Blue Bird ―初恋の人に再会したのに奔放な同級生が甘すぎるっ‼【完結】

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「先生――っ! 結城ぜんぜいいい―――っ‼ かなでぐんがじんじゃううう―――っ‼」

「うるさい。落ち着け。死なないから」

病院のベッドに横たわる奏くんにしがみついて泣いていたら、結城医師に冷たくあしらわれた。

だって。
だって、だって。

「奏くんが、愛してるって、…‼」

そんな夢みたいな、幻みたいな、まるで最期の言葉みたいな、…っ‼

「…なんの自慢だ」

結城医師が絶妙に嫌な顔をして私を見下ろす。

だって、だって、だって―――っ‼

「身体を麻痺させる作用のある気体を吸い込んで、一時的に身体が休眠状態に陥っている。機能的な問題は見られないから、気体の効力がなくなれば目を覚ますだろう」

「ほんどに? ぜっだい?」

奏くんが全然起きないのに、事もなげに言う結城医師を恨みがしく見上げて、

「嘘ついたら絶交だから―――っ‼」

叫んだら、鼻で笑われた。

「…望むところだ」

先生のイジワル美形―――っ‼

結城医師はその超絶美形な顔を少しだけ緩めて、

「お前らそっくりだな。大丈夫だよ。青井は多分、…ずっとそうだから」

私の頭を撫でてくれた。

イジワル美形。
何がずっとそうなのかいまいちよく分からないけど、…優しいから許す。

地下鉄の通路で見つかった奏くんとお父さん、和泉さんと璃乙くんは、すぐに救急搬送され、それぞれ病院のベッドで眠っている。

通路の先は土砂でふさがれて行き止まりになっていて、ウィンエンターテイメントの地下で起こった爆発の凄まじさを思い起こさせた。

日野原社長の姿は見当たらず、奏くんと一緒に救急車に乗り込んだ私を、東堂秘書が裏切り者~みたいな顔で見てきたけど、のい子他人だからね。


静かに眠っている奏くんの顔を見ていると、泣きたくなる。
胸がいっぱいで、切なくなる。

愛しい。

いつも。どんな時でも。どんな危険を冒しても。
私を助けてくれるこの人が。
大事で。愛しくて。かけがえがなくて。
大切過ぎて胸が痛い。

柔らかい髪。長いまつ毛。
整った鼻筋。滑らかな頬。
桜色の唇。穏やかな呼吸。

全部。全部。愛しくて。息が出来ない。

「お前がそんなにうるさいと、青井もおちおち寝ていられないな」

ちょっと、先生。
静かだったよね? めっちゃ静かだったよね?

憮然として結城医師を見ると、しれっと返された。

「いや。顔がうるさい」

ちょっとちょっと―――っ
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