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blue.71
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え、でも、いずみちゃんてすっごく可愛い憧れのお姉ちゃんだったよね。
「…いずみちゃん、いつの間に男の子になった!?」
立ち上がって叫んだら、またも頭をはたかれた。
ちょっとちょっと―――、空っぽだからって叩き過ぎでしょう!
「最初から男だよ。ずっとお前のこと好きだっただろ」
えええ―――――っっ!!
「まあ、お前昔からバカだったからな」
えええ―――――っっ!!
衝撃の事実過ぎて言葉が出ない。
バカは昔からだったの!? ってそこじゃない。
いずみちゃん。
ええ!? いずみちゃん!?
記憶の中で優しく笑ういずみちゃんは憧れの女の子そのものだけど、
でもあの和泉さんの美しくて甘い感じは、言われてみればいずみちゃんかも。
包み込むような優しい感じも、まあ確かに、いずみちゃんかも。
そうかあ。いずみちゃんだったのか…
『幼い頃、すごく好きな女の子がいた。よく食べてよく笑う。その子が笑ってくれるなら、何でもできると思ってた』
…いずみちゃんがくれる憧れの洋菓子、夢中で食べてた。いずみちゃんのこと、大好きだった。
なんだか納得できるような出来ないような複雑な気持ちで奏くんを眺める。
っていうか、和泉さんがいずみちゃんなら、…
「なんだよ?」
私を見つめ返す青と淡褐色の不思議な瞳。
幼い頃、とにかく好きで。
いつでもどこでも一緒にいたくて。
ずっとずっと一緒にいたくて。
大きくなったらお嫁さんにしてもらいたかった。
「奏くんがあおくん、なの?」
奏くんの美しい瞳が静かに揺らめき、私を映して瞬いた。
「俺のこと、そう呼ぶ女の子がいたな」
心をつかむ奏くんの甘い声が耳に届いた時、空間が揺れて、時間が巻き戻った。
月明かり。潮騒。澄んだ空の匂い。
二人で飲んだソーダ水。
『あおくん、あおくん。どこにも行かないで。のいを置いて行かないで』
人生で一番悲しかった日。
泣いても泣いても涙が枯れなかった日。
『もう、泣くな』
抱きしめてくれたあおくんは、温かくて優しくて、
だけどちょっと骨っぽくて男の子なんだと思った。
あおくんのシャツは若葉の匂いがする。
『どんな時でもお前のそばにいる』
そう言って髪を撫でてくれた滑らかな手。
世界一幸せなあおくんの腕の中。
『あおくん、だいすき』
大好きなあおくんはその地球色の瞳に私を映して
すごく優しく私の唇に触れてくれた。
幼い日の約束。初めてのキス。
大切で大切過ぎて心の奥底にしまって鍵をかけた。
「俺の初恋で初キスの相手」
幼い日のあおくんが目の前の奏くんに重なって、甘く震える奏くんの声に完全に溶け合った。
「…いずみちゃん、いつの間に男の子になった!?」
立ち上がって叫んだら、またも頭をはたかれた。
ちょっとちょっと―――、空っぽだからって叩き過ぎでしょう!
「最初から男だよ。ずっとお前のこと好きだっただろ」
えええ―――――っっ!!
「まあ、お前昔からバカだったからな」
えええ―――――っっ!!
衝撃の事実過ぎて言葉が出ない。
バカは昔からだったの!? ってそこじゃない。
いずみちゃん。
ええ!? いずみちゃん!?
記憶の中で優しく笑ういずみちゃんは憧れの女の子そのものだけど、
でもあの和泉さんの美しくて甘い感じは、言われてみればいずみちゃんかも。
包み込むような優しい感じも、まあ確かに、いずみちゃんかも。
そうかあ。いずみちゃんだったのか…
『幼い頃、すごく好きな女の子がいた。よく食べてよく笑う。その子が笑ってくれるなら、何でもできると思ってた』
…いずみちゃんがくれる憧れの洋菓子、夢中で食べてた。いずみちゃんのこと、大好きだった。
なんだか納得できるような出来ないような複雑な気持ちで奏くんを眺める。
っていうか、和泉さんがいずみちゃんなら、…
「なんだよ?」
私を見つめ返す青と淡褐色の不思議な瞳。
幼い頃、とにかく好きで。
いつでもどこでも一緒にいたくて。
ずっとずっと一緒にいたくて。
大きくなったらお嫁さんにしてもらいたかった。
「奏くんがあおくん、なの?」
奏くんの美しい瞳が静かに揺らめき、私を映して瞬いた。
「俺のこと、そう呼ぶ女の子がいたな」
心をつかむ奏くんの甘い声が耳に届いた時、空間が揺れて、時間が巻き戻った。
月明かり。潮騒。澄んだ空の匂い。
二人で飲んだソーダ水。
『あおくん、あおくん。どこにも行かないで。のいを置いて行かないで』
人生で一番悲しかった日。
泣いても泣いても涙が枯れなかった日。
『もう、泣くな』
抱きしめてくれたあおくんは、温かくて優しくて、
だけどちょっと骨っぽくて男の子なんだと思った。
あおくんのシャツは若葉の匂いがする。
『どんな時でもお前のそばにいる』
そう言って髪を撫でてくれた滑らかな手。
世界一幸せなあおくんの腕の中。
『あおくん、だいすき』
大好きなあおくんはその地球色の瞳に私を映して
すごく優しく私の唇に触れてくれた。
幼い日の約束。初めてのキス。
大切で大切過ぎて心の奥底にしまって鍵をかけた。
「俺の初恋で初キスの相手」
幼い日のあおくんが目の前の奏くんに重なって、甘く震える奏くんの声に完全に溶け合った。
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