上 下
249 / 304
第三部 俺のハーレム・パーティはやっぱりおかしい/ラッキースケベは終了しました!

カクサン、散る!!

しおりを挟む
デブ悪魔の右手の爪が鈍く光、智弘に振り下ろされた瞬間!

ガキン!

と金属同士がぶつかり合うような音が響いた。

赤く透き通った盾がデブ悪魔の一撃を防いでくれた!!

アッ!! 犬の獣人だ!!
助かった。また助けてくれた。

「ありがとう!!」

俺が言うと犬の獣人は振り向きざまに一瞬、ニコッと笑みを向けてくれた。

「引きなさい! カクタス!! この人たちは関係無い!」

「あぁ!! 犬女!! なぜ俺の名前を知っている!」

「ガサツで有名なバカ悪魔でしょ!!」

「犬!! てめーふざけた事を言ってくれるな!
 魔界で俺ほど品が良い悪魔なんていないぜ!
 スケルシャールと一緒にするな!」

と犬の獣人に向かい怒鳴るとデブ悪魔は指萎め、爪を刀状に変形させた。
爪の先が一体化し50cmほどの鋭利な刃物になった。

「ハーレム小僧に手を貸すと言うことは俺たちの敵と言うわけだな!!
 なら、遠慮なく、殺させてもらうぜ!! 死ね!犬女!」

デブ悪魔は大きく振りかぶり右手で犬の獣人へ斬りつけた。

ガキン!!

犬の獣人は透き通った赤い盾で受ける。

ガキン!!

今度は透き通った赤い剣で斬りつけるとデブの悪魔は左手の刀で受ける。

ガキンガキン!!
ガンガン!
ガガキン!!

剣と刀、盾と刀の攻防を何度か繰り返す。
デブ悪魔が一瞬、体を後に反らす。

「危ない!!」

シュッ!
グサッ!

デブ悪魔の鋭い舌が犬の獣人の肩に刺さる。

「うっ!」

赤い血が滴り落ちる。

「ハハハハ! 俺の舌はドラゴンさえも、ノタ打ち回る猛毒だぜ!!」

「獣人さん! おらー デブ! 獣人さんから離れろ!!」

二人の間に割り込むようにまぐろ君でデブ悪魔に斬りかかる!
難なく俺の攻撃をかわし

「おっと、危ない! この雌犬も、もうじき死ぬ! 
 ハーレム小僧に与する者は全員、殺してやるよ!!
 お前たちもあの世に送ってやるからな!」

デブ悪魔は智弘、将太、ミリアを見やったあと俺に眼を合わせた。
その瞬間、再度、右手を俺に向け振り下ろした。

ガキン!

また金属音が響く。

ガク!
振り下ろされた勢いに負け膝をついてしまった。

「死ね!ハーレム小僧!!」

左手の刀は顔を目掛け突き刺してきた。

やられる! 盾で庇おうとするが間に合いそうに無い。
爪で作られた刀の先端が目の前に広がる。
時間がゆっくりと流れていく。
爪で作られた刀はどこまでも、どこまでも冷たい色をしていた。

茜ちゃん、タナ、ロゼ・・・・・・・・
脳裏を過ぎる。

諦めた時、俺は静かに目を閉じた。

パッキン!!

爪で出来た刀が俺の頭部を貫く事は無かった。
その音で瞼を開けたとき、どこまでも冷たい色をした刀が宙に舞っていた。

俺の隣には犬の獣人さんが立っていた。

「大丈夫ですか! すぐに立ち上がってください」

犬の獣人さんが優しい声でつぶやいた。

「うがーーー いてーーー!
 貴様たちと戦うと必ず爪を折られるな!! クソ!
 犬!! なぜ、お前も俺の猛毒が効かないんだ!!」

「犬は毒に耐性を持っているんですよ! 知らないんですか?」

「あぁ!? 耐性を持っていようが、ドラゴンでさえノタ打ち回りながら死ぬんだぞ!!
 貴様ら、普通じゃない!!」

デブ悪魔は苛立たしそうにに叫んだ。

「ハーレム小僧! 貴様、平気で動けると言うことは本当に毒が効かないんだな!!
 じゃ、お前の脳を串刺しにしてやるよ!」

シュッ! シュッ! シュシュ!

デブ悪魔は俺に絞り攻撃を仕掛けてきた。
右手の刀形状から突き刺すのに適した直刀に変形させた。
左手の爪は折れたままだった。
短時間で折れた爪を回復させることは出来ないようだ。
まぐろ君を投げ捨て両手で盾を構え右手の攻撃から体を庇った。

来る! このデブ悪魔は必ずアレを使ってくるはずだ。
盾を使いかわしながら、そのときを待つ。

シュッ! シュッ! シュシュ!

シュッ! シュッ! シュシュ!

何度も何度も右手を突き刺してくる・・・・・・・

来た!!

ヒュン!

デブ悪魔が奥の手の舌を突き刺してきた。

ガシ!!

突き刺してきた舌を右手で掴む。

「うごうごおうごお! いれれれれ!
 ああえ! ああえ!!」

何を言っているのか分からない!
が、放せといっているのだろう!

「放す馬鹿がいると思うか!!」

盾も投げ捨て、両手で舌を掴み一本背負いをかました!

「おりゃ!!」

ドスン!

華麗なる一本が決まる。
そして、デブ悪魔の舌を掴みながらジャイアントスイングをして見せた。

ズゴゴズゴゴ!
ボキンボキン!

舌を放すことなく勢いに任せ周りの木々に悪魔をぶつけると太さ50cmくらいはありそうな木がバサバサと倒れる。

「ほらほら、力だけは無駄にあるんだぜ!!」

「ええええええ! あえええええええ!」

悪魔が何かを言っているが気にせずになおも振り回す。
そして、最後に地面に叩きつけ舌先をマジカルランドセルの中に入れた。

「デブ悪魔! 入れ!!」

悪魔はシュルュシュルっとランドセルの中に吸い込まれていった。


やった!! 
悪魔をマジカルランドセルの中に閉じ込めることが出来た!!
魔法を自在に出し入れすることが出来るのだから、ひょっとしたらと思ったのだが!
やってみて大正解!!
普通はマジックバッグは生物関係は入れることができないはずなのだが、さすが、俺の敬愛する女神さまが授けてくれたマジックバッグ。
ハハハハハ! その辺りに転がっているマジックバッグなんかと一緒にしてもらっては困りますな!!

「碧! やったな!!」
「アオ君! 凄いね! あの女神さまは良い物をプレゼントしてくれたね」

「だろ!! さすが、俺の敬愛する女神さまだぜ!!!」

勝ち誇った顔で答えて見せた。
が、俺が凄いのではない。女神さまが凄いのだ。

「お兄ちゃ~~~~~ん! どうなったの?」

そこへ龍之介が全速力で飛んできた。

「終わったぞ!! あのデブ、この中に閉じ込めた!」

マジックランドセルを高く上げながら答えた。

「えーーーそのカバン、そんな事も出来るの? 凄く便利だね~」

龍之介は目を丸くして驚いた。

「お主、あの悪魔は生きているのか?」

「あ~、この中で生きているようだ」

「死んではいないのじゃな。
 次にバッグを開けるときアヤツは飛び出してくるのか?」

「いや、俺が出そうとしない限り永遠に出ては来れないよ」


まだ、終わってはいない。
犬の獣人さんにお礼を言わなくては!
と、獣人さんを探すと
こっそりと去ろうとしていた。

「捕まえた!!」

「キャーーー!!」

ぷにぷに。
去ろうとする犬の獣人さんを後ろから捕まえたとき、ぷにぷにと柔らかいものまで捕まえてしまったようだ。

「ご、ご、ごめんなさい」

捕まえた腕を放すと犬の獣人さんは胸を押さえ赤い顔をしながら振り向いた。

「いつも助けてくださってありがとうございます。
 あなたに何度救ってもらったかわかりません。 ありがとうございました」

直立不動のまま、深く深く頭を下げた。
智弘、将太も俺の左右に並び深く頭を下げた。

「偶然、通りがかっただけですから。
 では、私はこれで!」

間髪いれず素早く振り返りこの場を立ち去ろうとする。
一瞬で10mも離れる。

「待って下さい!! 名前だけでも!!」

躊躇するように立ち止まり振り向くと

「え!? エ、エ、エイジア! 放浪の騎士・エイジアです」

と答えたかと思うと振り向きサキュバス4人たちと争った方向へジャンプすると次々と木の上を足場にして飛び去って行った。
しおりを挟む
1 / 4

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

【男装歴10年】異世界で冒険者パーティやってみた【好きな人がいます】

ファンタジー / 完結 24h.ポイント:42pt お気に入り:1,465

男装の薬師は枯れぬ花のつぼみを宿す

ファンタジー / 完結 24h.ポイント:78pt お気に入り:465

転生王女は現代知識で無双する

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:49pt お気に入り:3,889

女幹部ジャスミンバニーの大迷惑な毎日

キャラ文芸 / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:26

維新竹取物語〜土方歳三とかぐや姫の物語〜

歴史・時代 / 連載中 24h.ポイント:42pt お気に入り:35

処理中です...