さんかく片想い ―彼に抱かれるために、抱かれた相手が忘れられない。三角形の恋の行方は?【完結】

remo

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2章.なりゆきリレーション

02.

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『メンバー仲の良さで知られるGalaxiesですが、喧嘩も多いんですって?』

『くだらないことばかりですけどね。ナナの女癖の悪さとか』
『ナナは気が付くと女の子と消えてて。典型的な来るもの拒まず、去る者追わず。それでいつもリヴィがキーキー怒ってる』
『リヴィがナナのこと好きすぎて』
『ナナの音楽がね!』
『ナナはずるいの。ちょっと笑っただけで、ナナセくんが笑ったとか言われて囲まれて。もう、俺らも笑うのやめようかなって』

テレビの中で、ななせがバンドメンバーたちにいじられて、仲良さそうに小突き合ったり笑い合ったりしている。曖昧な笑みを浮かべているななせは、本当にきれいな顔をしている。

でも。

頭にのせられた滑らかな手をそっと盗み見る。

実物はもっときれい。ホントずるいよね。

「…ななせはさぁ、どんなふうに迫られたらその気になる?」

いっそ開き直って、ななせに指南を仰いでみた。

「俺、回りくどいの嫌い。直接的なのがいい」
「直接的、…」
「抱いて、とか。めちゃくちゃにして、とか」

う、…さすがななせ。ハードル高い。高すぎる。

言葉に詰まった私を横目に、サクサクコロッケを食べながら、

「ま、創くんならどんな迫り方でも優しくしてくれるんじゃないの」

言って、ななせが顔をしかめた。

「つぼみ。このコロッケ、切り干し入ってる、…」

そりゃあ切り干しコロッケですから。

「ちょっと良くない? 一口大で食べやすいし、汁っぽさもなくなるし。あのね、切り干し大根は栄養満点なんだよ? カルシウムは生大根の20倍だからね!」

よくぞ気づいてくれました‼︎ の体で一気に話すも、ななせのテンションは低い。

「ななせも、ライブするんなら体調管理には気をつけなきゃね。好き嫌いはダメだよ。ほらほら、ナスのお味噌汁も残しちゃダメ」

主導権を取り戻して調子よく畳みかけると、
「…お前、うるさい」
食べかけのコロッケを口の中に突っ込まれた。

え。ダメ? 美味しいと思うんだけどな。
もぐもぐ咀嚼する。意外といけるってセレナとコウ先輩に報告するつもりだったのに。

「…コロッケより春巻きのが合うんじゃね」

地味に凹んでいるとななせがぼそりと呟いた。

「あ、…なるほどっ」
「チーズ入れたらおつまみみたいになるな」
「ななせ、あんた、あったまいいっ‼」

一気にテンションが上がる。明日は春巻き作ってみよう、と。

「…明日も切り干しなわけね」

創くんの意見も聞いてみよう。
どさくさに紛れて明日の春巻きも食べてもらえるかもしれない。

この勢いに乗じて創くんちに押しかけることにした。
創くんは就職してから一人暮らしをしていて、もうマンションのお隣にはいない。部屋の住所は教えてもらったけれど、訪れるのは初めてだ。

「私、今夜帰らないかもしれないけど、心配いらないから。お母さんは夜勤だから」
「はいはい」

コロッケをお弁当箱に詰めると、生返事のななせに見送られて颯爽と家を出た。
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