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番外編.もう少しだけあと少しだけ
04.
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「な、…なせ」
夕食に切り干し大根の春巻きを食べた後、寝静まってから、約束通りつぼみを食べた。何度目かに弾け飛んだあと、疲れ果てて眠るつぼみを一ミリの隙間もないほど密着したまま抱きしめる。
「はる、…まき」
無意識に俺に擦り寄ると、つぼみが薄桃色に腫れた唇を誘うように開いて何かつぶやく。その唇をそっと舐めてから塞ぐと、繋がったままの身体がねだるように俺を締め付けた。
本当は。
俺は代わりなんだと分かっている。
つぼみは、一途にずっと想い続けている人がいて。でも、そいつにもずっと好きな奴がいて。どこまでも噛み合わずに俺のところに落ちてきた。
単純で真面目でバカなつぼみは、つけ込んだ俺に義理立てて創くんとできなかったらしいけど、一度でも経験したらもう戻ってこないと思う。
本当に、本気で、心底愛しいと思う相手は、何もかもが全く違うということを、
俺は最近知った。
でも。
「俺さ、…」
柔らかく濡れて吸い付くように心地よいつぼみの素肌に口づける。俺が触るとつぼみの全身は艶やかに赤く色づき、すぐに潤って、永遠に閉じ込めておきたいほど甘く素直に俺に応える。
「…切り干し大根の春巻き、特別好きなわけじゃないんだけど」
嬉しそうに連日春巻きを揚げ続けているつぼみには、まだ言えずにいる。
本当に伝えたいことは、上手く言葉に出来ない。
「なな、せ、…」
耐えかねてねだるように甘く震えるつぼみを緩やかに揺らして、
「…ごめんな」
言葉ごとつぼみを絡めとって忘我の極みに溶け出す。
その時が来たら。きっと手を離すと誓うから。
今はまだもう少しだけ。俺の腕の中にいて。
こんなに何もかもを譲り受けてしまった後で、手離さなきゃいけないなんて、喪失感は想像もつかない。
多少距離を置いたり、酒に溺れたりしたくらいでは、到底再起できない。
知らなかった頃には戻れない。でも。手に入れなければ良かったとも思わない。
『後悔するなよ』
どうせ失くさなきゃいけないものなら初めから手に入れなければいいなんて思えない。今、この瞬間は嘘じゃない。
心ごと身体ごと、俺の全てでつぼみを抱きしめる。
マーキングなんてしたって、俺につぼみは縛れない。
つぼみの幸せを壊すくらいなら、迷いなく自分を抹消する。
「ななせ、だいすき、…」
満足そうなつぼみに口づける。
世界一残酷で愛しい。かけがえのない俺の宝物。
夕食に切り干し大根の春巻きを食べた後、寝静まってから、約束通りつぼみを食べた。何度目かに弾け飛んだあと、疲れ果てて眠るつぼみを一ミリの隙間もないほど密着したまま抱きしめる。
「はる、…まき」
無意識に俺に擦り寄ると、つぼみが薄桃色に腫れた唇を誘うように開いて何かつぶやく。その唇をそっと舐めてから塞ぐと、繋がったままの身体がねだるように俺を締め付けた。
本当は。
俺は代わりなんだと分かっている。
つぼみは、一途にずっと想い続けている人がいて。でも、そいつにもずっと好きな奴がいて。どこまでも噛み合わずに俺のところに落ちてきた。
単純で真面目でバカなつぼみは、つけ込んだ俺に義理立てて創くんとできなかったらしいけど、一度でも経験したらもう戻ってこないと思う。
本当に、本気で、心底愛しいと思う相手は、何もかもが全く違うということを、
俺は最近知った。
でも。
「俺さ、…」
柔らかく濡れて吸い付くように心地よいつぼみの素肌に口づける。俺が触るとつぼみの全身は艶やかに赤く色づき、すぐに潤って、永遠に閉じ込めておきたいほど甘く素直に俺に応える。
「…切り干し大根の春巻き、特別好きなわけじゃないんだけど」
嬉しそうに連日春巻きを揚げ続けているつぼみには、まだ言えずにいる。
本当に伝えたいことは、上手く言葉に出来ない。
「なな、せ、…」
耐えかねてねだるように甘く震えるつぼみを緩やかに揺らして、
「…ごめんな」
言葉ごとつぼみを絡めとって忘我の極みに溶け出す。
その時が来たら。きっと手を離すと誓うから。
今はまだもう少しだけ。俺の腕の中にいて。
こんなに何もかもを譲り受けてしまった後で、手離さなきゃいけないなんて、喪失感は想像もつかない。
多少距離を置いたり、酒に溺れたりしたくらいでは、到底再起できない。
知らなかった頃には戻れない。でも。手に入れなければ良かったとも思わない。
『後悔するなよ』
どうせ失くさなきゃいけないものなら初めから手に入れなければいいなんて思えない。今、この瞬間は嘘じゃない。
心ごと身体ごと、俺の全てでつぼみを抱きしめる。
マーキングなんてしたって、俺につぼみは縛れない。
つぼみの幸せを壊すくらいなら、迷いなく自分を抹消する。
「ななせ、だいすき、…」
満足そうなつぼみに口づける。
世界一残酷で愛しい。かけがえのない俺の宝物。
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