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blue.82
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「…宇宙?」
アメリアの形の良い眉がピクリと動いた。
「Baby monkey の割に大きく出たわね。光の速さで恋に落ちたとかちょっと素敵だけど…」
「…でしょ!」
アメリア、意外と分かってるじゃ――んっ
仲良く握手、してみたのは一瞬で、
「But‼ コザルにカナデは無理よ。なぜならカナデはイギリス王族の流れをくむ血筋で、でもおじい様が日本人だから爵位がないの。おじい様が展開している事業を成功させるには我がウィンチェスター侯爵家との結婚が欠かせないのよ」
安定の上から目線で私の手を振りほどき、「Sorry」めっちゃいい発音で一笑に付した。
なんかイギリス貴族のかっこ良さ出してきた――!
コウシャクとか言われてもさっぱり分から――ん!
「おいこら、アミィ。適当なこと言ってんじゃねえよ」
無知ゆえに唇を噛んでいたら、病室の入り口からまばゆい光に包まれた美声が届いた。
「奏くん!」
「Oh, my darling‼」
すぐさま飛びつきに行ったアメリアをかわして、奏くんがベッドにやって来た。
「…具合どうだ?」
さらりと私の髪に指を通し、顔をのぞき込んで優しく撫でる。
「ま、ま、…眩しすぎて吐きそうであります!」
「は?」
息が。…息が止まる。
イギリス貴族風味も入れてくるとか、かっこ良さレベルMaxっ
「嘘じゃない。カナデのおじい様、結婚望んでる。アミィも望んでる。イギリスに戻って結婚すれば、みんなHappy!」
私が奏くんに見とれてる間にアメリアが間に割り込んで奏くんにすがりついた。
「アミィ。…俺はハッピーじゃない」
奏くんがアメリアの肩をつかんで引き離す。
「イギリスには帰らない」
「カナデ、…」
みるみるうちに、アメリアの美しい顔がゆがみ、青い瞳が涙でいっぱいになった。
「カナデの浮気者―――っ! おじい様に言いつけてやる―――っ」
涙をふり飛ばして、立ち去り姿も美しく、アメリアが病室を出て行った。
ペルシャ退散。プリンス奏最強。百獣の王バンザイ。
「…ライオンキング」
「は?」
ちょっとため息をついた奏くんが私に向き直り、
「のい」
その澄んだきれいな瞳で愛しそうに私を見つめると、
「…俺も」
なんかめちゃめちゃ優しくキスしてくれた。
え?…なになに? 何が?
よく分からなかったけど、奏くんの甘くて優しいキスが嬉しすぎて頭がふわふわして宇宙の果てまで飛んで行けそうだった。
「…幸せそうで結構だが」
けど、あっという間に現実に引き戻された。
「青井奏。今すぐベッドに戻らないと本気で3日覚めない麻酔打つぞ」
空恐ろしい形相で、それでもやっぱり美形の結城先生が病室にやってきて、奏くんをつかまえて引きずって行った。
「痛いって。あんた、俺の主治医じゃないじゃん」
「お前が問題児過ぎて、古賀Dr.から引き取った。ここでは俺が法律だ」
「…傲慢」
「麻酔3本」
「…なんでだよ」
キングオブキングス。Dr.結城最強。
アメリアの形の良い眉がピクリと動いた。
「Baby monkey の割に大きく出たわね。光の速さで恋に落ちたとかちょっと素敵だけど…」
「…でしょ!」
アメリア、意外と分かってるじゃ――んっ
仲良く握手、してみたのは一瞬で、
「But‼ コザルにカナデは無理よ。なぜならカナデはイギリス王族の流れをくむ血筋で、でもおじい様が日本人だから爵位がないの。おじい様が展開している事業を成功させるには我がウィンチェスター侯爵家との結婚が欠かせないのよ」
安定の上から目線で私の手を振りほどき、「Sorry」めっちゃいい発音で一笑に付した。
なんかイギリス貴族のかっこ良さ出してきた――!
コウシャクとか言われてもさっぱり分から――ん!
「おいこら、アミィ。適当なこと言ってんじゃねえよ」
無知ゆえに唇を噛んでいたら、病室の入り口からまばゆい光に包まれた美声が届いた。
「奏くん!」
「Oh, my darling‼」
すぐさま飛びつきに行ったアメリアをかわして、奏くんがベッドにやって来た。
「…具合どうだ?」
さらりと私の髪に指を通し、顔をのぞき込んで優しく撫でる。
「ま、ま、…眩しすぎて吐きそうであります!」
「は?」
息が。…息が止まる。
イギリス貴族風味も入れてくるとか、かっこ良さレベルMaxっ
「嘘じゃない。カナデのおじい様、結婚望んでる。アミィも望んでる。イギリスに戻って結婚すれば、みんなHappy!」
私が奏くんに見とれてる間にアメリアが間に割り込んで奏くんにすがりついた。
「アミィ。…俺はハッピーじゃない」
奏くんがアメリアの肩をつかんで引き離す。
「イギリスには帰らない」
「カナデ、…」
みるみるうちに、アメリアの美しい顔がゆがみ、青い瞳が涙でいっぱいになった。
「カナデの浮気者―――っ! おじい様に言いつけてやる―――っ」
涙をふり飛ばして、立ち去り姿も美しく、アメリアが病室を出て行った。
ペルシャ退散。プリンス奏最強。百獣の王バンザイ。
「…ライオンキング」
「は?」
ちょっとため息をついた奏くんが私に向き直り、
「のい」
その澄んだきれいな瞳で愛しそうに私を見つめると、
「…俺も」
なんかめちゃめちゃ優しくキスしてくれた。
え?…なになに? 何が?
よく分からなかったけど、奏くんの甘くて優しいキスが嬉しすぎて頭がふわふわして宇宙の果てまで飛んで行けそうだった。
「…幸せそうで結構だが」
けど、あっという間に現実に引き戻された。
「青井奏。今すぐベッドに戻らないと本気で3日覚めない麻酔打つぞ」
空恐ろしい形相で、それでもやっぱり美形の結城先生が病室にやってきて、奏くんをつかまえて引きずって行った。
「痛いって。あんた、俺の主治医じゃないじゃん」
「お前が問題児過ぎて、古賀Dr.から引き取った。ここでは俺が法律だ」
「…傲慢」
「麻酔3本」
「…なんでだよ」
キングオブキングス。Dr.結城最強。
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