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第一章 私と殿下
2度目の悪役令嬢(2)
「シア!!!! 目を覚ましたのか!??」
ドアを蹴破る勢いで、否、蹴破ってお父様が入ってきた。
「あ! な! た! ドアを蹴破るのはやめてくださいまし! また修理をしないといけなくなるでしょう」
「すっすまない……シアが目を覚ましたと聞いたらドアを開ける手間も惜しくて……」
そう言ってお父様の後にドアを見ながら小言を言って入ってきたのはお母様だ。
「シア? 目を覚ましたのね心配したのよ」
私があっけにとられて壊れたドアを見ていたらお母様は私をギューっと抱きしめてくれた。温かい。
「ずっずるいぞ! 私も仲間に入れてくれ!」
そう言ってお父様まで抱擁に交わってきた。
「お父様苦しいです。そんなに締め付けないでください。潰れちゃいます……」
「すっすまない」
慌てて力を弱めるお父様。
「良かったわ貴方が目を覚ましてくれて。全然意識が戻らなくて、食事も喉を通らなかったわ」
泣きそうな声で話すお母様。どれほど心配をかけたことか。こちらまで泣きそうになってくる。
「ご迷惑をおかけしてごめんなさい。お父様、お母様、私はもう大丈夫です」
「もう少し安静にしていなさい。病み上がりなのだから」
「そうよシアちゃんいつも頑張りすぎなのよ。もう少し息抜きをしてもいいと思うわ」
「お母様買い被りすぎです。私は頑張りすぎてないです……」
「いいえ。頑張りすぎよ。シアちゃん、貴方はここから一ヶ月勉強は禁止ね息抜きをしなさい。妃教育も完璧でしょう? だから妃教育もお休みしなさい」
「えぇ!? そっちも……」
「勉強、勉強、勉強ばかりだったのだから違う趣味を見つけなさい。王家に嫁いだら自由な時間など取れなくなるのだから」
王妃様には言っとくわとウィンクしながら言うお母様、こうなったら止められない。でも勉強禁止になるとすることがないのだ。
それにそう簡単に止められるものでは無いと思うのだけど……。
まあ、ローズが出てきたら全てが無駄になる。
「シアの妃教育がおやすみになるのなら私も仮病を使おうかな。そうすれば皆で一緒に久しぶりに出かけられるぞ」
ウキウキしながら職務を放棄するとサラッと言っているお父様、居なくなったら陛下の側近が懇願して王宮に来て仕事をしてくれと言いに来るのが目に見えていて、めんどくさくなるのでやめて欲しい。
「貴方、職務放棄はやめてください。そんなことすれば陛下と周りの方達が泣きますよ」
「大丈夫だ、家族の方が優先だ。それにあいつらは私がやらなくてもいい物まで回してくるのだ。凍らせてもいいかな?」
サラッと陛下のことをアイツ呼ばわりして、凍らせる宣言をしているお父様。
他の人が言ったら不敬罪で極刑だがお父様は陛下の幼馴染みで側近なので言っても大丈夫らしい。
私は陛下が不憫でならない……。
「それに、シアが嫁ぐのはまだ早いぞ。私はあの若造のことを認めてないからな! シアをもらうには1百年早い!」
「まあまあ。殿下も頑張っていらっしゃいますよ。最近は公務が忙しいらしいですし、大変ですね」
「あの程度の公務の量で音を上げていたらシアなんかやらんぞ。ずっとこの家に居ていいからなむしろ居てくれ」
「お父様……いくら何でもそれは出来ないです。一応我が家は公爵家ですのよ? 不可能に決まっています」
「大丈夫だ、この家はロンが居るし安泰なのだから他の家に嫁ぐ意味は無い」
「そう言う問題じゃないです……」
お父様の私に対しての溺愛っぷりが炸裂している。自分で言うのも恥ずかしいけど……でも、こんなお父様も前回は……私を見捨てたのよね。
ゾッとするほど冷たい視線はまだ私の中に記憶として残っていて。少しだけ複雑な気持ちになる。
「──それに私はギルのことをお慕いしていますわ」
自分で言っておいて言葉にするのは恥ずかしく、頬が火照る。
「あら、ふふ知ってるわ。だから貴方、シアちゃんの幸せのためにも諦めてくださいな」
「ぐぬぬ、シアが幸せになれないなら全力で相手を潰すのに……。何かされたら言うんだぞ? 直ぐに王をとっちめるからな」
「お父様、陛下をそのように扱うのはやめてくださいな。普通だったら不敬罪ですよ?」
「普通だったらだろ? 私は嫌々宰相をしているんだ。辞職してアリーとのんびり暮らしたいのに、辞職届受理してくれないのだから、これくらいされて当然だ」
「ふふふ、貴方と一緒に居られるのはとても嬉しいけど、職務を放棄したら実家に帰らせてもらいますわ」
「それだけは嫌だ。きちんと仕事はするから実家に帰らないでくれ」
「あら、冗談ですわよ。貴方が職務を放棄するなんてありませんよね?」
「ない! ない! ありえないです」
さすがお母様、お父様はお母様が居なくなることが一番辛いことだとわかっていて言っている。
家ではその片鱗さえも見せず、どこが抜けた様子のお父様はこれでもとても優秀なのだ。
居なくなっては困るというか国が回らなくなるので、必死に周りがつなぎとめている。ちなみにアリーと言うのはお母様の愛称だ。フルネームはアリアナと言う。
ロンお兄様は文官としてお父様の補助をしている。今は王宮に泊まり込むほど多忙期なので、めったに家に帰ってこない。でも帰ってきたら私のことをとっても可愛がってくれる。
「そう言えばギルが言ってました。お父様、王宮でまた撒き散らしていたようですね? 周りが怯えるのと寒くなるからお母様にやめるよう言われてませんでした?」
殿下に聞いたことを問い詰めようとお父様に詰め寄れば、視線があらぬ方向へ向く。
「……そっそれは……あのな、いや、その……」
ビクッとしたお父様。恐る恐るお母様の様子を窺い始めた。
「……やめるよう言ったのにまたやったのですね。実家に帰らせて頂きます」
そう言ってにこやかに宣言したお母様はすぐさま踵を返して部屋を出ていく。
「待って……アリー誤解なんだ!」
屋敷に木霊するくらい「待って」と連呼しながら、血相を変えたお父様はお母様をあとを追いかけていく。
この後は必死にお父様が謝ってお母様の機嫌を直すのがお約束だ。
暖かい雰囲気、和気あいあいとしていて愛されていると今、この瞬間は感じることが出来る。
前回は周りの人達全てから見捨てられたが、今回は見捨てられないかもしれない。
それはまだ憶測で、希望的観測にしか過ぎない。
もしかしたら足掻いたところで同じ道を辿るかもしれないが、やってみないと分からない。何もしないで人生が終わるより悔いは残らないだろう。
私は破滅したくない。死にたくない。生きたい。
だから私のためにも、家族のためにも、殿下のためにも。ローズが出てくる前にこの婚約を解消、又は破棄して身を引くことを決めた瞬間だった。
ドアを蹴破る勢いで、否、蹴破ってお父様が入ってきた。
「あ! な! た! ドアを蹴破るのはやめてくださいまし! また修理をしないといけなくなるでしょう」
「すっすまない……シアが目を覚ましたと聞いたらドアを開ける手間も惜しくて……」
そう言ってお父様の後にドアを見ながら小言を言って入ってきたのはお母様だ。
「シア? 目を覚ましたのね心配したのよ」
私があっけにとられて壊れたドアを見ていたらお母様は私をギューっと抱きしめてくれた。温かい。
「ずっずるいぞ! 私も仲間に入れてくれ!」
そう言ってお父様まで抱擁に交わってきた。
「お父様苦しいです。そんなに締め付けないでください。潰れちゃいます……」
「すっすまない」
慌てて力を弱めるお父様。
「良かったわ貴方が目を覚ましてくれて。全然意識が戻らなくて、食事も喉を通らなかったわ」
泣きそうな声で話すお母様。どれほど心配をかけたことか。こちらまで泣きそうになってくる。
「ご迷惑をおかけしてごめんなさい。お父様、お母様、私はもう大丈夫です」
「もう少し安静にしていなさい。病み上がりなのだから」
「そうよシアちゃんいつも頑張りすぎなのよ。もう少し息抜きをしてもいいと思うわ」
「お母様買い被りすぎです。私は頑張りすぎてないです……」
「いいえ。頑張りすぎよ。シアちゃん、貴方はここから一ヶ月勉強は禁止ね息抜きをしなさい。妃教育も完璧でしょう? だから妃教育もお休みしなさい」
「えぇ!? そっちも……」
「勉強、勉強、勉強ばかりだったのだから違う趣味を見つけなさい。王家に嫁いだら自由な時間など取れなくなるのだから」
王妃様には言っとくわとウィンクしながら言うお母様、こうなったら止められない。でも勉強禁止になるとすることがないのだ。
それにそう簡単に止められるものでは無いと思うのだけど……。
まあ、ローズが出てきたら全てが無駄になる。
「シアの妃教育がおやすみになるのなら私も仮病を使おうかな。そうすれば皆で一緒に久しぶりに出かけられるぞ」
ウキウキしながら職務を放棄するとサラッと言っているお父様、居なくなったら陛下の側近が懇願して王宮に来て仕事をしてくれと言いに来るのが目に見えていて、めんどくさくなるのでやめて欲しい。
「貴方、職務放棄はやめてください。そんなことすれば陛下と周りの方達が泣きますよ」
「大丈夫だ、家族の方が優先だ。それにあいつらは私がやらなくてもいい物まで回してくるのだ。凍らせてもいいかな?」
サラッと陛下のことをアイツ呼ばわりして、凍らせる宣言をしているお父様。
他の人が言ったら不敬罪で極刑だがお父様は陛下の幼馴染みで側近なので言っても大丈夫らしい。
私は陛下が不憫でならない……。
「それに、シアが嫁ぐのはまだ早いぞ。私はあの若造のことを認めてないからな! シアをもらうには1百年早い!」
「まあまあ。殿下も頑張っていらっしゃいますよ。最近は公務が忙しいらしいですし、大変ですね」
「あの程度の公務の量で音を上げていたらシアなんかやらんぞ。ずっとこの家に居ていいからなむしろ居てくれ」
「お父様……いくら何でもそれは出来ないです。一応我が家は公爵家ですのよ? 不可能に決まっています」
「大丈夫だ、この家はロンが居るし安泰なのだから他の家に嫁ぐ意味は無い」
「そう言う問題じゃないです……」
お父様の私に対しての溺愛っぷりが炸裂している。自分で言うのも恥ずかしいけど……でも、こんなお父様も前回は……私を見捨てたのよね。
ゾッとするほど冷たい視線はまだ私の中に記憶として残っていて。少しだけ複雑な気持ちになる。
「──それに私はギルのことをお慕いしていますわ」
自分で言っておいて言葉にするのは恥ずかしく、頬が火照る。
「あら、ふふ知ってるわ。だから貴方、シアちゃんの幸せのためにも諦めてくださいな」
「ぐぬぬ、シアが幸せになれないなら全力で相手を潰すのに……。何かされたら言うんだぞ? 直ぐに王をとっちめるからな」
「お父様、陛下をそのように扱うのはやめてくださいな。普通だったら不敬罪ですよ?」
「普通だったらだろ? 私は嫌々宰相をしているんだ。辞職してアリーとのんびり暮らしたいのに、辞職届受理してくれないのだから、これくらいされて当然だ」
「ふふふ、貴方と一緒に居られるのはとても嬉しいけど、職務を放棄したら実家に帰らせてもらいますわ」
「それだけは嫌だ。きちんと仕事はするから実家に帰らないでくれ」
「あら、冗談ですわよ。貴方が職務を放棄するなんてありませんよね?」
「ない! ない! ありえないです」
さすがお母様、お父様はお母様が居なくなることが一番辛いことだとわかっていて言っている。
家ではその片鱗さえも見せず、どこが抜けた様子のお父様はこれでもとても優秀なのだ。
居なくなっては困るというか国が回らなくなるので、必死に周りがつなぎとめている。ちなみにアリーと言うのはお母様の愛称だ。フルネームはアリアナと言う。
ロンお兄様は文官としてお父様の補助をしている。今は王宮に泊まり込むほど多忙期なので、めったに家に帰ってこない。でも帰ってきたら私のことをとっても可愛がってくれる。
「そう言えばギルが言ってました。お父様、王宮でまた撒き散らしていたようですね? 周りが怯えるのと寒くなるからお母様にやめるよう言われてませんでした?」
殿下に聞いたことを問い詰めようとお父様に詰め寄れば、視線があらぬ方向へ向く。
「……そっそれは……あのな、いや、その……」
ビクッとしたお父様。恐る恐るお母様の様子を窺い始めた。
「……やめるよう言ったのにまたやったのですね。実家に帰らせて頂きます」
そう言ってにこやかに宣言したお母様はすぐさま踵を返して部屋を出ていく。
「待って……アリー誤解なんだ!」
屋敷に木霊するくらい「待って」と連呼しながら、血相を変えたお父様はお母様をあとを追いかけていく。
この後は必死にお父様が謝ってお母様の機嫌を直すのがお約束だ。
暖かい雰囲気、和気あいあいとしていて愛されていると今、この瞬間は感じることが出来る。
前回は周りの人達全てから見捨てられたが、今回は見捨てられないかもしれない。
それはまだ憶測で、希望的観測にしか過ぎない。
もしかしたら足掻いたところで同じ道を辿るかもしれないが、やってみないと分からない。何もしないで人生が終わるより悔いは残らないだろう。
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