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5章.さんかく片想い
06.
やっちまっただ…
洗いざらいぶちまけて、やっと理性が戻ってきた時には何もかもが遅かった。あっけに取られた顔をしたななせが長いまつ毛を瞬かせ、固まったまま動かない。
終わった。終わったよ。
走馬灯のように今までの人生が脳裏をよぎる。
それなりに真面目に生きてきた。こんなはずじゃなかった。
女の子に慣れ腐ってる天然たらしの弟にあっという間に落とされて、逆切れの告白するって、さすがにないわ。恥ずか死ねる天才の私でも、こればっかりはないわ。
そんなつもりなかったのに。
ななせの足を引っ張るようなこと、したくないのに。ななせの役に立てるように、全力で応援するって思ってたのに。
「…ちょっと、アナグラ入ってモグラから出直してきます」
いたたまれなくてすごすごと布団に潜り込んだ。ななせの顔が見れない。
「…探さないでください」
今なら熱で頭おかしくなってたって思ってもらえるかも。ていうか、何言ったか分からなかったってこともありうるかも!
「…上書きってお前、創くんとやってないの? そんな俺が好きなの?」
…な、訳なかった―――――っ
しっかりばっちりご理解されてる上、この期に及んで無自覚に甘いななせの声にダメ押しされた。
なにこの辱め。
もう絶対言わない。何も言わない。何が何でもここから出ない。
石のように固い決心で天照大御神よろしく岩屋に閉じ籠っていたのに。
「つぼみ?」
すぐそこにななせの気配がする。布団の上からななせの手の温もりを感じる。
「出てこいよ」
ずるい。甘くかすれて優しい声。柔らかく溶けるななせの声。
「つぼみ。顔見せて?」
ずるいよ。心地良い響き。甘く震える響き。私の名前を呼ぶ、ななせの声が好き。
「…キスしてやるから」
心を全部つかまれる、甘い誘惑。抗えない魔法。惹きつけられて離れられない、…
って。
「ななせ、みんなにしてるじゃんっ‼」
思い出しても胸が軋む。危ない危ない、無自覚たらしめ。
ななせは少し黙ってから、
「…お前、楽屋来たんだっけ。あれは、事故だから」
どこか痛そうな声音で続けて、
「わ、私にもしたじゃんっ。簡単に、誰にでもしてるんじゃんっ」
「…簡単じゃねえよ」
静かに深い感情を見せた。
そっと布団の隙間からのぞくと、布団を捲り上げられて抗う間もなく、ななせの長い腕に引き寄せられた。
「簡単じゃない」
ベッドに乗り上げたななせの長い足の間に収まって、ななせの硬い身体に包まれる。張り付いた身体から、ななせの鼓動が伝わる。背中に回された腕の強さを感じる。
見上げたら、澄んだきれいな瞳が真っすぐに私だけを映していた。
ななせの唇がそっと優しく誓うように私の唇に重ね合わされた。
「ななせ、…」
ななせを感じる。伝わる。愛しい。愛しい、ななせ。
無理だ。隠せない。なかったことになんて出来ない。
「大好き…」
ななせが好き。ななせが欲しい。ななせだけが欲しい。
もう頭も身体も心の中も。ななせでいっぱいでななせだけしか入れない。
ななせがすごく優しく瞳を緩めて、腕の中に私を閉じ込めると深い深いキスをした。
引き寄せられてぴったり張り付いた身体からななせの体温が伝わる。ななせの匂いに包まれる。自分が溶けて溢れて全力でななせを求める。
「な、…なせ。うつる、よ…」
ほんの一瞬、ななせが離れた隙になけなしの理性が戻ってきて、ななせを伺い見ると、ななせはちょっと楽しそうに片頬を上げた。
「俺、薬飲んだし」
「声、出なくなったら、…」
「いいよ。俺歌わないから」
「歌ってたよね…?」
「お前が居たからな」
それって、どういう、…
意味なのか聞きたかったのに、開きかけた唇はななせの性急な舌に塞がれた。
絡めとられて絡み合って蕩けて溶かされて、混ざって交わって潤んで潤って、溢れ出して、もう何も考えられない。
ななせの熱に浮かされるまま、気が付いたら身にまとうものがなくなって素肌にななせを感じていた。
「ななせ、…」
「…無理。抱かせて」
下からななせを見上げたら、泣きたいくらい綺麗なななせが切なさと愛しさの入り混じった瞳を揺らして私を見ていた。
「俺がこの間、どんな思いでお前抱いたと思ってんだよ?」
どんな、…
「…ホントむかつく。病み上がりとか知らねえから」
ななせが滑らかに引き締まった美しい身体全てで、痛いくらい強く私を抱きしめた。
洗いざらいぶちまけて、やっと理性が戻ってきた時には何もかもが遅かった。あっけに取られた顔をしたななせが長いまつ毛を瞬かせ、固まったまま動かない。
終わった。終わったよ。
走馬灯のように今までの人生が脳裏をよぎる。
それなりに真面目に生きてきた。こんなはずじゃなかった。
女の子に慣れ腐ってる天然たらしの弟にあっという間に落とされて、逆切れの告白するって、さすがにないわ。恥ずか死ねる天才の私でも、こればっかりはないわ。
そんなつもりなかったのに。
ななせの足を引っ張るようなこと、したくないのに。ななせの役に立てるように、全力で応援するって思ってたのに。
「…ちょっと、アナグラ入ってモグラから出直してきます」
いたたまれなくてすごすごと布団に潜り込んだ。ななせの顔が見れない。
「…探さないでください」
今なら熱で頭おかしくなってたって思ってもらえるかも。ていうか、何言ったか分からなかったってこともありうるかも!
「…上書きってお前、創くんとやってないの? そんな俺が好きなの?」
…な、訳なかった―――――っ
しっかりばっちりご理解されてる上、この期に及んで無自覚に甘いななせの声にダメ押しされた。
なにこの辱め。
もう絶対言わない。何も言わない。何が何でもここから出ない。
石のように固い決心で天照大御神よろしく岩屋に閉じ籠っていたのに。
「つぼみ?」
すぐそこにななせの気配がする。布団の上からななせの手の温もりを感じる。
「出てこいよ」
ずるい。甘くかすれて優しい声。柔らかく溶けるななせの声。
「つぼみ。顔見せて?」
ずるいよ。心地良い響き。甘く震える響き。私の名前を呼ぶ、ななせの声が好き。
「…キスしてやるから」
心を全部つかまれる、甘い誘惑。抗えない魔法。惹きつけられて離れられない、…
って。
「ななせ、みんなにしてるじゃんっ‼」
思い出しても胸が軋む。危ない危ない、無自覚たらしめ。
ななせは少し黙ってから、
「…お前、楽屋来たんだっけ。あれは、事故だから」
どこか痛そうな声音で続けて、
「わ、私にもしたじゃんっ。簡単に、誰にでもしてるんじゃんっ」
「…簡単じゃねえよ」
静かに深い感情を見せた。
そっと布団の隙間からのぞくと、布団を捲り上げられて抗う間もなく、ななせの長い腕に引き寄せられた。
「簡単じゃない」
ベッドに乗り上げたななせの長い足の間に収まって、ななせの硬い身体に包まれる。張り付いた身体から、ななせの鼓動が伝わる。背中に回された腕の強さを感じる。
見上げたら、澄んだきれいな瞳が真っすぐに私だけを映していた。
ななせの唇がそっと優しく誓うように私の唇に重ね合わされた。
「ななせ、…」
ななせを感じる。伝わる。愛しい。愛しい、ななせ。
無理だ。隠せない。なかったことになんて出来ない。
「大好き…」
ななせが好き。ななせが欲しい。ななせだけが欲しい。
もう頭も身体も心の中も。ななせでいっぱいでななせだけしか入れない。
ななせがすごく優しく瞳を緩めて、腕の中に私を閉じ込めると深い深いキスをした。
引き寄せられてぴったり張り付いた身体からななせの体温が伝わる。ななせの匂いに包まれる。自分が溶けて溢れて全力でななせを求める。
「な、…なせ。うつる、よ…」
ほんの一瞬、ななせが離れた隙になけなしの理性が戻ってきて、ななせを伺い見ると、ななせはちょっと楽しそうに片頬を上げた。
「俺、薬飲んだし」
「声、出なくなったら、…」
「いいよ。俺歌わないから」
「歌ってたよね…?」
「お前が居たからな」
それって、どういう、…
意味なのか聞きたかったのに、開きかけた唇はななせの性急な舌に塞がれた。
絡めとられて絡み合って蕩けて溶かされて、混ざって交わって潤んで潤って、溢れ出して、もう何も考えられない。
ななせの熱に浮かされるまま、気が付いたら身にまとうものがなくなって素肌にななせを感じていた。
「ななせ、…」
「…無理。抱かせて」
下からななせを見上げたら、泣きたいくらい綺麗なななせが切なさと愛しさの入り混じった瞳を揺らして私を見ていた。
「俺がこの間、どんな思いでお前抱いたと思ってんだよ?」
どんな、…
「…ホントむかつく。病み上がりとか知らねえから」
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