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1章.告白ミッション
06.
「…おい、ちゃんと前見て歩け」
昂揚した気持ちのまま闇雲に歩いていたら、最寄り駅の改札を出たところで、前から来た誰かにぶつかってしまった。
「す、すみませ、…って、ななせ‼」
反射的に謝ってから顔を上げると、目の前にいたのはななせで、
「…遅くね? …てか、なんか赤くね?」
伺うように顔をのぞき込まれた。
「ごめんっ‼︎ ちょっと、の、の、飲んできてしまい…っ」
ななせの綺麗な顔が至近距離に近づいて動揺する。
キス、って。キスする時ってみんなこの距離、…
わーわーもうっ、頭からキスが離れない。
まだ唇に創くんの頬の感触が残ってる。
あからさまに挙動不審の私を通路の端に寄せると、
「…創くんか」
ななせが私の背を押して、さり気なく帰り路を促した。
「なんで分かるの⁉」
「…顔に書いてある」
慌てて自分の頬を両手で挟むと、ななせは小さく口の端を上げて、
「…楽しかった?」
斜め上から優しい目で私を見た。
ななせには長年の私の片想いが全部バレてる。
すっかり暗くなった駅からの帰り道。行き交う車のヘッドライトがスタイルの良いななせの長身を照らし出す。
ななせは一見不愛想だけどすごく優しい。
私の帰りが遅いから、心配して見に来てくれたんだ。
ななせがどんなに遅くなっても帰ってくるのは、家の中が女だけになってしまうからだって本当は知っている。
「うん。…あのね、叶音ちゃん、結婚したんだって」
「…ふーん」
車道側を歩くななせは、長い足をゆっくり繰り出して、私の歩幅に合わせてくれる。
ななせの声は耳に心地よくて、つい、何でも話してしまう。
「それで、あの。あの、例えば、だけど。…告白の時キスされたら、ななせなら、どうする?」
「え。…避ける」
「えっ、…‼」
衝撃で足が止まった。
「勝手にされたら普通に嫌だろ」
ガーン、という重い文字が空から降ってきて頭を直撃。
なんてことだ、普通に嫌だった―――っっ
「…まあ。相手によるけど」
顔面蒼白な私をフォローするようにななせが付け加えるけど衝撃は計り知れない。
そりゃそうだ、不意打ちキスが許されるのはイケメンだけって相場は決まってる。っていうか、好きでもない相手にキスされたっておぞましいだけだ―――っ
「つぼみ?」
伏してお詫びを。
「つーぼーみ?」
いや、辞してお詫びを。
「つぼみっ!」
もはや、死してお詫びっっ‼
「落ち着けって」
とっさに車道に乗り出そうとした私をななせがつかまえてくれた。
「創くんは、…まあ」
半泣きの私をななせがのぞき込む。
「嫌じゃなかったと思うよ?」
藁にもすがる思いでななせの言葉に縋り付いた。
「ホントっ⁇」
「ホントホント」
「ホントにっっ⁉」
「ホントだって」
「ホントにホントにホント―――っっ⁉」
ダメージが大きすぎてそうそう立ち直れず鬱陶しく絡む私を、ななせは仕方ないなって感じで見て、
ちゅ。
甘い唇でほんの一瞬微かに触れた。
一瞬。時間が止まって、空気が止まって、鼓動が止まった。
それから、木々のざわめきが耳に入って、瞬いた目から半泣き状態の涙が一粒落ちた。
昂揚した気持ちのまま闇雲に歩いていたら、最寄り駅の改札を出たところで、前から来た誰かにぶつかってしまった。
「す、すみませ、…って、ななせ‼」
反射的に謝ってから顔を上げると、目の前にいたのはななせで、
「…遅くね? …てか、なんか赤くね?」
伺うように顔をのぞき込まれた。
「ごめんっ‼︎ ちょっと、の、の、飲んできてしまい…っ」
ななせの綺麗な顔が至近距離に近づいて動揺する。
キス、って。キスする時ってみんなこの距離、…
わーわーもうっ、頭からキスが離れない。
まだ唇に創くんの頬の感触が残ってる。
あからさまに挙動不審の私を通路の端に寄せると、
「…創くんか」
ななせが私の背を押して、さり気なく帰り路を促した。
「なんで分かるの⁉」
「…顔に書いてある」
慌てて自分の頬を両手で挟むと、ななせは小さく口の端を上げて、
「…楽しかった?」
斜め上から優しい目で私を見た。
ななせには長年の私の片想いが全部バレてる。
すっかり暗くなった駅からの帰り道。行き交う車のヘッドライトがスタイルの良いななせの長身を照らし出す。
ななせは一見不愛想だけどすごく優しい。
私の帰りが遅いから、心配して見に来てくれたんだ。
ななせがどんなに遅くなっても帰ってくるのは、家の中が女だけになってしまうからだって本当は知っている。
「うん。…あのね、叶音ちゃん、結婚したんだって」
「…ふーん」
車道側を歩くななせは、長い足をゆっくり繰り出して、私の歩幅に合わせてくれる。
ななせの声は耳に心地よくて、つい、何でも話してしまう。
「それで、あの。あの、例えば、だけど。…告白の時キスされたら、ななせなら、どうする?」
「え。…避ける」
「えっ、…‼」
衝撃で足が止まった。
「勝手にされたら普通に嫌だろ」
ガーン、という重い文字が空から降ってきて頭を直撃。
なんてことだ、普通に嫌だった―――っっ
「…まあ。相手によるけど」
顔面蒼白な私をフォローするようにななせが付け加えるけど衝撃は計り知れない。
そりゃそうだ、不意打ちキスが許されるのはイケメンだけって相場は決まってる。っていうか、好きでもない相手にキスされたっておぞましいだけだ―――っ
「つぼみ?」
伏してお詫びを。
「つーぼーみ?」
いや、辞してお詫びを。
「つぼみっ!」
もはや、死してお詫びっっ‼
「落ち着けって」
とっさに車道に乗り出そうとした私をななせがつかまえてくれた。
「創くんは、…まあ」
半泣きの私をななせがのぞき込む。
「嫌じゃなかったと思うよ?」
藁にもすがる思いでななせの言葉に縋り付いた。
「ホントっ⁇」
「ホントホント」
「ホントにっっ⁉」
「ホントだって」
「ホントにホントにホント―――っっ⁉」
ダメージが大きすぎてそうそう立ち直れず鬱陶しく絡む私を、ななせは仕方ないなって感じで見て、
ちゅ。
甘い唇でほんの一瞬微かに触れた。
一瞬。時間が止まって、空気が止まって、鼓動が止まった。
それから、木々のざわめきが耳に入って、瞬いた目から半泣き状態の涙が一粒落ちた。
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