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Ⅲ.あかり
08.
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鳴瀬は、真夜中に電話をくれる。
退学にはならなそうだと言っていた。
二言三言、話して切れる。
それ以上の進展はない。
鳴瀬に近づきたいと思っているのは、私だけなのかもしれない。
でも。
そんな風に静かに過ぎゆく日々を不満に思っていたわけじゃない。
それなのにどうして、こんなことになってしまったんだろう。
学校からの帰り道、私を取り囲んだ男たちの中で、ひときわ目立つのは、左目に眼帯をした人だった。
「大人しくしていてくれたら、怖くないから」
彼は、図書室で乱暴した3年生と同じ雰囲気をまとっていた。
もてあました感情を発散させるために、誤った行動をとってしまう人。
叫び声をあげて、逃げ出そうとしたら、いきなり頬を叩かれた。
胸ぐらをつかみ上げて男がすごむ。
「俺を怒らせるな」
恐怖が身体を支配した。
足が動かない。声も出ない。
私のスマートフォンを取り上げると、男は、嬉しそうに電話をかけた。
「久しぶりじゃん。俺のこと、忘れるわけないよな~?」
話しながら、男たちは私を両脇から挟み込んで、人気のない公園の鬱蒼とした茂みの奥に連れ込んだ。
男がネクタイで、私を後ろ手に縛り、口に布で猿轡を噛ませた。
目の前にカッターナイフを突きつけられる。
「もうすぐ、正義のヒーロー様が助けに来てくれるよ。楽しいショーが始まるから、イイ子にしててね」
男のゆがんだ笑みには、嫌悪感しか起こらない。
眼帯から想起出来ることがある。
私の携帯から電話した相手は1人しか浮かばない。
もう、彼が傷つくのは見たくないのに。
恐怖で涙が溢れそうになる。
泣いたら彼らを喜ばせて、彼を困らせる。
何とかして逃げないと、彼を困らせる。
この恐怖から救われたいけれど、彼に来て欲しくはなかった。
茂みが揺れて、オレンジ色の頭が見えた時、希望と絶望がない交ぜになった。
彼を窮地に陥れた自分が許せない。
「有輝くん。来ると思ってたよ~。昔から正義のヒーローだもんねぇ。あのイヌにだって情けかけたんだもん、大事なオンナを見捨てたりするわけないよねぇ」
眼帯の男が可笑しくてたまらないというように、狂気じみた笑い声をあげた。
私の両脇に2人の男たち。
眼帯の隣にも2人の男たち。
合計5人の男たちが鳴瀬を獲物のように見ている。
鳴瀬は私に向けられたナイフを見てから、悲しそうな目で眼帯男を見た。
鳴瀬が泣いている、と思った。
「お前らこいつを押さえてろ」
眼帯男が脇の2人に指示する。
「彼女が大事なら抵抗するなよ」
鳴瀬は両脇から羽交い絞めにされても動かなかった。
「俺、ずっと、お前のそのきれいな顔をめちゃめちゃにしてやりたかったんだ」
退学にはならなそうだと言っていた。
二言三言、話して切れる。
それ以上の進展はない。
鳴瀬に近づきたいと思っているのは、私だけなのかもしれない。
でも。
そんな風に静かに過ぎゆく日々を不満に思っていたわけじゃない。
それなのにどうして、こんなことになってしまったんだろう。
学校からの帰り道、私を取り囲んだ男たちの中で、ひときわ目立つのは、左目に眼帯をした人だった。
「大人しくしていてくれたら、怖くないから」
彼は、図書室で乱暴した3年生と同じ雰囲気をまとっていた。
もてあました感情を発散させるために、誤った行動をとってしまう人。
叫び声をあげて、逃げ出そうとしたら、いきなり頬を叩かれた。
胸ぐらをつかみ上げて男がすごむ。
「俺を怒らせるな」
恐怖が身体を支配した。
足が動かない。声も出ない。
私のスマートフォンを取り上げると、男は、嬉しそうに電話をかけた。
「久しぶりじゃん。俺のこと、忘れるわけないよな~?」
話しながら、男たちは私を両脇から挟み込んで、人気のない公園の鬱蒼とした茂みの奥に連れ込んだ。
男がネクタイで、私を後ろ手に縛り、口に布で猿轡を噛ませた。
目の前にカッターナイフを突きつけられる。
「もうすぐ、正義のヒーロー様が助けに来てくれるよ。楽しいショーが始まるから、イイ子にしててね」
男のゆがんだ笑みには、嫌悪感しか起こらない。
眼帯から想起出来ることがある。
私の携帯から電話した相手は1人しか浮かばない。
もう、彼が傷つくのは見たくないのに。
恐怖で涙が溢れそうになる。
泣いたら彼らを喜ばせて、彼を困らせる。
何とかして逃げないと、彼を困らせる。
この恐怖から救われたいけれど、彼に来て欲しくはなかった。
茂みが揺れて、オレンジ色の頭が見えた時、希望と絶望がない交ぜになった。
彼を窮地に陥れた自分が許せない。
「有輝くん。来ると思ってたよ~。昔から正義のヒーローだもんねぇ。あのイヌにだって情けかけたんだもん、大事なオンナを見捨てたりするわけないよねぇ」
眼帯の男が可笑しくてたまらないというように、狂気じみた笑い声をあげた。
私の両脇に2人の男たち。
眼帯の隣にも2人の男たち。
合計5人の男たちが鳴瀬を獲物のように見ている。
鳴瀬は私に向けられたナイフを見てから、悲しそうな目で眼帯男を見た。
鳴瀬が泣いている、と思った。
「お前らこいつを押さえてろ」
眼帯男が脇の2人に指示する。
「彼女が大事なら抵抗するなよ」
鳴瀬は両脇から羽交い絞めにされても動かなかった。
「俺、ずっと、お前のそのきれいな顔をめちゃめちゃにしてやりたかったんだ」
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