【完結】君への祈りが届くとき

remo

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Ⅰ.あかり

13.

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鳴瀬がいなくなってから、ピアノばかり弾いていた。

毎日降り続く雨は、ただでさえ鬱々とした空気に拍車を掛ける。

都大会を勝ち進み、関東リーグ大会が控える聖人は、バスケ部の練習に励んでいる。

私は。
一人で待つのが怖い。
という理由で、聖人を待たずに帰っていた。
学校では相変わらず孤立していた。

図書室は、鳴瀬の面影がありすぎて、息をするのが苦しい。

帰ってきて、ずっとピアノを弾いている。
ピアノは、鳴瀬に近づく気がする。

鳴瀬。

この雨に濡れたりしていない?
傘は、持っている?
今、どこにいるの?

私は、成瀬の伏せられたまつげを何度も思い出していた。

…何も始まらずに終わってしまった。

怖くて。
近づけなかった。

(15分経ったら…)
彼のコトバ一つで。かすれた声で。

(起こして。)
揺れる瞳で。射抜くまなざしで。

いとも簡単に魂まで捕らわれてしまったのに。



そんなある夜。
深夜1時43分。

私の携帯電話が震えた。



「---…俺」

何も考えずにタップして、耳に届いた声。

「…な、る…!」

身震いした。
間違えるはずがない。
この魂をなでるような声は。

聞きたいことがたくさんあるのに、あまりに突然で声が出ない。

鳴瀬の背後から、かすかに波のような音がした。
耳を澄ますと、鳴瀬はハミングしているようだった。

歌ってる?

ワンフレーズ、ツーフレーズ…

固唾をのんで携帯電話を握りしめていたら、唐突に切れた。

急いで履歴を見ると、非通知。
高鳴った心臓の音で頭がガンガンする。
冷や汗をかいていた。

これは、夢?現実?
鳴瀬が私に電話をかけてきた?

眠れないまま、朝を迎えた。
何度も電話の履歴を見た。

「非通知」の表示が、これほど大切に思えるなんて、知らなかった。
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