【完結】君への祈りが届くとき

remo

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Ⅱ.有輝

08.

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何かに耐えるように身を固めて座るあかりを見て、やっぱり俺を「見なかった」んだと思った。

そのとたん、俺の理性は振り切れて、あかりに触れられそうなほど近づいていた。

「15分経ったら、起こして」

怖がらせたくなくて、囁きに近い声だったのに、あかりは傍目に分かるほどはっきりと震えた。

大きな目を見開いて、あかりが俺を見た。

あかりの澄んだきれいな瞳に俺が映る。

時間が止まった。
あかりの瞳に映る俺は、まだ、青空の下にいた頃の、俺みたいに見えた。

どのくらい見つめ合っていたのか、
瞬きも忘れたようにあんまり俺を凝視するあかりが
おかしくて、可愛くて、

「そんな見開いたら、落ちるよ?」

触れてしまった。
柔らかくて温かくて滑らかな、天使の肌に。
光を湛えた黒目がちの瞳をなでる。

あかりに触れた手を握りしめた。
今なら多分。眠ることが出来る。

もし、あかりが俺を起こさなければ、もうこのまま目覚めなくていい。

目を閉じると、ずっと長い間感じたことのなかった、光とぬくもりに包まれた気がした。

明るくて。穏やかで。満ち足りて。幸福な。

天使が俺を見ている。

薬よりもずっと強力で幸福な眠りに落ちた。
青い空。そよぐ風。笑い声。温かな手。

カラカラに乾いてひび割れていた土に水が沁みこんでいくように、渇き切った心に、光が差し込むーーー

「あの。…起きて」

目を開けると、少し不安そうな顔をしたあかりがいた。

天使が、俺を許してくれたように感じて、自分が身軽になった気がした。

「さんきゅ」

あかりは、小さくうなずいて顔を逸らしたけど、少しだけ、頬が赤い。

それが可愛くて、触りたくなるから、急いで席を立った。
図書室を出るのが、もったいなかった。
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