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奏くん。
胸の奥が一瞬でぎゅっとつかまれる。
耳に残る甘く沁みる声。
変わってない。
『人数いっぱいになっちゃったから。ごめんね』
何の班を決めるんだったか。
女子のグループに上手く入れなかった。
『あー、…そうだよね』
上手く笑えてるかわからない。
さっきまで一緒に組もうねって言ってたのに。
だめ。こんなとこで泣くな。
『だ、…誰か空いてる人~?』
静まり返った教室の空気を破ったのは。
『俺、篠原んとこ行く』
『はあ~? 待て、奏』
『ちょ、それだといろいろバランスが』
『待って、私も篠原くんの班に』
定まりかけたパズルのピースがバラバラになって知らないうちにまたきれいに収まった。
『のい、一緒になれて良かったね』
『…うん』
何気なくて。淡々としてて。何でもできて。
明るくて。眩しくて。手が届かなくて。
青井奏くんは高校の同級生で。
男子も女子もみんな彼に憧れていた。
「本日はお集まりいただきまして有難うございます。
弊社 技術研究所 技術開発部チーフマネージャー 和泉碧です」
研究室の助手らしい人が愛想笑いを浮かべながら大声を張り上げる。
研究室といえば、生物とか化学とかの実験室、いわゆる理科室みたいなところを想像していたのだけれど、初めて入った技術開発部の研究室は一面ガラス張りで明るく開放感があって、最新のコンピュータやら電子機器やらがずらりと並べられていた。
なんていうか、宇宙船の管制塔みたいな感じ?
その中で紹介された技術者は、やたら背が高く、さらりと揺れる長髪で、薄い色の着いた眼鏡をかけており、高級感のあるスーツに身を包んでいた。
もっさもさの白衣姿を想像していた私は軽くカルチャーショックを受けた。
なんか妙に美形で変な色気があって、大人な佇まいは洗練されていて、ちょっと目が離せない。
…今どきの研究者っておっしゃれ―――――っ
「…本宮、…口閉じてっ」
隣の橙子さんに肘でど突かれる。
慌ててハンカチで口もふさぐ。
うう。奏くんのハンカチに鼻血ばかりかヨダレまで…
「…和泉です。まずは最新の映像をご覧ください。」
助手の人とは打って変わって和泉さんの声はハスキーで艶があり、聞く人を酔わせる。
はあ。自然と口が開いてしまうのはもう止められません。
胸の奥が一瞬でぎゅっとつかまれる。
耳に残る甘く沁みる声。
変わってない。
『人数いっぱいになっちゃったから。ごめんね』
何の班を決めるんだったか。
女子のグループに上手く入れなかった。
『あー、…そうだよね』
上手く笑えてるかわからない。
さっきまで一緒に組もうねって言ってたのに。
だめ。こんなとこで泣くな。
『だ、…誰か空いてる人~?』
静まり返った教室の空気を破ったのは。
『俺、篠原んとこ行く』
『はあ~? 待て、奏』
『ちょ、それだといろいろバランスが』
『待って、私も篠原くんの班に』
定まりかけたパズルのピースがバラバラになって知らないうちにまたきれいに収まった。
『のい、一緒になれて良かったね』
『…うん』
何気なくて。淡々としてて。何でもできて。
明るくて。眩しくて。手が届かなくて。
青井奏くんは高校の同級生で。
男子も女子もみんな彼に憧れていた。
「本日はお集まりいただきまして有難うございます。
弊社 技術研究所 技術開発部チーフマネージャー 和泉碧です」
研究室の助手らしい人が愛想笑いを浮かべながら大声を張り上げる。
研究室といえば、生物とか化学とかの実験室、いわゆる理科室みたいなところを想像していたのだけれど、初めて入った技術開発部の研究室は一面ガラス張りで明るく開放感があって、最新のコンピュータやら電子機器やらがずらりと並べられていた。
なんていうか、宇宙船の管制塔みたいな感じ?
その中で紹介された技術者は、やたら背が高く、さらりと揺れる長髪で、薄い色の着いた眼鏡をかけており、高級感のあるスーツに身を包んでいた。
もっさもさの白衣姿を想像していた私は軽くカルチャーショックを受けた。
なんか妙に美形で変な色気があって、大人な佇まいは洗練されていて、ちょっと目が離せない。
…今どきの研究者っておっしゃれ―――――っ
「…本宮、…口閉じてっ」
隣の橙子さんに肘でど突かれる。
慌ててハンカチで口もふさぐ。
うう。奏くんのハンカチに鼻血ばかりかヨダレまで…
「…和泉です。まずは最新の映像をご覧ください。」
助手の人とは打って変わって和泉さんの声はハスキーで艶があり、聞く人を酔わせる。
はあ。自然と口が開いてしまうのはもう止められません。
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