セカンドラブ ー30歳目前に初めての彼が7年ぶりに現れてあの時よりちゃんと抱いてやるって⁉ 【完結】

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歓迎会はお開きになり、若干飲み過ぎたきらいのある清水さんを谷くんと抱えながら、お店を出た。

駅に向かって歩き出そうとすると、暗がりの中からスタイルの良い女の子が近づいてくる。

「…紘弥。来ちゃった」

抜群のスタイル。可愛らしい声。ピンク色の頬。

無意識に足がすくんだ。
美雨さん、だった。

「えええーっ、もしかして、藤倉美雨ちゃんじゃないですかぁ!?」

清水さんが酔いも手伝って素っ頓狂な大声を上げる。

「え、誰ですか、清水さん」

「知らないの、谷。藤倉財閥のご令嬢。超絶美人な一人娘で、モデルもやってんじゃん。確か最近電撃結婚で話題になった」

美雨さんが愛想のいい笑顔をこちらに向けた。

「こんにちは。紘弥がいつもお世話になっています」

美雨さんが動くと、ふわり、と甘いバニラのような香りが漂う。

「ひろや…、って、ああーーーっ!」

再び絶叫する清水さん。

「藤倉くん、あんたがもしかして美雨ちゃんの結婚相手―――――っ!?」
「あ、いや、…あー、まあ、…」
「ね、紘弥急いで。おじいちゃんが、…」

何か話が行き交っていたけれど、耳を塞いだ。
美雨さんといる柚くんを見たくなくて、その場を離れた。

…わかってたのに。

ホント、バカだよね。

「…橘?」

先に帰らせてもらおうと背中を向けると、優しい声が私を拾った。

「心配で、様子見に来た」

突如として現れた桐生さんは、私の姿を認めると目尻に優しい笑みを刻み、慣れた手つきで私の頭をなでた。

「来て良かったよ。…帰ろう?」

桐生さんの温かい腕が私の肩を抱き、そっと促す。

「あああ―――っ! あの2人、やっぱり付き合ってるんじゃ、…っ」
「もう、黙れよ清水」

またもや清水さんの大絶叫が聞こえたけれど、取り繕う余裕はなかった。

「橘、泣きそうな顔してる」

桐生さんが守るように私の頭を引き寄せた。

大きな手。頼れる腕。支えてくれる身体。
低く響く声。端正な横顔。ほのかにくゆる匂い。

「俺は、絶対離さないよ」

桐生さんの低音ボイスが弱った心に甘く染みた。

眠らない街のざわめき。
夜空を照らすビルの明かり。
車道を過ぎゆくテールランプ。
まだ肌寒い初春の風。

そのまま本当に、一晩中、桐生さんは私を離さなかった。

「泣いていいよ」

桐生さんのたくましい腕が、優しい指と唇が私を甘やかす。

「忘れられない奴がいてもいいよ」

桐生さんの腕の中で、柚くんを想った。
桐生さんに甘く溶かされるたび、柚くんが募った。

痛いほど思い知らされた。

柚くんがいい。柚くんじゃなきゃ嫌だ。

溢れるのは涙ばかりで声にならない。
どんなに叫んでも、もう届かない。 
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