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おまけBlue.
06.【完結】
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「奏くんのバカ―――っ、遅刻じゃんっ‼」
ずっとふわふわ快感に揺られて、まどろみを繰り返し、
やっと目を開けたら、星空はとっくに見えなくなっていて
日が高く昇っていた。
焦って起き上がろうとしたけど、
蜂蜜状態の潤み切った身体がまるで言うことを聞いてくれない。
「…休みだろ」
奮闘している私を、奏くんの長い手足がその滑らかな素肌に引き寄せて、ぴったり包み込んだ。
あ。…そうか。休みか。
「…おはよ」
けだるげな笑みを浮かべて私をのぞき込む寝起きの奏くんは、息が止まるほどセクシーで、あんなに溶かされたのに身体の奥がきゅうきゅう鳴く。
「お、…はよう」
なんか、…なんか、隙間なく触れ合っている肌が今更恥ずかしくて、奏くんの胸に顔をうずめたら、それはそれでもっと恥ずかしくなった。
「なんだよ?」
奏くんが私の髪に指を絡めてくるくる弄びながら、ちょっと楽しそうな顔をして、やたら官能的な唇でおでこにキスした。
それだけで、全身に甘い痺れが走って奏くんにすがりついてしまう。
奏くんは柔らかい笑みを浮かべたまま優しいキスの雨を降らせて、もう一度ゆっくりゆっくり私を甘くとろけさせた。
「わあ、美味しい――――っ‼」
もう本気で1ミリも動けない私をシーツでくるんで抱き起こすと、
奏くんが焼きたてのガレットを食べさせてくれた。
色とりどりの野菜とカリカリのベーコンがベストマッチで、サクサクした生地もやみ付きになるほど美味しい。
フレッシュオレンジジュースとかヨーグルトとかコーヒーとかを奏くんがせっせと食べさせてくれて、やっぱりひな鳥とお父さんみたいだと思った。
ていうか、こんなに甘やかされてていいんだろうか。
ガレットを噛みしめながら奏くんを見ると、なんだかすごく優しい顔をしていて、胸の奥がぎゅうっとした。
この人を幸せにしたい。
心の底からそう思った。
「あのさ、俺、行きたいとこあんだけど」
すっかりお腹も満たされてお風呂にも入らせてもらって、森の風を感じながら穏やかな日差しに包まれていると、おもむろに奏くんが言い出した。
はいはいっ、奏くんが望むなら、どこでもお供しますっ‼
なんなら、きびだんごも用意しますっ‼
めっちゃやる気を出して奏くんの前に控えたら、奏くんに笑いながら頬をつままれた。
「お前の実家」
私のサル山にプリンスを…っ⁉
ちょっと面食らって瞬くと、奏くんが私の頬に手を添えながら耳を撫でた。
「俺はいずれ、じいちゃんの仕事を手伝いたいと思ってる。その時はイギリスに帰ることになる」
奏くんの指が優しく私の耳をたどる。
くすぐったくて甘くって身もだえする。
「お前を連れて行きたい」
奏くんの美しい瞳が真っすぐに私を見つめる。
「もう絶対、お前を離さないから」
奏くんのきれいな顔が込み上げた涙でにじむ。
『あおくんあおくん、行かないで。のいを置いて行かないで』
泣きじゃくる幼い日の私を奏くんが優しく優しく抱きしめてくれた。
奏くんの瞳に満天の星が降る。
いつでもどんな時でも私を明るく照らしてくれる美しい瞳。
『どんな時でもお前のそばにいる』
奏くんは優しく私を引き寄せると、その地球色の瞳に私を映して、
永遠を誓うキスをしてくれた。
澄んだ青空。開けた街並み。穏やかな昼下がり。
奏くんのバイクでサル山、…もとい私の実家へ向かった。
一陣の風になって真っすぐにどこまでも進んでいく。
奏くんが一緒なら、宇宙にだって行ける。
奏くんが一緒なら、怖いものは何もない。
奏くんが一緒なら、未来も幸せに溢れてる。
「奏くん、大好きっ‼ 絶対絶対離れないからねっ‼」
世界一愛しい奏くんの背中を抱きしめると、奏くんの背中が優しく笑った。
ずっとふわふわ快感に揺られて、まどろみを繰り返し、
やっと目を開けたら、星空はとっくに見えなくなっていて
日が高く昇っていた。
焦って起き上がろうとしたけど、
蜂蜜状態の潤み切った身体がまるで言うことを聞いてくれない。
「…休みだろ」
奮闘している私を、奏くんの長い手足がその滑らかな素肌に引き寄せて、ぴったり包み込んだ。
あ。…そうか。休みか。
「…おはよ」
けだるげな笑みを浮かべて私をのぞき込む寝起きの奏くんは、息が止まるほどセクシーで、あんなに溶かされたのに身体の奥がきゅうきゅう鳴く。
「お、…はよう」
なんか、…なんか、隙間なく触れ合っている肌が今更恥ずかしくて、奏くんの胸に顔をうずめたら、それはそれでもっと恥ずかしくなった。
「なんだよ?」
奏くんが私の髪に指を絡めてくるくる弄びながら、ちょっと楽しそうな顔をして、やたら官能的な唇でおでこにキスした。
それだけで、全身に甘い痺れが走って奏くんにすがりついてしまう。
奏くんは柔らかい笑みを浮かべたまま優しいキスの雨を降らせて、もう一度ゆっくりゆっくり私を甘くとろけさせた。
「わあ、美味しい――――っ‼」
もう本気で1ミリも動けない私をシーツでくるんで抱き起こすと、
奏くんが焼きたてのガレットを食べさせてくれた。
色とりどりの野菜とカリカリのベーコンがベストマッチで、サクサクした生地もやみ付きになるほど美味しい。
フレッシュオレンジジュースとかヨーグルトとかコーヒーとかを奏くんがせっせと食べさせてくれて、やっぱりひな鳥とお父さんみたいだと思った。
ていうか、こんなに甘やかされてていいんだろうか。
ガレットを噛みしめながら奏くんを見ると、なんだかすごく優しい顔をしていて、胸の奥がぎゅうっとした。
この人を幸せにしたい。
心の底からそう思った。
「あのさ、俺、行きたいとこあんだけど」
すっかりお腹も満たされてお風呂にも入らせてもらって、森の風を感じながら穏やかな日差しに包まれていると、おもむろに奏くんが言い出した。
はいはいっ、奏くんが望むなら、どこでもお供しますっ‼
なんなら、きびだんごも用意しますっ‼
めっちゃやる気を出して奏くんの前に控えたら、奏くんに笑いながら頬をつままれた。
「お前の実家」
私のサル山にプリンスを…っ⁉
ちょっと面食らって瞬くと、奏くんが私の頬に手を添えながら耳を撫でた。
「俺はいずれ、じいちゃんの仕事を手伝いたいと思ってる。その時はイギリスに帰ることになる」
奏くんの指が優しく私の耳をたどる。
くすぐったくて甘くって身もだえする。
「お前を連れて行きたい」
奏くんの美しい瞳が真っすぐに私を見つめる。
「もう絶対、お前を離さないから」
奏くんのきれいな顔が込み上げた涙でにじむ。
『あおくんあおくん、行かないで。のいを置いて行かないで』
泣きじゃくる幼い日の私を奏くんが優しく優しく抱きしめてくれた。
奏くんの瞳に満天の星が降る。
いつでもどんな時でも私を明るく照らしてくれる美しい瞳。
『どんな時でもお前のそばにいる』
奏くんは優しく私を引き寄せると、その地球色の瞳に私を映して、
永遠を誓うキスをしてくれた。
澄んだ青空。開けた街並み。穏やかな昼下がり。
奏くんのバイクでサル山、…もとい私の実家へ向かった。
一陣の風になって真っすぐにどこまでも進んでいく。
奏くんが一緒なら、宇宙にだって行ける。
奏くんが一緒なら、怖いものは何もない。
奏くんが一緒なら、未来も幸せに溢れてる。
「奏くん、大好きっ‼ 絶対絶対離れないからねっ‼」
世界一愛しい奏くんの背中を抱きしめると、奏くんの背中が優しく笑った。
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