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第二部 お兄ちゃん、待っててね!/ラッキースケベは必・・・あぁ! そんなものねぇーよ!!
作戦会議
しおりを挟む茜が外郭を作りフェネクシーが部屋を作った、よく分からない巨大な建物で一夜を過ごし、
その建物の中の一室で朝から獣人たちの救出作戦の会議が行われた。
どこからか持ってきた焼け焦げた机と椅子。
机の上にはいくつかのランプが置いてあるが部屋を明るくするのには少々不十分のようだ。
机の周りには幹部と思われる獣人たちが勢ぞろいしていた。
「ガミラーズ人と遠征部隊を排除した今、ウオレルの士気も下がっているだろうから人質を取り戻すチャンスは今しか無い!!
全軍を持ってウオレルに突入する!!
途中で行き会った敵はその都度、排除する!
お前たちも手を貸してくれるか!」
とライキンは椅子にどっしり座りながら茜たちの協力を仰いだ。
「私はここに来たときから、そのつもりよ。
ウオレルの獣人さんたちへの対応は許されない。
奴隷なんて最低よ!! 獣人さんたちを解放しましょう!」
「感謝する!!」
「ライキン様! それが良いと思います。
ネギトロ様の誕生の祝いに相応しい戦果を我が狼部隊がお見せいたします!」
ウルフェンは真っ先にライキンに呼応した。。
「我がミノタウロス部隊も突撃を致します!!」
ライキンにも負けない巨躯の牛人が拳を握り締め熱く語った。
「我々、エルフ部隊も突撃いた・・・・・」
と長身のエルフが言い終わらないうちに
バンバンバンと加奈が立ち上がり机を叩いて怒鳴った。
「あんたたちバカなの!アホなの! 何、昨日と同じこと言っているの!!
学習しなさいよ!!」
そして、またバンバンと机を叩き長身のエルフを睨みながら
「普通、エルフと言えば頭が良くて思慮深く冷静で熟考するのが当たり前なのに、あんたは、何、突撃とか言っているの!!少しは考えなさいよ!
突撃! 突撃でいいの? そんな戦い方で今までどれくらい犠牲にしてきたのよ!!
バカなの! アホなの!!」
終に加奈の堪忍袋がキレたようだ。
あまりの剣幕にライキンたち獣人どころか部屋に居たすべての者が気圧されたのであった。
「茜!!」
「ハイ!」
突然、名前を呼ばれたビクッと茜が驚く。
「ウオレル国の兵隊に魔法を撃ち込むことは出来る?」
「え?・・・・・多分、出来ると思う」
「多分?多分じゃダメよ、ハッキリしなさい!!」
と厳しく問い詰めるように加奈は聞く。
「え・・・・・で、で、出来る」
「あ~~、そんなんじゃダメ!! 使いものにならない!!」
と首を左右に振り
「私が極大魔法を最初に撃ち込む!
その後、正面からライキンさんが主力部隊を率いて突入!
時間を空けてウルフェンさんが側面から突入!!
いい!? 分かった!!」
「ま、ま、待って! 極大魔法は私が撃ち込む。
加奈にそんな事はさせたくない。
これは私がやらないといけないこと」
最初は力強く、後半は力無く茜が答えた。
「茜! 出来るの!? 出来るの!? 躊躇したら犠牲が出るかもしれないのよ!!」
「で、でも加奈に人殺しはさせたくない・・・・・・」
「だから茜はウオレルの兵士に魔法を撃てるの?」
「でも・・・加奈に・・・・・」
加奈の声が大きくなるたびに茜の声は小さくなっていった。
「あ~~ダメダメ! 私が撃つ!」
と冷静に加奈が言うと
「ダメーーー!!」
と茜は大きな声を出す。
「待てよ」
織田が突如、二人の会話に入ってくると。
「じーさんが言いだしっぺだし、じーさんが撃ち込めば解決するじゃないか?
大魔王なんだから極大魔法の一つ二つ持ってるだろ!?」
「うん、それが良い。わざわざ姫様の手を煩わせることもない。
少年よ、良いアイデアだ」
ブラドーが織田の意見に賛同の意を唱えた。
「ワシが女子たちを巻き込んだのじゃから、その役目はワシの役目じゃな」
と禿げ上がった頭を掻きながらフェネクシーが答えた。
「ごめんなさい。大魔王さん」
と茜はすまなさそうに声を出した。
「出来る限り一般の人は巻き込まないようにしてください」
「女子、それは難しいかもしれんな。
ウオレル軍は何れ城に篭城するだろ。
さすれば城下が戦場になる。
城下に撃たないで済むようになれば良いがあまり期待はするな」
「茜!! いつまで甘いことを言っているの!!
これは戦争なのよ!覚悟を決めなさい!!
獣人さんたちを解放したいって言ったばかりじゃ無い!」
加奈は机を叩き茜を怒鳴りつけた。
茜はシュンとして下を向いてしまった。
「加奈ちゃん、そんなに怒鳴らないでも・・・・」
「詩織も茜を甘やかし過ぎ!!
これは戦争なのよ! 殺し合いなの!!
正義感だけでライキンさんに協力を願い出たなら止めなさい!
迷惑になるだけよ!!」
加奈の言葉を聞いて茜だけではなく千代も織田も体を震えさせた。
これは遊びではない。
戦争なのだ。
人殺しなのだ。
私に人を斬ることが出来るのだろうか?
俺に人殺しをすることが出来るのだろうか?
と二人は自問自答を繰り返した。
加奈は茜から千代と織田の方へ視線を移した。
「千代と織田は詩織と一緒に留守番ね。
あなたたちも人間に剣を向ける覚悟は出来ていないでしょ。
それにこっちにも何人か人を残しておかないと万が一のときに困るからね」
千代と織田は下を向いたまま何も返すことが出来なかった。
「加奈ちゃん、茜ちゃんは?」
詩織の問いに加奈は
「茜が居残ると言う選択は無いわよ。 当然でしょ。
私も行くわよ」
「ありがとう」
と茜は下を向いたまま小声で加奈に言った。
その後、出来る限り速やかにウオレルの城下に侵攻することになり会議は解散した。
全員が部屋を出ようとしたとき、ブラドーは加奈を呼び止めるのであった。
「加奈殿、ありがとうございました。
姫様の心配事の一つを取り除いてくださって」
「あ~~ブラドーさんには分かってしまうのね。
茜には勿体ない臣下ですわ。
あの子は雑なくせに優しいから・・・・・千代や織田が戦いに巻き込まれる事を不安に思っていましたからね。
これで少しは戦いに集中できそうね。
茜が強いといってもスペックだけだから・・・・内面は普通の女の子だから。
いざと言うときに集中できないと大変な事になるから。
千代や織田を巻き込んだ事に罪悪感もあるみたいだし」
「加奈殿は良いのですか?」
「私は付き合いが長いから。
それに魔法使いだから直接剣を交えるわけじゃないので遠距離から攻撃するだけだから剣で直接斬るのに比べれば遥かに気が楽です。
戦いが最終局面に差し掛かり突入になったら、茜のことをよろしくお願いします」
と加奈は深くブラドーに頭を下げた。
「分かりました。加奈殿! 元より私の命は姫様の物。
私の全てをかけてお守りいたします」
とブラドーは胸に手を当て加奈に頭を下げた。
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