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第一部 俺のハーレム・パーティがちょっとおかしい/ラッキースケベは必要ですか?

勇者 茜≒白田 茜

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俺は宿に戻りみんなと相談することにした。
智弘も冒険者ギルドで詳しい情報を得てきたようだ。
ネーナさんとの話をみんなにも伝えた。

「あの副支部長さんが新支部長に就任したのか!顔見知りが支部長になると色々都合はいいが・・・・・・
 食えない人だな」

「だろ、智弘。善意で言ってくれていると思うけど・・・・・」

「ネーナさんだっけ?支部長とアルファンブラ家の直々の依頼は確かに箔が付くけどな。
  貸しを作る算段だろうから考え物だな」

「魔道師討伐なんて荷が重くないか?」

「箔が付くのは有りがたいが大怪我をしたら元も子もない」

「私も反対です。もしものことがあってからでは・・・・・絶対反対です」

「僕も反対。そんな危ないことできるほど僕らは強くないからね」

何も言わない則之に長目が集まる。

「我輩は手合わせしてみたいでゴザル。が、確かに危険度が高すぎるでゴザルな」

「多くの冒険者もやられてるし死者も出たらしいから断りを入れておこうと思う」

みんなの意見は統一された。


「ただ・・・・・」
智弘が何かを言おうと躊躇った。

「ただ?」

「俺も冒険者ギルドへ行ってきたのだが、冒険者ギルドでも近いうちに正式な魔道師討伐部隊を編成するようだ」

「そうなのか?」

「思っている以上に被害が大きいらしい。
  魔道師の出没する地点がオリタリア首都方面の街道沿いなのでナミラーへの物資が滞っているらしい」

「商業ギルドでも相当数のキャラバンが被害にあっていると言うような事を商人たちが言っていたよ」

「いずれ俺たちも討伐への参加要請は来ると思う」

「え、僕たちって超弱いパーティーだと思うけど、それでも依頼されるの?」

「そうでゴザルよ。我々は駆け出しパーティでゴザルよ」

「それがな~  俺たち・・・・・・この町で結構、話題のパーティーなんだよ」

「なぜだ?」

「碧、お前な~  俺たち何て言われてるか知ってるか?」

「し、知らないけど」

「BLパーティーだとよ」

「うぇ~~~~マジかよ!! 止めてくれよ。それは俺と将太のことだろ」

「そう、聖女様がいて男の娘でBLと来れば・・・・・な?分かるだろ」

「でも、聖女様はともかく、俺なんか雑魚じゃん」

「お前はカレー屋で目立って聖女様の彼氏という噂だから・・・・・悪目立ちしているんだよ」

「そうかもしれないでゴザルが、それで討伐チームとして依頼されるのはおかしいでゴザルよ」

「則之、お前の無双ッぷりは有名だぞ。オークをぶった斬っているのも目撃されているようだし、それだけ巨大な剣を持っているだけで目立つよ」

「そ、そうで、ゴザルか・・・・・・・」

「七海も有名人だぞ!」

「え?私も? そんなに目立ってないでしょ。普通の格好だし」

「その犬のマスク・・・結構目立つぞ」

「え?可愛いから愛用しているのだけど」

「魔法を使える職業でレベルの高い者には溢れ出る魔力が分かるそうだよ。
 『BLパーティーの魔法使いは只者じゃない』って噂になってるぞ。
  この前の金髪のオーク居ただろう? あの金髪、普通のオークじゃなくてオークジェネラルなんだって」

「トモ君、オークジェネラルってそんなに強いの?」

「オークの将軍だからな。オークの上にウイザードやソルジャー、ナイトとかいるんだよ。それを統率するのがジェネラル。
 ランク的にAランクに相当するモンスターだそうだ。
 それを一瞬で始末した七海は確実にAランク以上の力を持っているということだ」

「え?私、そんなに強いの?」

「召喚された俺たちの中ではトップ5であることは間違いないだろう。
 多分、並みの冒険者が把になっても敵わないんじゃないか?」

「そんなに強くないよ。骨だけど普通の女子高生だから」

「中身は女子高生でもお前の魔法は図抜けているからな。
 で。あの金髪オークは200万円の賞金首だったらしい」

「え~~~~~~」
「エッ!!」
「本当でゴザルか」
「うそ~~~」

「賞金は諦めろ。討伐の証拠になるようなものが残っていないからどうしょうも出来ないし・・・・・あまり目立つのは・・・・な」

智弘は目配せをした。

「明日からのモンスター討伐は魔道師とかち合うのは避けたいから町から東の方へ行こうと思うがどうだ?」

「俺は智弘の判断に任せる」
「僕もトモ君の判断に任せる」
「我輩も東の方が安全だと思うでゴザル」
「私も危ないの反対。安全第一がいいです」

「では決定だな。明日は東の方に森があるからそこまで足を運ぼう」


全員一致で安全策を取る事に相成った。






「なぁ、碧、前から疑問に思っていたのだけど、なぜキッチンセットなんて選んだ? 普通、選ばないだろ」
智弘がいきなり聞いてきた。

「あぁ、それは選ぶときに女神様と目が合って『キッチンセットを選べ』というサインを貰ったんだよ」

「はぁ~??」
「なぜでゴザルか?」
「え?何で?」

智弘、則之、七海が驚きの声を上げた。

「いやいや、なんでお前だけが?? おかしいだろ、碧」

「偶然目が合って・・・・・・いや、違う!
 あの時、視線を感じて顔を上げたら女神様が俺の事を見ていたんだ」

「碧、お前、女神様となんか係わり合いがあるのか? ご先祖様が過去に召喚されたとか?」

「いやいや、神様と知り合いなわけないだろ。 いくらなんでも先祖が召喚されたとかないだろう」

「神隠しにあったご先祖様とかいないか?」

「遥か昔の話は分からないからな~ そんなに遡れば俺や智弘だって『共通のご先祖様』ってことになるだろ」

「う~~~ん、話が出来すぎなんだよな。タナにロゼに茜さまだろ。
 偶然にしては一致しすぎるんだよな」

「そうそう、僕もそう思う。 茜ちゃんは珍しい名前だけどいないわけでは無いでしょ。
 でも、タナとロゼって犬の名前だとしても一致するかな?」

「二人ともちょっと待てよ、もしそうだとしたらこの世界は犬に救われたってことだぞ!!
 うちのタナとロゼが魔神を倒したってことになるぞ。犬だぞ、犬!!
 魔神様も犬に倒されたって・・・・・カッコつかないだろ。ハハハハ」

「確かに犬があの剣を振ったとは思えないでゴザルな」

「なぁ、碧、あの女神様は『タナ様とロゼ様と一緒に戦った』とか言っていたよな。
 タナたちとタナ様たちが同一の存在だったら女神様が碧を気にしているというのに納得はできる。
 話の辻褄が合う。だからキッチンセットを選べと指示したのではないかと思う」

智弘が考察した。
俺もそうかもしれないと思わないでもないのだが・・・・・・犬だよ。犬。
・・・・・・俺は認めたくないのだ。
認めたくは無いのだ。

「キッチンセットだぞ、当たりアイテムか? 俺はズガーンダムの方が当たりだと思うぞ」

「いや、そんな事は無い。キッチンセットで作った料理を食べるだけで基礎ステータスが1上がるんだぞ。
 時間限定で食べたものによってバフが掛かる。
 オマケも旅に有り難い物ばかりだ」


「そうか?智弘。俺はちょっと考えちゃうな。が、女神様と連絡が取れたことはありがたい。
 これからも何かアドバイスをもらえるかもしれないな」

「素晴らしい祝福でゴザルよ!! そのおかげでくじら君に合うことができたでゴザル」
愛剣、くじら君に頬ずりをしながら則之が答える。


「御者のおじいさんが勇者・茜様はタナ様とロゼ様の子供とか言っていたよね」

「いや、将太、勇者・茜様はその都度別人が召喚されたとも言っていたはず」

「ちょっと待て、ちょっと待て、犬が人間を産んだってか? ファンタジー過ぎるだろ」

「とは言ってもな、碧。ここはファンタジーの世界だからな」
智弘が真顔で言ってくる。


「・・・・・・・・・俺にとって茜ちゃんと勇者・茜様が同一人物かどうかが一番の問題だ」

そうなのだ。勇者・茜様は紅姫べにひめのいる朱殷城しゅあんじょうに行ってから現れていないという。
紅姫に倒されたと考えるのが普通だ。
その後、現れていないということは過去何度も現れた勇者・茜は同一人物と考えるのが自然であろう。
それを認めることが怖かった。
俺にとって唯一の血を分けた妹を失うという事に他ならない。
自分が死ぬ以上に怖かった。



「そう言えば女神の間に剣とローブあった勇者・茜様の持っている剣とローブに一致する特徴があるな」
空気を察して智弘が話をずらしてくれた。
こういうところが智弘の良い所だ。ヘンタイではあるが。

「そうでゴザルな。紺色で透き通った大剣なんてそんなにあるものじゃないでゴザルよ」

「修学旅行の出発のときにも茜さんは見送りに来てくれて女神の間に剣とローブがあるというのなら時間の流れからいって茜さんが勇者・茜様というのはおかしいと思うの。
 あそこに剣があったということは500年前に勇者・茜様が紅姫べにひめに倒されて、その後、女神様が回収したのだ考えるのが自然だと思うの。
 だから茜さんは勇者・茜様では無いと思う。
 世界中に同姓同名の人ってたくさん居るじゃない。
 偶然が重なることってたくさん有ると思うの・・・・・」

「そうだよね。アオ君、茜ちゃんが魔王なんかにやられるわけないもんね」

「そう、そう、将太の言うとおり! 茜さまならハルフェルナの支配者になっていそうだよ」

「うちの茜ちゃん、半端ないからな」

「白田君、茜さんってそんなに凄いの?」

「七海の正反対のタイプだな。超おてんば娘。先輩への敬意なんて無いから。
 自分が好きか嫌いで善悪の判断つけるからな~ 俺もホトホト困ってる」

「酷いんだぜ、俺を呼ぶとき『ヘンタイ』だぜ!『ヘンタイ』」

「僕は子供の頃から一緒だったし一学年上だけど生まれた月が一ヶ月しか違わないから『ショータ』って呼び捨てだよ」

「我輩は『則之さん』と呼ばれているでゴザル。これは人徳の違いでゴザルかな?ハハハハハ」

「ハハハハハじゃねーよ、則之、お前一人だけ敬称つけてもらってよ。

 茜さまは赤城のような優等生とは異なるリーダだな。
 カリスマとか行動力でみんなを引っ張っていくタイプのリーダーだな。問題は超わがままだけど」

「私も一度会ってみたいわね」

「うん、いい子だよ。七海さんとも気が合うと思う」

「それなら、早く日本へ戻らないとね」

「そうそう」
「早く戻りたいでゴザル」
「そうだね」


このとき女神の間には時間の概念が無いというのを忘れていた。


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