、蜘蛛の巣のように緻密な魔力の塊を円形に広げていくと、探していた「それ」がようやく引っかかった。
「──いた」
引っかかった座標まで即座に転移し、地を力強く蹴って飛び上がった私は、そのまま浮遊魔法を行使して空高く舞い上がる。一気に開けた視界で地上を見下ろせば、目的のものがふわふわと飛んでいるのを視認した。
「ルーチェ」
「はい!」
契約している妖精の片方を呼べば私の意図を読み取って、魔法を発動する。きらきらと輝く金の線が「それ」に向かって伸びていった。逃げ道を塞ぎ、鳥籠のような形に変えてそれを捕らえるとようやく私は一息つけた。
そうして今回、私に捕獲をお願いしてきた彼を呼ぶ。
「モルス様、回収する魂はこちらで合っていますか」
即時にシュンッと何も無いところから転移してきた黒髪の男性──モルス様も、魔法で作った鳥かごの中に複数の魂を入れていた。
私はルーチェの魔法で作った鳥かごごとモルス様に差し出した。モルス様は中の魂だけ取り出して自分の持っていた物に入れた。
「合っています。リーティア様のおかげで回収が捗ります。何とお礼を申し上げたら良いのか……」
「ご謙遜を。私はまだ未熟ですからモルス様が広範囲に探知魔法をかけた方が効率よく探せると思いますが……」
残業が減って嬉しいと歓喜しているモルス様は私の言葉に首を横に振った。
「私の探知魔法では精度の面でリーティア様に劣ります。天界と下界、どっちつかずの状態でさまよう魂たちはどちらの魔力も帯びている。私は神の領域の者なので、ふたつを併せ持ち、時には混ぜて使えるリーティア様の探知魔法の方が引っかかるのですよ」
「そういうものなのですか」
「そういうものなのです」
思わず自分の掌をしげしげと眺めてしまう。せっかく私だけが使えるこの魔力を封じて隠し通すのは宝の持ち腐れだと、ここ数年エルニカ猊下に色々教え込まれたのだが、いまいち凄さを実感できない。
「あの、私の姿はきちんと他の人から隠れていますか」
「はい、人間からは見えなくなっています。精霊たちには纏う魔力で勘づかれてしまいますが」
安心してくださいと微笑むモルス様には白銀の髪に蜂蜜を溶かしたかのような髪色と、若干紫水を帯びた瞳を持つ私が映っていることだろう。
「これ、どうにかなりませんか?」
私が自分の髪を引っ張る頃には魔力が抜け落ちて元の髪色に戻り始めていた。
「すみません。私には……」
曖昧な返答に思わずため息が漏れてしまう。
(元から持っていた魔力だけなら変わらないのに、ノルン様から頂いた魔力を使うとどうしても聖女の色合いになってしまう)
難しいことは分からないが、簡単に言うと性質が聖女の方に引っ張られてしまうらしい。それは以前話してくれた、聖女のようにふたつの魔力を混ぜて使う時だけでなく、ノルン様達が扱う魔法を使う時もだ。
ただ、使う魔力量など複合的な要因で色合いが変化するらしく、はっきりとこうしたらこうなる! みたいな基準はないのだとか。
そのため今日のお手伝いにあたって認識阻害の魔法をモルス様にかけてもらっていた。
「今回は予想より早く終わりました」
紙に書かれた名前にモルス様は線を引いて消していく。ずらりと一覧になっているそれは全ての名前に線が引かれていたのだけれど、ふと疑問に思う箇所があった。
「あの、この黒塗りの魂は回収しなくてよろしいのですか」
一箇所だけインクで塗りつぶされた部分があるのだ。私が首を傾げると、モルス様は鳥かごを異空間に収納してから答えてくれた。
「ああ、これは回収したくとも現状不可能なものですね。監視はしているのですが中々干渉できず」
「回収不能なんてことあるんですか?」
本来、この世界の人間は死ぬとそのまま天界へと向かい、そこで転生して地上へ戻ることを繰り返しているらしい。稀に、取り返しのつかないほどの悪に手を染めた者たちは魂も汚れていてすぐの転生が不可能となる。
そういう人は魂が浄化されるまで悠久の時を過ごすとノルン様達に教えてもらった。
また、極々稀に魂が天界へと向かわずに現世に留まってしまうことがある。この場合、放置しておくと周りの生きている人間たちから負の感情を吸い取って汚れていない魂も汚れてしまうことがあるのだとか。
それを防ぐために定期的に迷える魂を回収し、天界へ送り届ける仕事をモルス様は担っている。
出会った頃より成長した私も、特有の魔力が役に立つと聞いてこれも何かの縁だし……とたまにお手伝いしている。
「現世に癒着しているので無理やり剥がそうとすると他のところにも悪影響が及んでしまうのです」
「例えばどのような影響が?」
「生きている人間の負の感情を増幅し、争いが増えやすくなるとかですかね。火種が大きくなればなるほど大きな紛争や戦争にも繋がります」
(……それは避けなければならないことね)
肩に乗ってきたルーチェの頭を撫でながら、眉をひそめつつ疑問に思ったことをぶつける。
「ですが、長い間現世にいると魂が汚れてしまうんでしたよね」
「ええそうです。ただこの魂は既にそういう問題にならないところまで落ちているので……全部ノルン様の責任ですけど。全く嫌になる」
さらりと笑顔で毒づくモルス様の顔とエルニカ猊下の表情が重なった。猊下もまた私が会いに行くとノルン様の愚痴を露わにして、笑顔で毒づくのだ。「一度神殿の湖に沈めれば、頭が冷えて問題を解決するのではなくややこしくする性質が少しは治らないかしら?」みたいに。
(ノルン様よりも周りの人が大変そう)
年々関わりが強くなるにつれて強く思う。もちろん、ふらふらとしているように見えるのは外面だけで、内面ではとっても色んなことを考えて行動しているのかもしれないが。今のところ全くそう見えないから。
「モルス様、倒れる前に休んでくださいね。私はモルス様のお仕事の一部分しか知りませんが、よく働いていますし、このままだと疲労で倒れてしまいそうです」
「ありがとうございます。私も休みたいです。まあ全部ノルン様次第なので。それに過労で倒れても人間とは違い死ぬことはありませんから」
はははと乾いた笑いを漏らしながら遠くを見つめている。これは多分休めないパターンだ……。
「ではそろそろリーティア様をご自宅にお送りしますね」
「あっその前に」
転移魔法の陣を展開しようとしたモルス様の動きを制する。
「モルス様にお尋ねしたいことがあるのです」
来週から私は学校の中で五年生になる。それだけなら何の意味合いも持たないのだが、前世の記憶を合わせると今年は未来の転換点と言ってもいいほど大事な年なのだ。
(アルバート殿下の態度が急に硬化したのはレリーナが現れたから。けど、その前にも彼の心の安定を欠く大きな出来事があった)
私は今も殿下の婚約者になるつもりは一切ないし、あまり関わりを持ちたくないのは変わっていない。ただ、アルバート殿下の人生を揺るがすこの件は見て見ぬふりをしづらかった。悲しい出来事なので回避できるなら回避したい。私にとっても前世では関わりが深い人だったから。
モルス様、ひいてはその上に降臨するノルン様は時を司る神様だ。この件に一番通じている。
だから尋ねることに決めたのだ。私はモルス様を真っ直ぐ見据えた。
「──人の死期をずらすことは可能ですか? 例えば病に侵され亡くなるはずだった人を癒して生きながらえさせる。そのようなことは許されますか?」
今年の夏、一人の人物が命を落とす。あまりの早さに国民は嘆き悲しむ。伴侶だったアデライン様もショックで寝込み、心を蝕んだのか後を追うように早すぎる死を迎えた。
「前世と同じならば、今年の夏に亡くなるはずであるルーファス皇帝陛下。彼を救うことは可能ですか?」
それはアルバート殿下がなんの準備も無しに異例の若さで帝国の頂点に君臨することとなった要因だった。
***
今年もありがとうございました。皆様良いお年をお迎えください。
「──いた」
引っかかった座標まで即座に転移し、地を力強く蹴って飛び上がった私は、そのまま浮遊魔法を行使して空高く舞い上がる。一気に開けた視界で地上を見下ろせば、目的のものがふわふわと飛んでいるのを視認した。
「ルーチェ」
「はい!」
契約している妖精の片方を呼べば私の意図を読み取って、魔法を発動する。きらきらと輝く金の線が「それ」に向かって伸びていった。逃げ道を塞ぎ、鳥籠のような形に変えてそれを捕らえるとようやく私は一息つけた。
そうして今回、私に捕獲をお願いしてきた彼を呼ぶ。
「モルス様、回収する魂はこちらで合っていますか」
即時にシュンッと何も無いところから転移してきた黒髪の男性──モルス様も、魔法で作った鳥かごの中に複数の魂を入れていた。
私はルーチェの魔法で作った鳥かごごとモルス様に差し出した。モルス様は中の魂だけ取り出して自分の持っていた物に入れた。
「合っています。リーティア様のおかげで回収が捗ります。何とお礼を申し上げたら良いのか……」
「ご謙遜を。私はまだ未熟ですからモルス様が広範囲に探知魔法をかけた方が効率よく探せると思いますが……」
残業が減って嬉しいと歓喜しているモルス様は私の言葉に首を横に振った。
「私の探知魔法では精度の面でリーティア様に劣ります。天界と下界、どっちつかずの状態でさまよう魂たちはどちらの魔力も帯びている。私は神の領域の者なので、ふたつを併せ持ち、時には混ぜて使えるリーティア様の探知魔法の方が引っかかるのですよ」
「そういうものなのですか」
「そういうものなのです」
思わず自分の掌をしげしげと眺めてしまう。せっかく私だけが使えるこの魔力を封じて隠し通すのは宝の持ち腐れだと、ここ数年エルニカ猊下に色々教え込まれたのだが、いまいち凄さを実感できない。
「あの、私の姿はきちんと他の人から隠れていますか」
「はい、人間からは見えなくなっています。精霊たちには纏う魔力で勘づかれてしまいますが」
安心してくださいと微笑むモルス様には白銀の髪に蜂蜜を溶かしたかのような髪色と、若干紫水を帯びた瞳を持つ私が映っていることだろう。
「これ、どうにかなりませんか?」
私が自分の髪を引っ張る頃には魔力が抜け落ちて元の髪色に戻り始めていた。
「すみません。私には……」
曖昧な返答に思わずため息が漏れてしまう。
(元から持っていた魔力だけなら変わらないのに、ノルン様から頂いた魔力を使うとどうしても聖女の色合いになってしまう)
難しいことは分からないが、簡単に言うと性質が聖女の方に引っ張られてしまうらしい。それは以前話してくれた、聖女のようにふたつの魔力を混ぜて使う時だけでなく、ノルン様達が扱う魔法を使う時もだ。
ただ、使う魔力量など複合的な要因で色合いが変化するらしく、はっきりとこうしたらこうなる! みたいな基準はないのだとか。
そのため今日のお手伝いにあたって認識阻害の魔法をモルス様にかけてもらっていた。
「今回は予想より早く終わりました」
紙に書かれた名前にモルス様は線を引いて消していく。ずらりと一覧になっているそれは全ての名前に線が引かれていたのだけれど、ふと疑問に思う箇所があった。
「あの、この黒塗りの魂は回収しなくてよろしいのですか」
一箇所だけインクで塗りつぶされた部分があるのだ。私が首を傾げると、モルス様は鳥かごを異空間に収納してから答えてくれた。
「ああ、これは回収したくとも現状不可能なものですね。監視はしているのですが中々干渉できず」
「回収不能なんてことあるんですか?」
本来、この世界の人間は死ぬとそのまま天界へと向かい、そこで転生して地上へ戻ることを繰り返しているらしい。稀に、取り返しのつかないほどの悪に手を染めた者たちは魂も汚れていてすぐの転生が不可能となる。
そういう人は魂が浄化されるまで悠久の時を過ごすとノルン様達に教えてもらった。
また、極々稀に魂が天界へと向かわずに現世に留まってしまうことがある。この場合、放置しておくと周りの生きている人間たちから負の感情を吸い取って汚れていない魂も汚れてしまうことがあるのだとか。
それを防ぐために定期的に迷える魂を回収し、天界へ送り届ける仕事をモルス様は担っている。
出会った頃より成長した私も、特有の魔力が役に立つと聞いてこれも何かの縁だし……とたまにお手伝いしている。
「現世に癒着しているので無理やり剥がそうとすると他のところにも悪影響が及んでしまうのです」
「例えばどのような影響が?」
「生きている人間の負の感情を増幅し、争いが増えやすくなるとかですかね。火種が大きくなればなるほど大きな紛争や戦争にも繋がります」
(……それは避けなければならないことね)
肩に乗ってきたルーチェの頭を撫でながら、眉をひそめつつ疑問に思ったことをぶつける。
「ですが、長い間現世にいると魂が汚れてしまうんでしたよね」
「ええそうです。ただこの魂は既にそういう問題にならないところまで落ちているので……全部ノルン様の責任ですけど。全く嫌になる」
さらりと笑顔で毒づくモルス様の顔とエルニカ猊下の表情が重なった。猊下もまた私が会いに行くとノルン様の愚痴を露わにして、笑顔で毒づくのだ。「一度神殿の湖に沈めれば、頭が冷えて問題を解決するのではなくややこしくする性質が少しは治らないかしら?」みたいに。
(ノルン様よりも周りの人が大変そう)
年々関わりが強くなるにつれて強く思う。もちろん、ふらふらとしているように見えるのは外面だけで、内面ではとっても色んなことを考えて行動しているのかもしれないが。今のところ全くそう見えないから。
「モルス様、倒れる前に休んでくださいね。私はモルス様のお仕事の一部分しか知りませんが、よく働いていますし、このままだと疲労で倒れてしまいそうです」
「ありがとうございます。私も休みたいです。まあ全部ノルン様次第なので。それに過労で倒れても人間とは違い死ぬことはありませんから」
はははと乾いた笑いを漏らしながら遠くを見つめている。これは多分休めないパターンだ……。
「ではそろそろリーティア様をご自宅にお送りしますね」
「あっその前に」
転移魔法の陣を展開しようとしたモルス様の動きを制する。
「モルス様にお尋ねしたいことがあるのです」
来週から私は学校の中で五年生になる。それだけなら何の意味合いも持たないのだが、前世の記憶を合わせると今年は未来の転換点と言ってもいいほど大事な年なのだ。
(アルバート殿下の態度が急に硬化したのはレリーナが現れたから。けど、その前にも彼の心の安定を欠く大きな出来事があった)
私は今も殿下の婚約者になるつもりは一切ないし、あまり関わりを持ちたくないのは変わっていない。ただ、アルバート殿下の人生を揺るがすこの件は見て見ぬふりをしづらかった。悲しい出来事なので回避できるなら回避したい。私にとっても前世では関わりが深い人だったから。
モルス様、ひいてはその上に降臨するノルン様は時を司る神様だ。この件に一番通じている。
だから尋ねることに決めたのだ。私はモルス様を真っ直ぐ見据えた。
「──人の死期をずらすことは可能ですか? 例えば病に侵され亡くなるはずだった人を癒して生きながらえさせる。そのようなことは許されますか?」
今年の夏、一人の人物が命を落とす。あまりの早さに国民は嘆き悲しむ。伴侶だったアデライン様もショックで寝込み、心を蝕んだのか後を追うように早すぎる死を迎えた。
「前世と同じならば、今年の夏に亡くなるはずであるルーファス皇帝陛下。彼を救うことは可能ですか?」
それはアルバート殿下がなんの準備も無しに異例の若さで帝国の頂点に君臨することとなった要因だった。
***
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