Blue Bird ―初恋の人に再会したのに奔放な同級生が甘すぎるっ‼【完結】

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奏くんの腕の中で夢を見た。

海岸線。潮風。夏の夕暮れ。
どんなに追いかけてももうあおくんに届かない。

『あおくん、あおくん、行かないで』

人生で一番悲しかった日。
大好きなあおくんが遠くへ行ってしまう。

『もう、泣くな』

抱きしめてくれたあおくんの温かさ。
髪を撫でてくれた優しい手。
男の子の匂い。初めてのキス。

『どんな時でもお前のそばにいる』

そう言って、魔法を見せてくれた。
月の光を浴びて夜の海を羽ばたく青い鳥。

青い鳥は幸せの象徴。
見えなくても、いつでもそばにいてくれる。

奏くんは、ずっとそばにいてくれた。
気づかなかったけど、すぐそばで。
喜びも悲しみも切なさも、全部包んでくれていた。

「…だいすき」

唇に甘いぬくもりを感じた。
優しく溶かす心地よい舌。

「俺もだよ、のい」

大好き、奏くん。
もう絶対どこにも行かないでね。



目を開けたら、奏くんのきれいな顔が至近距離にあって、
動こうとしたら、背中に回された長い腕に軽々と引き寄せられた。

「か、…なで、くん」

うわあ。奏くんの身体全部で包まれてる。
なんか。全部くっついてて動けない。

「おはよ」

奏くんの長いまつ毛が瞬いて、地球色の瞳が私を映した。
起き抜けのかすれた声が無駄に色っぽくて困る。

「ちゃんと、待ってろよ」
「…うん」

奏くんが頭の後ろに回した手で私を引き寄せて、鼻の頭を食む。

「な、…っ」

抗議しようと開けた口に、甘い舌を差し込まれた。

奏くんに深くキスされると、あっという間に溺れてしまって、
もう全然抵抗できない。
ただただ心地よく溶けだして蜂蜜の海をどこまでもさまよう。

昨日、奏くんのベッドで一緒に寝た。
木製のヘッドボードに広いダークブラウンのベッドは、
お布団がふわふわでシーツの肌触りが良くて、
全部、奏くんの匂いがした。

『和泉を捜しに行ってくる。絶対連れて帰ってくるから』

奏くんの美しい瞳が私を映して揺れていた。

『…俺のベッドで待ってて』
『うん』

奏くんが口元を優しく緩めて私の頬をつまむ。

『…分かってないだろ? その時はちゃんと抱くからな』

奏くんの甘く震える声が耳元で溶けて、身体の奥が締め付けられてきゅうきゅう鳴った。

『…うん』

うなずいたら、キスの雨が降ってきた。

絶対絶対死んじゃうと思うんだけど。
奏くんなら、それでもいい。
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