セカンドラブ ー30歳目前に初めての彼が7年ぶりに現れてあの時よりちゃんと抱いてやるって⁉ 【完結】

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「じゃ~ん、3番が右隣にキス!」

恐ろしいくじ引きをさせられた上、恐ろしい宣告が下る。

3番、って。

「あ、3番…」

柚くんがくじの札を広げる。

右隣、って。

「いや~~~ん! 清水葉留絵、キス待ち顔披露させていただきま~す」
「いよっ、ハルエちゃ~ん」
「…てか、絶対仕込んだよな」

柚くんが清水さんにキスする。
心臓がおかしな動きを始めた。

ただのゲームでも。お遊びでも。そんなの。

そんなの見たくない。

目と耳を塞いでテーブルにうつむいた。
隣で柚くんが動く衣擦れの音がかすかに聞こえて。

「あ、間違えた」

わずかに頭を引き寄せられたかと思うと、こめかみに柔らかい唇が触れるのを感じた。

「やだぁ~、ひろやン。間違えちゃったとか、か・わ・い・い~~」
「おいこら、藤倉。こっちは完全な噛ませ犬かい!」
「…自業自得でしょう」

身体中の血液が、顔に集中した。
こめかみの感触がリアルで、火がついたように熱い。

今、…今、…っ

頭が爆発して涙腺が壊れた。

「…主任? 大丈夫ですか?」

周りの喧騒は何も聞こえない。目を開いているのに何も映らない。

「お、…」

自分が何を言って、どう動いたのかも定かではないけれど。

「お手洗いに行ってきます!」

どうにかその場を離れた。

「すみません、ビールお代わり! 瓶で!」
「もお~、橘ちゃんたら、乙女」
「経理課の葵上は永遠の処女ですからね。ちゃんと謝れよ、藤倉」
「……じゃねえし」

お手洗いの壁に頭を打ち付けた。

落ち着け、落ち着け、あおい。
ゲーム! ゲームだから!

だけど。
柚くんのあの長い綺麗な指が私の頭に触れて、
柚くんのあの桜色の柔らかい唇が確かに私の、…

あああああーーーーーっ

どうしよう、死ぬ。
血管が切れて死んでしまう。

ほんの一瞬だったけど、リアルな感触が繰り返し脳内再生されて
まともに息ができない。

トイレでかれこれ30分は悶絶してからようやくドアを開けると、
待っていたらしき女の人がいい加減にしろ、酔っ払いという顔で見てきた。

そうだ、宴会の余興。酔っ払いの戯れ。

…何の意味もない。

水道の水をかぶってようやく顔のほてりが覚めた。
泣いたりかぶったりでもう化粧がぐちゃぐちゃだ。

あの場を収めるための、…無意味なキス。

洗面台の鏡には、疲れた顔のあか抜けないオバサンが映っていて
成長のない自分に嫌気がさした。

ため息をつき、自分を奮い立たせてトイレから出ると、通路に柚くんが立っていた。

ヤバい、泣きそう。

今、柚くんの顔を見たら、せっかく修復したメンタルが速攻で崩壊してしまう。

身体を動かすことが出来ず、通路の途中で立ち止まる。まともに前を向けず、床に視線を落とす。後からトイレに入った女の人が、この酔っ払い迷惑オンナ、と言わんばかりに足音荒く私の横を抜けていった。

柚くんの長い脚がゆっくりと私に近づく。

無理…っ

硬く目を閉じて無意識に息を止めると、

むに。

両頬を指でつままれた。

恐る恐る目を開けると、すぐ目の前に柚くんの綺麗な顔がある。

「…ばか」

柚くんのきれいな瞳が真っすぐに私を見ていた。

柚くんは軽く私の頭を小突くと、背中を向けて先に戻って行く。

バカ、…だよね。

柚くんの背中が涙でにじむ。

柚くんの言葉が甘く聞こえてしまう。
柚くんの手が優しく感じてしまう。
柚くんのキスに意味を探してしまう。

ホント、バカだよね。
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