76 / 124
blue.75
しおりを挟む
舞茸ごはん、豚汁、海老とブロッコリーのサラダ、炒りナス、蓮根のきんぴら、…
和泉さんと璃乙くんが仲良く夕ご飯を作ってくれた。
いやさ、私だって手伝おうとしたんだけどさ。
「のいは退院したばかりなんだから、座ってて」
「って言うか、頼むからおサルはジャマしないで」
男子2人に厨房から追い出された。
「美味しい――――っっ」
夕ご飯が美味し過ぎて幸せに浸っていたら、和泉さんがすごく優しい顔をして見ていた。
和泉さんが居てくれて良かった。
ね、璃乙。
満腹でお風呂を頂くという至れり尽くせり状態を噛み締めていると、スマートフォンが震えた。
あ。
『calling " 俺 ”』
やばい。お父さん…
言い訳がない。けど、出ないわけにもいかない。
そうっと画面に触れて恐る恐る耳にあてると、
「…おい。お父さんてなんだよ?」
やっぱりお父さん――――っ
不機嫌な奏くんの声。…なのに愛しい。
「…ずるい」
アメリアといちゃいちゃして、お見舞いの女の子が殺到して、挨拶でキスするくせに。
「は?」
ほんのひと声で、心を全部持っていく。
「…のい」
…ずるい。
そんな甘い声。ずるい。
奏くんの甘くかすれた声。深く沁みる声。
その声で、大切なものみたいに名前を呼ばれたら。
もう全部奏くんでいっぱいになる。
「ちゃんと明日も会いに来いよ」
「…うん」
どうしよう。
奏くんのこと、独り占めしたい。
「いや、無理でしょう」
「なぜならイケメン独占禁止法があるから」
「そう、そして秋が電話に出ないから」
「え?」
「遊びなの? 遊びだったの、秋―――っ」
久しぶりの出社。お昼休みの社食。
大変だったね!とハグしてくれたのは一瞬で、
ミオちゃんとサリちゃんの容赦なさは今日も健在だった。
いや、むしろ安心するけども。
「あれだね、秋くん独禁法にかかったね」
「くぅう、将来有望な学生ってのが決め手か」
本日のAランチ定食は白身魚の甘酢あんかけ。
熱い。うまい。甘酸っぱい。
「資本主義の健全で公正な競争社会が呪わしい」
ざるそばを噛みしめるサリちゃんに、
「まあまあ。結局のところ、素直に言ったもん勝ちじゃん?」
カツカレーを頬張るミオちゃん。
「何を?」
「好き、って」
…好き。
想うだけで胸が痛い。
いつから? ずっと? いつの間に?
好き。…大好き。
「言って白黒はっきりしちゃったらどうすんの?」
「どっちにしても、打ち上げしよっ」
「飲みたいだけじゃん!」
奏くんが好き。
言葉にしたら、心が納得した。
素直に、…って、ちょっと待てよ。
『俺、お前のこと好きだった』
私、好きって言われてた―――――っ (でかした、のい! 100点!)
いや、でも待てよ。
『…好きだった』
過去形だった――――っ (痛恨のミス! 50点!)
しかも、この前。
『過去はいらない』
いらない宣言された―――っ (解答欄まちがい! 0点!)
「どうした、ジョージ?」
「赤くなったり、青くなったり」
「食べ過ぎか、食べ過ぎなのか?」
…甘酸っぱい。甘酸っぱすぎる。
和泉さんと璃乙くんが仲良く夕ご飯を作ってくれた。
いやさ、私だって手伝おうとしたんだけどさ。
「のいは退院したばかりなんだから、座ってて」
「って言うか、頼むからおサルはジャマしないで」
男子2人に厨房から追い出された。
「美味しい――――っっ」
夕ご飯が美味し過ぎて幸せに浸っていたら、和泉さんがすごく優しい顔をして見ていた。
和泉さんが居てくれて良かった。
ね、璃乙。
満腹でお風呂を頂くという至れり尽くせり状態を噛み締めていると、スマートフォンが震えた。
あ。
『calling " 俺 ”』
やばい。お父さん…
言い訳がない。けど、出ないわけにもいかない。
そうっと画面に触れて恐る恐る耳にあてると、
「…おい。お父さんてなんだよ?」
やっぱりお父さん――――っ
不機嫌な奏くんの声。…なのに愛しい。
「…ずるい」
アメリアといちゃいちゃして、お見舞いの女の子が殺到して、挨拶でキスするくせに。
「は?」
ほんのひと声で、心を全部持っていく。
「…のい」
…ずるい。
そんな甘い声。ずるい。
奏くんの甘くかすれた声。深く沁みる声。
その声で、大切なものみたいに名前を呼ばれたら。
もう全部奏くんでいっぱいになる。
「ちゃんと明日も会いに来いよ」
「…うん」
どうしよう。
奏くんのこと、独り占めしたい。
「いや、無理でしょう」
「なぜならイケメン独占禁止法があるから」
「そう、そして秋が電話に出ないから」
「え?」
「遊びなの? 遊びだったの、秋―――っ」
久しぶりの出社。お昼休みの社食。
大変だったね!とハグしてくれたのは一瞬で、
ミオちゃんとサリちゃんの容赦なさは今日も健在だった。
いや、むしろ安心するけども。
「あれだね、秋くん独禁法にかかったね」
「くぅう、将来有望な学生ってのが決め手か」
本日のAランチ定食は白身魚の甘酢あんかけ。
熱い。うまい。甘酸っぱい。
「資本主義の健全で公正な競争社会が呪わしい」
ざるそばを噛みしめるサリちゃんに、
「まあまあ。結局のところ、素直に言ったもん勝ちじゃん?」
カツカレーを頬張るミオちゃん。
「何を?」
「好き、って」
…好き。
想うだけで胸が痛い。
いつから? ずっと? いつの間に?
好き。…大好き。
「言って白黒はっきりしちゃったらどうすんの?」
「どっちにしても、打ち上げしよっ」
「飲みたいだけじゃん!」
奏くんが好き。
言葉にしたら、心が納得した。
素直に、…って、ちょっと待てよ。
『俺、お前のこと好きだった』
私、好きって言われてた―――――っ (でかした、のい! 100点!)
いや、でも待てよ。
『…好きだった』
過去形だった――――っ (痛恨のミス! 50点!)
しかも、この前。
『過去はいらない』
いらない宣言された―――っ (解答欄まちがい! 0点!)
「どうした、ジョージ?」
「赤くなったり、青くなったり」
「食べ過ぎか、食べ過ぎなのか?」
…甘酸っぱい。甘酸っぱすぎる。
0
あなたにおすすめの小説
時間を止めて ~忘れられない元カレは完璧な容姿と天性の才能を持つ世界一残酷な人でした 【完結】
remo
恋愛
どんなに好きになっても、彼は絶対に私を愛さない。
佐倉ここ。
玩具メーカーで働く24歳のOL。
鬼上司・高野雅(がく)に叱責されながら仕事に奔走する中、忘れられない元カレ・常盤千晃(ちあき)に再会。
完璧な容姿と天性の才能を持つ世界一残酷な彼には、悲しい秘密があった。
【完結】ありがとうございました‼
好きな人の好きな人
ぽぽ
恋愛
"私には何年も思い続ける初恋相手がいる。"
初恋相手に対しての執着と愛の重さは日々増していくばかりで、彼の1番近くにいれるの自分が当たり前だった。
恋人関係がなくても、隣にいれるだけで幸せ……。
そう思っていたのに、初恋相手に恋人兼婚約者がいたなんて聞いてません。
皇宮女官小蘭(シャオラン)は溺愛され過ぎて頭を抱えているようです!?
akechi
恋愛
建国して三百年の歴史がある陽蘭(ヤンラン)国。
今年16歳になる小蘭(シャオラン)はとある目的の為、皇宮の女官になる事を決めた。
家族に置き手紙を残して、いざ魑魅魍魎の世界へ足を踏み入れた。
だが、この小蘭という少女には信じられない秘密が隠されていた!?
さんかく片想い ―彼に抱かれるために、抱かれた相手が忘れられない。三角形の恋の行方は?【完結】
remo
恋愛
「めちゃくちゃにして」
雨宮つぼみ(20)は、長年の片想いに決着をつけるため、小湊 創(27)に最後の告白。抱いてほしいと望むも、「初めてはもらえない」と断られてしまう。初めてをなくすため、つぼみは養子の弟・雨宮ななせ(20)と関係を持つが、―――…
【番外編】追加しました。
⁂完結後は『さんかく両想い』に続く予定です。
私が素直になったとき……君の甘過ぎる溺愛が止まらない
朝陽七彩
恋愛
十五年ぶりに君に再開して。
止まっていた時が。
再び、動き出す―――。
*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*
衣川遥稀(いがわ はるき)
好きな人に素直になることができない
松尾聖志(まつお さとし)
イケメンで人気者
*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*◦*
年下男子に追いかけられて極甘求婚されています
あさの紅茶
恋愛
◆結婚破棄され憂さ晴らしのために京都一人旅へ出かけた大野なぎさ(25)
「どいつもこいつもイチャイチャしやがって!ムカつくわー!お前ら全員幸せになりやがれ!」
◆年下幼なじみで今は京都の大学にいる富田潤(20)
「京都案内しようか?今どこ?」
再会した幼なじみである潤は実は子どもの頃からなぎさのことが好きで、このチャンスを逃すまいと猛アプローチをかける。
「俺はもう子供じゃない。俺についてきて、なぎ」
「そんなこと言って、後悔しても知らないよ?」
溺婚
明日葉
恋愛
香月絢佳、37歳、独身。晩婚化が進んでいるとはいえ、さすがにもう、無理かなぁ、と残念には思うが焦る気にもならず。まあ、恋愛体質じゃないし、と。
以前階段落ちから助けてくれたイケメンに、馴染みの店で再会するものの、この状況では向こうの印象がよろしいはずもないしと期待もしなかったのだが。
イケメン、天羽疾矢はどうやら絢佳に惹かれてしまったようで。
「歳も歳だし、とりあえず試してみたら?こわいの?」と、挑発されればつい、売り言葉に買い言葉。
何がどうしてこうなった?
平凡に生きたい、でもま、老後に1人は嫌だなぁ、くらいに構えた恋愛偏差値最底辺の絢佳と、こう見えて仕事人間のイケメン疾矢。振り回しているのは果たしてどっちで、振り回されてるのは、果たしてどっち?
出逢いがしらに恋をして 〜一目惚れした超イケメンが今日から上司になりました〜
泉南佳那
恋愛
高橋ひよりは25歳の会社員。
ある朝、遅刻寸前で乗った会社のエレベーターで見知らぬ男性とふたりになる。
モデルと見まごうほど超美形のその人は、その日、本社から移動してきた
ひよりの上司だった。
彼、宮沢ジュリアーノは29歳。日伊ハーフの気鋭のプロジェクト・マネージャー。
彼に一目惚れしたひよりだが、彼には本社重役の娘で会社で一番の美人、鈴木亜矢美の花婿候補との噂が……
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる