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第一章 生まれ変わったみたいです
死んだはずでは……?(2)
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すんなり腑に落ちたのは、死に方が悲惨だったからかもしれない。
だってねえ? 無抵抗だった私も悪いけれど、無実の罪でこーんなうら若い年齢で処刑されるのは、我ながら悲惨以外の何物でもないと思う。
うんうんと心の中で自分自身に同意する。
「テレーゼはお利口さんね」
そんな中、レイラ様は私をあやす。一定の感覚で背中をトントン叩き、へストリアの国民的子守唄も歌い出した。
じーっとレイラ様を見ていると、彼女はにっこり笑い、額にキスしてきた。
──この人が今世でのお母様になる。
(変な気分)
母という存在を、私はよく知らない。前世のお母様は身体が弱くて、私を産んで直ぐに亡くなってしまった。
お母様は結婚後、子供は望めないかもしれないと言われていた中、奇跡的に私を宿した。
健康面から断念を勧められても、我が子に会いたい──ただそれだけの理由で命と引き換えに産んでくれたのだ。
だから私が知っている〝お母様〟は、生身の人間ではなくて、肖像画に描かれた寝台の上で赤子を慈しんでいる姿。
お父様も産んでから長くは持たないと思っていたのだろう。せめて、私がお母様の顔だけでも分かるようにと、誕生の翌日、画家に描かせたものらしい。
私は暇があればずっと談話室の壁に掛けられた肖像画を眺めていた。幼い頃は、いつか額縁からお母様が出てきてくれるんじゃないかしら? そんな淡い期待を抱きながら。
そうは言っても、寂しいと思ったことはあまりない。お母様の分もお父様が私に愛を注いでくれていたし、何より──ユースがいつもそばにいてくれたから。
(あれ? デューリング夫妻が生きているってことは……)
ふたりは当たり前だがユースより歳上で。
解かれた呪い以外は健康体だった彼。つまり死ぬ要素は何処にもなくて。
しかも、レイラ様は臨月を迎えていたはずだ。もし、第二子として生まれた赤子が私だったのなら、処刑からそれほど時間は経ってない。
これらを合わせるとユースはまだ────
(この世界で生きてる?)
ドクンと心臓が一際大きく鼓動し、辿り着いた結論に体が震える。
もし、かして。私、もう一度、彼に会うことが叶うのだろうか。
そばにいられなくて。約束を破ってごめんなさいと謝ったけれど。破れを繋ぎ合わせられるかもしれない。
ぶわりと涙が溢れてきて視界がかすんだ。
(ああ、待って。そうだとしたら本当に嬉しい)
私の心残りは、約束破りはもちろんのこと、ユースが幸せそうにフローラと過ごしている日々を、友人としてそばで見れなかったことだから。
とはいえ、身分差は広がって、全く見ず知らずの人間になってしまった。彼からしたらもう私に会いたくないかもしれないし、忘れたい過去になるかもしれない。本当に再会できるのかさえ不明瞭だ。
第一、「生まれ変わりました。私は処刑されたイザベルですよ」と正直に伝える場があったとしても、信じてくれるのだろうか。いや、ほぼほぼ不審人物だと疑われるだろう。私だったらそう思うもの。
ただ、もう一度、彼の姿を目に映す機会がある。
涙を流したユースではなくて、笑っているはずの彼を。
それを考えるだけで自然と嬉し涙が出てきてしまう。
──たとえ困難が待ち構えていようとも。何年かかっても絶対会いに行くわ。
本当にユースが生きているのか、この世界が私の予想通りなのか、証拠を掴んでもいないのに、喜びがふつふつと湧き上がってくる。
ひとり歓喜した私は感情を制御出来ず、レイラ様もとい、今世でのお母様の腕の中でわんわん泣き続けてしまった。
だってねえ? 無抵抗だった私も悪いけれど、無実の罪でこーんなうら若い年齢で処刑されるのは、我ながら悲惨以外の何物でもないと思う。
うんうんと心の中で自分自身に同意する。
「テレーゼはお利口さんね」
そんな中、レイラ様は私をあやす。一定の感覚で背中をトントン叩き、へストリアの国民的子守唄も歌い出した。
じーっとレイラ様を見ていると、彼女はにっこり笑い、額にキスしてきた。
──この人が今世でのお母様になる。
(変な気分)
母という存在を、私はよく知らない。前世のお母様は身体が弱くて、私を産んで直ぐに亡くなってしまった。
お母様は結婚後、子供は望めないかもしれないと言われていた中、奇跡的に私を宿した。
健康面から断念を勧められても、我が子に会いたい──ただそれだけの理由で命と引き換えに産んでくれたのだ。
だから私が知っている〝お母様〟は、生身の人間ではなくて、肖像画に描かれた寝台の上で赤子を慈しんでいる姿。
お父様も産んでから長くは持たないと思っていたのだろう。せめて、私がお母様の顔だけでも分かるようにと、誕生の翌日、画家に描かせたものらしい。
私は暇があればずっと談話室の壁に掛けられた肖像画を眺めていた。幼い頃は、いつか額縁からお母様が出てきてくれるんじゃないかしら? そんな淡い期待を抱きながら。
そうは言っても、寂しいと思ったことはあまりない。お母様の分もお父様が私に愛を注いでくれていたし、何より──ユースがいつもそばにいてくれたから。
(あれ? デューリング夫妻が生きているってことは……)
ふたりは当たり前だがユースより歳上で。
解かれた呪い以外は健康体だった彼。つまり死ぬ要素は何処にもなくて。
しかも、レイラ様は臨月を迎えていたはずだ。もし、第二子として生まれた赤子が私だったのなら、処刑からそれほど時間は経ってない。
これらを合わせるとユースはまだ────
(この世界で生きてる?)
ドクンと心臓が一際大きく鼓動し、辿り着いた結論に体が震える。
もし、かして。私、もう一度、彼に会うことが叶うのだろうか。
そばにいられなくて。約束を破ってごめんなさいと謝ったけれど。破れを繋ぎ合わせられるかもしれない。
ぶわりと涙が溢れてきて視界がかすんだ。
(ああ、待って。そうだとしたら本当に嬉しい)
私の心残りは、約束破りはもちろんのこと、ユースが幸せそうにフローラと過ごしている日々を、友人としてそばで見れなかったことだから。
とはいえ、身分差は広がって、全く見ず知らずの人間になってしまった。彼からしたらもう私に会いたくないかもしれないし、忘れたい過去になるかもしれない。本当に再会できるのかさえ不明瞭だ。
第一、「生まれ変わりました。私は処刑されたイザベルですよ」と正直に伝える場があったとしても、信じてくれるのだろうか。いや、ほぼほぼ不審人物だと疑われるだろう。私だったらそう思うもの。
ただ、もう一度、彼の姿を目に映す機会がある。
涙を流したユースではなくて、笑っているはずの彼を。
それを考えるだけで自然と嬉し涙が出てきてしまう。
──たとえ困難が待ち構えていようとも。何年かかっても絶対会いに行くわ。
本当にユースが生きているのか、この世界が私の予想通りなのか、証拠を掴んでもいないのに、喜びがふつふつと湧き上がってくる。
ひとり歓喜した私は感情を制御出来ず、レイラ様もとい、今世でのお母様の腕の中でわんわん泣き続けてしまった。
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