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Ⅱ.有輝
06.
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GWは、慎弥さんの店に居た。
慎弥さんのダーツバーはなんでか繁盛している。
「お前、すぐ女に連れて行かれちゃうからなぁ。ちゃんと働いてもらえるかなぁ」
「もう、着いていきませんよ」
「どうだかな」
慎弥さんは、中学の時、街で絡まれて殴り倒されて転がってた俺を拾ってくれた。
親父より少し年上で、俺のことを何も聞かない。
手当して、飯をくれて、元気になったら学校に行けと言われた。
仕方がないから行ったけど、ほとんど教室にはいなかった。
その頃の俺は、瀬能から光を奪った罪悪感と、空手と母親を失った喪失感で荒んでいて、何でもいいから自分を満たしたくてさまよっていた。
酒とかたばことか女とか、自分をごまかせるなら何でも良かった。
そんなだから、トラブルばかりで、しょっちゅう喧嘩沙汰になった。
でももう俺は誰も殴れなかった。
結果、いつも派手にやられてその辺でゴミみたいに捨てられていた。
慎弥さんは、どこからか現れて、いつも俺を拾ってくれた。
手当して、飯をくれて、元気になったら学校へ行けと言う。
ふてくされて、ここで働かせてほしいと言うと、学校に行くなら、手伝わせてやると言われた。
しぶしぶ学校に行ってから、慎弥さんの店を訪れた。
慎弥さんは自分のことは話さずに、客の話を穏やかに聞いていた。
この人が声を荒げたところを見たことがない。
いつも優しい目で、ダーツを楽しむ客たちを見ていた。
そのうちに、多分この人は大切な人を亡くしたらしいと分かった。
慎弥さんの店は居心地が良かったけど、俺は客と消えたり、急に来なくなったり、勝手なことばかりしていた。
でも慎弥さんは何も言わなかった。
俺が気まぐれに現れると、学校に行ってるかだけ、聞かれた。
うなずくと、当たり前みたいに飯をくれたり店を手伝わせてくれたりした。
でも、円香が亡くなってから、全く学校に行かなかったから、慎弥さんの店にも行けなくなった。
すごく久しぶりに訪れた俺に、慎弥さんはやはり何も聞かず、ただ、学校行ってるか、と言った。
「俺、まだ高校1日も休んでないですよ」
「そうか」
慎弥さんは、グラスを磨きながら、淡々とうなずいた。
慎弥さんの声は、聞く人を安心させる。
みんな、慎弥さんに話を聞いてほしくて、ここに集まるのかもしれない。
「俺、好きな子ができた」
なんでそんなことを言ってしまったのかわからない。
床掃除をしながら、我に返って慎弥さんを見ると、
「…そうか」
すごく優しい目をしていた。
慎弥さんのダーツバーはなんでか繁盛している。
「お前、すぐ女に連れて行かれちゃうからなぁ。ちゃんと働いてもらえるかなぁ」
「もう、着いていきませんよ」
「どうだかな」
慎弥さんは、中学の時、街で絡まれて殴り倒されて転がってた俺を拾ってくれた。
親父より少し年上で、俺のことを何も聞かない。
手当して、飯をくれて、元気になったら学校に行けと言われた。
仕方がないから行ったけど、ほとんど教室にはいなかった。
その頃の俺は、瀬能から光を奪った罪悪感と、空手と母親を失った喪失感で荒んでいて、何でもいいから自分を満たしたくてさまよっていた。
酒とかたばことか女とか、自分をごまかせるなら何でも良かった。
そんなだから、トラブルばかりで、しょっちゅう喧嘩沙汰になった。
でももう俺は誰も殴れなかった。
結果、いつも派手にやられてその辺でゴミみたいに捨てられていた。
慎弥さんは、どこからか現れて、いつも俺を拾ってくれた。
手当して、飯をくれて、元気になったら学校へ行けと言う。
ふてくされて、ここで働かせてほしいと言うと、学校に行くなら、手伝わせてやると言われた。
しぶしぶ学校に行ってから、慎弥さんの店を訪れた。
慎弥さんは自分のことは話さずに、客の話を穏やかに聞いていた。
この人が声を荒げたところを見たことがない。
いつも優しい目で、ダーツを楽しむ客たちを見ていた。
そのうちに、多分この人は大切な人を亡くしたらしいと分かった。
慎弥さんの店は居心地が良かったけど、俺は客と消えたり、急に来なくなったり、勝手なことばかりしていた。
でも慎弥さんは何も言わなかった。
俺が気まぐれに現れると、学校に行ってるかだけ、聞かれた。
うなずくと、当たり前みたいに飯をくれたり店を手伝わせてくれたりした。
でも、円香が亡くなってから、全く学校に行かなかったから、慎弥さんの店にも行けなくなった。
すごく久しぶりに訪れた俺に、慎弥さんはやはり何も聞かず、ただ、学校行ってるか、と言った。
「俺、まだ高校1日も休んでないですよ」
「そうか」
慎弥さんは、グラスを磨きながら、淡々とうなずいた。
慎弥さんの声は、聞く人を安心させる。
みんな、慎弥さんに話を聞いてほしくて、ここに集まるのかもしれない。
「俺、好きな子ができた」
なんでそんなことを言ってしまったのかわからない。
床掃除をしながら、我に返って慎弥さんを見ると、
「…そうか」
すごく優しい目をしていた。
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