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5章.さんかく片想い
02.
ななせがいる。
動いて走って奏でて跳んで話して微笑む。
音と光の洪水に飲み込まれながら、ななせから目が離せない。
心地よいサウンドに心が沸き立ち、身体の奥底から熱が沸き起こって、感動に揺さぶられる。会場が一体となって熱気球を生み出し、離れた場所でつながっている全ての人を乗せていく。時間と空間を超えて一つに弾けるエネルギーに身体中満たされる。
圧巻のステージも、掛け合いが面白いトークも、リヴィちゃんのキュートな歌声も、夢みたいな興奮と煌めきに我を忘れて、時間を忘れてのめり込んだ。
ライブの最後。ななせがマイクを持った。
「今、同じ時間を過ごしてくれているみんな。本当にありがとう」
「ナナのオリジナル未発表曲です」「歌声初披露です」
バンドメンバーに紹介されて演奏が始まる。ななせが歌う。
ななせの心に沁みるハスキーボイスが静かに響いた。
甘く震えて一瞬で心をつかむななせの声。
『precious』
夜が明けるまでずっと君の寝顔を見ていた
飽きるほど眺めた まつ毛の形も唇の形も
全部覚えておけるように
君の願いが叶うなら 何回死んでもいいよ
気づかなくていいから 君の幸せ祈らせて
好きだよ さよなら ありがとう 愛してる
気持ちは 言葉に出来ないけれど
君と出会えた奇跡に 何億回感謝しても足りない
朝が来るまでずっと君の寝顔を見ていた
笑えるほど辿った 額の形も頬の形も
全部覚えておけるように
君の願いが叶うなら 何回死んでもいいよ
気づかなくていいから 君の幸せ祈らせて
好きだよ さよなら ありがとう 愛してる
1つも 口には出せないけれど
君と出会えた奇跡に 何億回感謝しても足りない
無邪気な笑顔も怒った顔も 世話焼きなとこも
情に脆くて泣き虫で 強気なのに怖がりなとこも
全部 ただ愛しくて 抱きしめる
かけがえのない宝物
「…ななせ、か」
頬に優しい手のぬくもりを感じて、自分が泣いていることに気づいた。涙が溢れて止まらない。隣に座る創くんが、横から手を伸ばしてそっと拭ってくれた。
ライブは、演奏が終わってステージの照明も一時落ちて、アンコールの準備に入っていたけれど、ステージに残るななせの余韻を見つめたまま、身じろぎも出来なかった。瞬きも出来ない。喉が締め付けられて声も出せない。
「…ななせなんだな」
創くんが労わるように私の頭の上に手を置いた。
胸がいっぱいで何も言えない。言葉が出ない。
ななせの歌声に心が震える。ななせの深さに涙が零れる。
何もかもありのままに包み込んで受け入れてくれたななせ。
恋しい。愛しい。心を全部持っていかれる。
ステージで歌っているななせを見ていたら、ななせと目が合ったような気がした。ななせが自分のために歌ってくれたように感じた。
でも多分。それは気のせいで。
ななせの歌を聞いた全ての人と同じ、ただの淡い錯覚だった。
感動で胸がいっぱいなのに少しだけ寂しい。
ななせの歌声は、私だけが知っていたかったって思わないでもない。
『…つぼみ』
ななせの声が好き。甘くかすれて柔らかい。
怖い時、寂しい時、眠れない時。ななせはいつもそばに居てくれた。
ななせの歌が好き。耳に心地よく溶ける。
私たちがまだ小さかった頃。ななせはいつも歌ってくれた。
ななせが好き。…ななせが好き。
いつのまにかこんなにもななせしか見えない。
ななせのラブバラードが胸に沁み過ぎて痛い。ななせには、あんな風に想っている人がいる。
ステージではアンコールが始まっていて、オリビアちゃんの突き抜けた高音が会場に響き渡り、希望の光みたいに降り注いでいた。バンドメンバーが、演奏者が、スタッフさんたちが、一体となって、ななせと一瞬に最高の音楽を届けてくれた。
ななせがカッコよくて。素敵すぎて。眩し過ぎて。
手を伸ばしても届かない。
ななせはいつの間にあんなに遠くに行ってしまったんだろう。
Galaxiesのライブは最高に素敵で最高に感動して。
ほんの少しだけ寂しかった。
動いて走って奏でて跳んで話して微笑む。
音と光の洪水に飲み込まれながら、ななせから目が離せない。
心地よいサウンドに心が沸き立ち、身体の奥底から熱が沸き起こって、感動に揺さぶられる。会場が一体となって熱気球を生み出し、離れた場所でつながっている全ての人を乗せていく。時間と空間を超えて一つに弾けるエネルギーに身体中満たされる。
圧巻のステージも、掛け合いが面白いトークも、リヴィちゃんのキュートな歌声も、夢みたいな興奮と煌めきに我を忘れて、時間を忘れてのめり込んだ。
ライブの最後。ななせがマイクを持った。
「今、同じ時間を過ごしてくれているみんな。本当にありがとう」
「ナナのオリジナル未発表曲です」「歌声初披露です」
バンドメンバーに紹介されて演奏が始まる。ななせが歌う。
ななせの心に沁みるハスキーボイスが静かに響いた。
甘く震えて一瞬で心をつかむななせの声。
『precious』
夜が明けるまでずっと君の寝顔を見ていた
飽きるほど眺めた まつ毛の形も唇の形も
全部覚えておけるように
君の願いが叶うなら 何回死んでもいいよ
気づかなくていいから 君の幸せ祈らせて
好きだよ さよなら ありがとう 愛してる
気持ちは 言葉に出来ないけれど
君と出会えた奇跡に 何億回感謝しても足りない
朝が来るまでずっと君の寝顔を見ていた
笑えるほど辿った 額の形も頬の形も
全部覚えておけるように
君の願いが叶うなら 何回死んでもいいよ
気づかなくていいから 君の幸せ祈らせて
好きだよ さよなら ありがとう 愛してる
1つも 口には出せないけれど
君と出会えた奇跡に 何億回感謝しても足りない
無邪気な笑顔も怒った顔も 世話焼きなとこも
情に脆くて泣き虫で 強気なのに怖がりなとこも
全部 ただ愛しくて 抱きしめる
かけがえのない宝物
「…ななせ、か」
頬に優しい手のぬくもりを感じて、自分が泣いていることに気づいた。涙が溢れて止まらない。隣に座る創くんが、横から手を伸ばしてそっと拭ってくれた。
ライブは、演奏が終わってステージの照明も一時落ちて、アンコールの準備に入っていたけれど、ステージに残るななせの余韻を見つめたまま、身じろぎも出来なかった。瞬きも出来ない。喉が締め付けられて声も出せない。
「…ななせなんだな」
創くんが労わるように私の頭の上に手を置いた。
胸がいっぱいで何も言えない。言葉が出ない。
ななせの歌声に心が震える。ななせの深さに涙が零れる。
何もかもありのままに包み込んで受け入れてくれたななせ。
恋しい。愛しい。心を全部持っていかれる。
ステージで歌っているななせを見ていたら、ななせと目が合ったような気がした。ななせが自分のために歌ってくれたように感じた。
でも多分。それは気のせいで。
ななせの歌を聞いた全ての人と同じ、ただの淡い錯覚だった。
感動で胸がいっぱいなのに少しだけ寂しい。
ななせの歌声は、私だけが知っていたかったって思わないでもない。
『…つぼみ』
ななせの声が好き。甘くかすれて柔らかい。
怖い時、寂しい時、眠れない時。ななせはいつもそばに居てくれた。
ななせの歌が好き。耳に心地よく溶ける。
私たちがまだ小さかった頃。ななせはいつも歌ってくれた。
ななせが好き。…ななせが好き。
いつのまにかこんなにもななせしか見えない。
ななせのラブバラードが胸に沁み過ぎて痛い。ななせには、あんな風に想っている人がいる。
ステージではアンコールが始まっていて、オリビアちゃんの突き抜けた高音が会場に響き渡り、希望の光みたいに降り注いでいた。バンドメンバーが、演奏者が、スタッフさんたちが、一体となって、ななせと一瞬に最高の音楽を届けてくれた。
ななせがカッコよくて。素敵すぎて。眩し過ぎて。
手を伸ばしても届かない。
ななせはいつの間にあんなに遠くに行ってしまったんだろう。
Galaxiesのライブは最高に素敵で最高に感動して。
ほんの少しだけ寂しかった。
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