Blue Bird ―初恋の人に再会したのに奔放な同級生が甘すぎるっ‼【完結】

remo

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「えーっ、キス止まりーっ!?」
「ぐっほ―――っ」

サリちゃんの叫びにかき揚げを吹きそうになって慌てて飲み込んだらむせて涙が出た。

「うん、武邑さん、めっちゃ紳士なの。でも、今日も会うんだぁ」

ミオちゃんが目をハートにして語っている。あ、そう、武邑さんの話ね。
はぁ、…水、水。

「えーっ、泊まったのーっ!?」
「げっほ―――っ」

ミオちゃんの叫びにうどんをまるごと飲み込んで息が詰まった。

「うん、もう秋くん可愛くって、誘っちゃった」

サリちゃんが顔を赤らめながら大胆発言。
いや、…水。水ぅ、足りんっ‼︎

「どうした、おサル」
「発情期か」

ちょっと、ちょっと―――っ
展開早すぎるでしょう!

っていうか、アキ‼︎
奏くんはどうした‼︎

「あ、あのさ、…秋くん、って、…あの、その、…普通、だった?」

おずおずサリちゃんを見ると、

「うん! すっごく良かった!」

満面の笑顔。

…野獣チワワめ、どういうつもりだよ。
私のサリちゃんを泣かしたらただじゃおかないからな。

「あら、鼻息荒くして」
「やっぱ発情期?」

っていうかさあ。

「そんな簡単でいいの!?」

ドン!と机を叩いて立ち上がったら、社食の皆さんに一斉に見られた。

「まあまあ、おサル」
「恋は戦争よ」
「あんな国宝級イケメン、うかうかしてたらあっという間にとられるよ」
「とられる前にとれ。やられる前にやれ」

えー、…なんか勢いに負けてイスに座り直す。

「あんたも、うかうかしてたら奏くんとられちゃうよ」
「失くしてから気づいても遅いんだからね」

えー、…知らないうちに世界は高速で動いている。

「一緒に帰ろうか」

終業後、研究室での業務が一段落すると、和泉さんから声をかけられた。

「…はい」
「片付けるからちょっと待ってて」

和泉さんが私の頭を優しく撫でる。

和泉さんが優しいと、すごく嬉しくて、少し切ない。

先に研究室を出て、通路角の休憩コーナーで待っていたら、スマートフォンが震えた。

画面は、『calling " 俺 ”』

なんだかちょっと緊張して、無駄な咳払いをしてから画面に触れた。

「証拠つかんだ。和泉のせいじゃない」

甘く沁みる奏くんの声。

「さっき、和泉に証言と証拠のデータ送ったけど、告発記事書くから。捜査はやり直されると思う」

胸の奥がぎゅっとつかまれる。

「あいつは自由だ」
「うん、…ありがとう」

泣きたくなるほど優しい声。

「ちゃんとつかまえてろよ」
「…うん」

奏くんの声を聞くと、安心して、心が緩んで、素直になれて、胸がいっぱいになる。

「捨てられんなよ」
「…うん」

口が悪くて気まぐれでさりげなくて優しい。
どんな時でも、私の心を明るく照らす。
そばにいて、希望をくれる。

「もう、泣くなよ」
「…うん」

この気持ちを何て呼んだらいいのかわからない。
何を伝えたらいいのかわからない。

「じゃあな、バカ」

でも。
電話の向こうの沈黙さえも、愛しく感じる。
奏くんの瞳には満点の星空が見える。

「のい」

奏くんの甘く震える優しい声が幻みたいに私を呼んで、

「俺、お前のこと好きだった」

淡雪みたいに静かに心を揺らして、突然消えた。
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