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2章.なりゆきリレーション
03.
創くんのマンションは、電車で2駅。この時間、上り電車は空いている。
仕事帰りと思われる男性数名。カップルっぽい2人。これから出勤と思われる女性。下心の切り干しコロッケを膝にのせて揺られる私は、どこに行くと思われているんだろう。
創くんは優しいから、コロッケは食べてくれると思う。けど、私のことは、…
考えると、挫けそうになるから、何も考えない。つもりなのに頭の中がぐるぐるする。昨日のキス。創くん、どう思っただろう。
大丈夫。大丈夫。大丈夫。
自己暗示をかけようとするけど、だんだん膝にのせたコロッケが重く感じてくる。勝負下着なんて着てバカみたい。客観的で冷静な自分が辛らつに見下ろす。創くんを誘惑できるわけないじゃん。
好きな人に、迷惑だけはかけたくない。
別に、答えなんて出さなくても、曖昧で心地いい妹ポジションでいいんじゃない。今ならまだ、傷つかずに済むよ。今ならまだ、ギリギリありがとうって流してもらえる。臆病な自分が足元に縋り付いて必死で引き留めようとする。
『これでダメならもう無理だから。これ以上引きずるのは時間の無駄』
そうやって10数年、逃げてきた。だから、恋が出来ない。
お弁当箱が入った袋を握りしめた。
大丈夫。大丈夫。大丈夫。
呪文みたいに繰り返す。失敗は早い方がいい。もう10年経ったらさすがに笑えない。別に。振られたって死ぬわけじゃないんだし。みんな、そうやって頑張って生きているんだ。
地図アプリを見ながらたどり着いたマンションは単身用でこじんまりとしていた。部屋番号のポストに『小湊』の表示がある。
物凄く緊張して、震えながら創くんの部屋のインターフォンを押すと、創くんは不在だった。拍子抜けしてドアの前に座り込む。
突然押し掛けたんだから、居なくても当たり前なんだけど、勢いが削がれるとやり直すのが難しい。
創くん、仕事かな。ご飯もう食べたかな。一人でピアノ、弾いているのかな。叶音ちゃんのこと、まだ好きだよね。私の告白、どう思ってるの。
創くんの部屋のドアの前で、創くんのことだけを思った。
深々と夜が積もってきて、肌寒さに膝を抱えた。
エレベータのドアが開く度、緊張して立ち上がったけれど、創くんの姿はなかった。
平日だけど帰ってこないってこと、あるかな。あるかもしれない。どんどん後ろ向きな考えに流されていく。出直した方がいいかな。いつまでもこんなところに居たら、迷惑だろうし。そう思うけど、踏ん切りがつかない。出直したらもう。勇気はかき集められない。
どのくらい待ったのか、冷え込んできて足がしびれて時間の感覚が麻痺してきた時。
「あれ~? ハジくん、妹ちゃん来てるよ」
エレベータの停まる音がして、開いたドアから女の人に伴われた創くんが降りてきた。
仕事帰りと思われる男性数名。カップルっぽい2人。これから出勤と思われる女性。下心の切り干しコロッケを膝にのせて揺られる私は、どこに行くと思われているんだろう。
創くんは優しいから、コロッケは食べてくれると思う。けど、私のことは、…
考えると、挫けそうになるから、何も考えない。つもりなのに頭の中がぐるぐるする。昨日のキス。創くん、どう思っただろう。
大丈夫。大丈夫。大丈夫。
自己暗示をかけようとするけど、だんだん膝にのせたコロッケが重く感じてくる。勝負下着なんて着てバカみたい。客観的で冷静な自分が辛らつに見下ろす。創くんを誘惑できるわけないじゃん。
好きな人に、迷惑だけはかけたくない。
別に、答えなんて出さなくても、曖昧で心地いい妹ポジションでいいんじゃない。今ならまだ、傷つかずに済むよ。今ならまだ、ギリギリありがとうって流してもらえる。臆病な自分が足元に縋り付いて必死で引き留めようとする。
『これでダメならもう無理だから。これ以上引きずるのは時間の無駄』
そうやって10数年、逃げてきた。だから、恋が出来ない。
お弁当箱が入った袋を握りしめた。
大丈夫。大丈夫。大丈夫。
呪文みたいに繰り返す。失敗は早い方がいい。もう10年経ったらさすがに笑えない。別に。振られたって死ぬわけじゃないんだし。みんな、そうやって頑張って生きているんだ。
地図アプリを見ながらたどり着いたマンションは単身用でこじんまりとしていた。部屋番号のポストに『小湊』の表示がある。
物凄く緊張して、震えながら創くんの部屋のインターフォンを押すと、創くんは不在だった。拍子抜けしてドアの前に座り込む。
突然押し掛けたんだから、居なくても当たり前なんだけど、勢いが削がれるとやり直すのが難しい。
創くん、仕事かな。ご飯もう食べたかな。一人でピアノ、弾いているのかな。叶音ちゃんのこと、まだ好きだよね。私の告白、どう思ってるの。
創くんの部屋のドアの前で、創くんのことだけを思った。
深々と夜が積もってきて、肌寒さに膝を抱えた。
エレベータのドアが開く度、緊張して立ち上がったけれど、創くんの姿はなかった。
平日だけど帰ってこないってこと、あるかな。あるかもしれない。どんどん後ろ向きな考えに流されていく。出直した方がいいかな。いつまでもこんなところに居たら、迷惑だろうし。そう思うけど、踏ん切りがつかない。出直したらもう。勇気はかき集められない。
どのくらい待ったのか、冷え込んできて足がしびれて時間の感覚が麻痺してきた時。
「あれ~? ハジくん、妹ちゃん来てるよ」
エレベータの停まる音がして、開いたドアから女の人に伴われた創くんが降りてきた。
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