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Double Vision 3
しおりを挟む「グリース! 何でもいいから、さっさと『コピー』のスキルを寄こせよ!」
「ハイハイ! いつものように膝を屈めて顔を近づけて」
グリースの身長は男の顎のあたりしか無い。
「カメリアがいるんだから他の方法で譲渡してくれよ」
「嫌よ! 愛と美の女神である私はこの方法でしか譲渡できません!」
「なら、物陰に隠れようぜ!」
「お断り!! カメリアに私たちがどういう関係か見せ付けておく必要があるからね!」
「あら~ どういう譲渡の仕方をするの? 興味あるわ!」
「カメリア! あっちの方向いていいてくれ!」
と男はカメリアの背後を指差した。
「そこまで嫌がると、余計に興味が湧くわ!」
「いいから、あっちへ向いてくれ!」
「お・こ・と・わ・り」
カメリアはニコッと両肘をテーブルに着け両手の甲を顎に付けながら興味津々で言った。
「いいから、シロ!! こっち向いて少し膝をかがめて!」
「分かったよ」
と言うと男は恥ずかしそうにしながらも膝を屈めた。
「我、愛と美の女神グリースがシロに『コピー』のスキルを授ける。
受け取りなさい」
グリースは男が忘れていた本名を言うと男の唇へ自分の唇を押し付けた。
すると二人の体は光り輝いた。
「はい! これで譲渡終了 これで好き放題複製出来るわよ!
物質はおろか、魔法でも作り放題よ!
調子に乗って私のパンツはコピーしないでね!」
というとグリースはウインクして見せた。
「バカヤロー! そんなモノコピーなんかしねーよ!!」
「でも、あまりにも強力な物は性能が落ちるわ。
あなたの持つスペシャルな一点物のアイテムは無理よ。
特に『ワンワン3点グッズ』性能の劣化したものさえ作ることは不可能ね。
あれは考えられないくらいチート性能よ」
ワンワン3点グッズ!
それはタナの剣、ロゼのローブ、ナナのマジックバッグを指す。
男は勇者や英雄などと呼ばれることはあったが職業や天啓として持っているのではなく、魔王討伐、魔獣討伐などの功績を人々が褒め称えただけに過ぎない。
職業的に持っているのは、戦闘に不適格な『料理人』といったところだ。
そんな男が多くの依頼をこなすことが出来たのは、不死であること以上にこの3点セットの力があってこそであった。
「グリース、ありがとう」
男は少し恥ずかしそうに感謝の言葉を述べた。
「あら~ グリースはそうやって能力を譲渡しているの?
他の者にもそうやって力を分け与えているのかしら?
私は頭に手をかざすだけで能力を譲渡できるけど」
「こうやって能力を譲渡するのはシロだけよ!!」
「ヘッ? グリース! お前、くちづけでしか譲渡出来ないって言っていたじゃないか!!」
「えっ? そんなこと言ったっけ? てへ!」
と拳を作り自分の頭を可愛らしく叩いた。
「こいつーーーーー」
男は拳を握り締めた。
「あら~~ ごちそうさま。良いものを見せてもらったわ。
譲渡も終わったことだし、私の間に行きましょうか!」
「カメリア、俺をお前の女神の間に連れて行ってもいいのか?
今度何か合ったとき、お前を襲撃できるんだぜ!」
「さっきも言ったじゃない。あなたとは敵対しないことにするわ」
「私も着いて行く! カメリアがシロに手を出さないか見張っておかないとね!」
グリースは男の腕に縋りついた。
「あら~ 残念」
とカメリアが言うと手の平を二人の方へ向け転移の魔法を唱え、自身も転移をするのであった。
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