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6章.結婚相手の結婚式に招待される
06.
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金龍の咆哮が宙を裂く。
黒雲に覆われた空が稲妻に割れ、雷鳴が轟いた。荒れ狂う猛風と不穏な暗がりの中、王城や屋内、樹木の下に逃げ惑う人々を嘲笑うかのように轟音と雷電が大地を切り裂いた。
「エイトリアン、やめ…っ‼」
猛り狂う金龍の鱗にしがみ付いているのが精一杯で、ろくに目も開けられない。吹き飛ばされた木の枝や焦げた葉っぱが灰色の竜巻に飲まれ、空中で砕け飛ぶ。美しく神聖な黄金の鱗に焼け焦げた黒い粉塵が降り積もった。
《ラズリは渡さない》
金龍が凄まじい炎を吐き落とし、地上が再び火の海に変わる。
《人間との融合なんてあり得ない》
《エイト、やめろ‼ お前も燃え、…っ》
銀龍が金龍の前に立ちはだかり、その口を開けると、鋭く猛烈な勢いの水飛沫を噴出させた。金龍ごと全身、大洪水に飲み込まれた、…その、次の瞬間。
不吉に乾いた銃声が辺りに響き渡り、銀龍が空中で動きを止めた。
「ついに姿を現したぞ、呪いの龍だ‼」
「撃ち殺せ‼ 八つ裂きにしてしまえっ‼」
「頭だ‼ 頭を狙え、鱗を傷つけるなっ」
「あの鱗は向こう千年、黄金時代を築くっ‼ 永遠の繁栄をもたらす価値があるっ‼」
暴風雨と炎の海の中、武器を構えた人間たちが龍に狙いを定め、猛攻を開始した。欲望に染まった人々の顔に赤い炎が照り返す。貪欲な笑みに満たされたゲゲック宰相の顔も見えた。
「ソフィア、助けに来たよっ」
「いやぁあん、私のために争わないで~~~っ」
王城を行き交う人の中には、ソフィア姫とマシュマクベスト皇太子の姿もあった。
「結婚披露と嘯いて人間を陥れようなど、愚劣な輩よ」
「聖戦だ‼ 人間の誇りをかけた戦いだ‼」
「野蛮な怪物め、思い知るが良いっ」
ライフル銃、散弾銃、リボルバー、…式に招待された人界からの参列者は最初からそのつもりだったのか、持ち込んだ武器を次々に取り出し、辺りに乱射した。銃声、崩壊音、破裂音、粉砕音、悲鳴、絶叫、吠え声、…獣人と人間の乱闘が始まり、血しぶきが飛び、もみ合い、重なり、倒れる、…
「やめろ、人間を攻撃するな、…っ」
空を切って飛ぶ銀龍から鮮血が滴り落ちる。
「ジョシュアっ、…ジョシュアっ‼」
水の膜の向こう、猛スピードで旋回する銀龍に手を伸ばしても届かない。地上に近づいた銀龍目がけて闇雲に放たれた銃弾が激突した。
「ジョシュア、…っ‼」
銀龍の姿が空気中に溶け、人の姿に戻ったジョシュアが真っ逆さまに落ちていく。
「ジョシュア―――――…っ‼」
…てる。てる。だいすき。
ジョシュアが落ちる。俺のジョシュア。俺の命より大切な柊羽が。
俺は柊羽を守るために生まれた。柊羽を愛するために生きてきた。
「ジョシュア―――――…っ‼」
ジョシュアの影を追いかけて、金龍から転がり落ちた時、
《…バカが。人間など懐に入れるから》
金色の旋風が俺と血まみれのジョシュアを受け止めてくれた。
黒雲に覆われた空が稲妻に割れ、雷鳴が轟いた。荒れ狂う猛風と不穏な暗がりの中、王城や屋内、樹木の下に逃げ惑う人々を嘲笑うかのように轟音と雷電が大地を切り裂いた。
「エイトリアン、やめ…っ‼」
猛り狂う金龍の鱗にしがみ付いているのが精一杯で、ろくに目も開けられない。吹き飛ばされた木の枝や焦げた葉っぱが灰色の竜巻に飲まれ、空中で砕け飛ぶ。美しく神聖な黄金の鱗に焼け焦げた黒い粉塵が降り積もった。
《ラズリは渡さない》
金龍が凄まじい炎を吐き落とし、地上が再び火の海に変わる。
《人間との融合なんてあり得ない》
《エイト、やめろ‼ お前も燃え、…っ》
銀龍が金龍の前に立ちはだかり、その口を開けると、鋭く猛烈な勢いの水飛沫を噴出させた。金龍ごと全身、大洪水に飲み込まれた、…その、次の瞬間。
不吉に乾いた銃声が辺りに響き渡り、銀龍が空中で動きを止めた。
「ついに姿を現したぞ、呪いの龍だ‼」
「撃ち殺せ‼ 八つ裂きにしてしまえっ‼」
「頭だ‼ 頭を狙え、鱗を傷つけるなっ」
「あの鱗は向こう千年、黄金時代を築くっ‼ 永遠の繁栄をもたらす価値があるっ‼」
暴風雨と炎の海の中、武器を構えた人間たちが龍に狙いを定め、猛攻を開始した。欲望に染まった人々の顔に赤い炎が照り返す。貪欲な笑みに満たされたゲゲック宰相の顔も見えた。
「ソフィア、助けに来たよっ」
「いやぁあん、私のために争わないで~~~っ」
王城を行き交う人の中には、ソフィア姫とマシュマクベスト皇太子の姿もあった。
「結婚披露と嘯いて人間を陥れようなど、愚劣な輩よ」
「聖戦だ‼ 人間の誇りをかけた戦いだ‼」
「野蛮な怪物め、思い知るが良いっ」
ライフル銃、散弾銃、リボルバー、…式に招待された人界からの参列者は最初からそのつもりだったのか、持ち込んだ武器を次々に取り出し、辺りに乱射した。銃声、崩壊音、破裂音、粉砕音、悲鳴、絶叫、吠え声、…獣人と人間の乱闘が始まり、血しぶきが飛び、もみ合い、重なり、倒れる、…
「やめろ、人間を攻撃するな、…っ」
空を切って飛ぶ銀龍から鮮血が滴り落ちる。
「ジョシュアっ、…ジョシュアっ‼」
水の膜の向こう、猛スピードで旋回する銀龍に手を伸ばしても届かない。地上に近づいた銀龍目がけて闇雲に放たれた銃弾が激突した。
「ジョシュア、…っ‼」
銀龍の姿が空気中に溶け、人の姿に戻ったジョシュアが真っ逆さまに落ちていく。
「ジョシュア―――――…っ‼」
…てる。てる。だいすき。
ジョシュアが落ちる。俺のジョシュア。俺の命より大切な柊羽が。
俺は柊羽を守るために生まれた。柊羽を愛するために生きてきた。
「ジョシュア―――――…っ‼」
ジョシュアの影を追いかけて、金龍から転がり落ちた時、
《…バカが。人間など懐に入れるから》
金色の旋風が俺と血まみれのジョシュアを受け止めてくれた。
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