セカンドラブ ー30歳目前に初めての彼が7年ぶりに現れてあの時よりちゃんと抱いてやるって⁉ 【完結】

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柚くんの食えない上司 (後編)

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大根サラダ、薬味奴豆腐、鶏肉パン粉焼き、アスパラベーコン、枝豆、レンコンチップス、タコとトマトのマリネ、揚げワンタン、春雨スープ、鯛茶漬け、…

「柚くん! 美味しい! 美味しい!」
「ホント美味しい、柚くん」

…だから、柚くん言うなよ。

まあ。
あおいが幸せそうな顔して美味しそうに食べているのを見ると、他のことはどうでも良くなってしまうから、…ホントこいつずるいよな。

「…柚くん。私、ちゃんと待ってるからね」

あおいと桐生がほぼ完食して、ほろ酔い気味になってきたところで、あおいが急に真面目な顔で俺を見てきた。

「桐生さんに聞いた。NY行くんでしょ?」

アルコールでほのかに頬を染めて、ちょっと拗ねたように唇を尖らせている。

「言ってくれれば良かったのに」

ちょっと待て。
『待ってる』ってなんだよ。

早くて3年。基本5年。
離れても平気なのか。

「…連れてくから」

このクソばかタヌキ!

あおいをつかまえて、腕の中に閉じ込めた。

最初から悩む余地なんかなかったんだな。
平気じゃないのは、俺の方。

「え、柚くん。…嬉しいけど、でも、3日、…でしょ?」

俺の腕の中でもごもごつぶやきながら、まんざらでもなさそうにあおいが顔を赤くしていた。

「…行くけど。全然行くけど。むしろ行かせて下さいだけど」

は? 3日?

「ホント甘えん坊だよね、柚くん」

桐生がものすごくニヤニヤしながらこっちを見ている。

おい、桐生…!

「いや、だってさ。橘が泣きそうな顔して相談してくるから。来月のNY出張のことかと思って」

桐生がわざとらしく両手を上げて弁解する。

来月、現地視察で3日間のNY出張。
初耳なんだけど。

「あー、 海外赴任ね。 まあ2、3年後に考えれば。それまで一緒に視察出張して、人脈やら習慣やらお互い慣れとけば」

来年じゃないのかよ。

「一緒に?」

おずおずと顔を上げるあおい。

「赴任は夫婦の問題だから。橘が望むなら一緒に行けるように口添えするよ?」

「わぁ、ありがとうございます!」

「任せといて」

…チョロいな、おい。

あおいがちょっと嬉しそうに「ふうふ」と繰り返して顔を埋めてきた。

「良かったね、柚くん。私、どこでも付いてく」

あ、…そう。
それは、…どうも。

桐生を見ると、しれっと、

「だって柚くんドSだから。橘泣かされてるじゃん?」

にこやかな笑顔で見返してきた。

なにこのおっさん。

「桐生チーフ。しばらく俺んち、出禁で」

「えー、俺、柚くん好きなのに。なんならプロポーズしたのに」

されてないから。

「ダメです! 桐生さんでもダメです! 柚くんはあげません!」

あおいが酔いも手伝ってか、慌てて俺にぎゅうぎゅう抱きついてきた。

「じゃあ、橘にする」
「…え」

固まるなよ、酔っ払いタヌキ。

あおいを腕の中に再度閉じ込める。

お前はここでおとなしくしとけ。

「嫁にきてくれないなら、婿に行こうかな」
「ばかが混乱するからやめろ」

桐生は楽しそうに笑っている。
多分、これが桐生の優しさなんだろう。

海外赴任も力が抜けた。

「一緒に寝た仲じゃん」
「うるせえな」
「柚くんの照れ屋さん」
「マジ出禁な」

ちょっと変態で一途で食えないおっさん。

まあ。

…そんなに、嫌いじゃない。
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