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06.美し過ぎる光の剣士が現れる①
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その時。
「キャアアアアア――――っっ‼」
空を切り裂く禍々しい悲鳴が響き渡った。
アカリたちが今いる中庭からほど近い講堂の辺り。
とっさに、最近、ここ東都第九高等学校で立て続けに起こっている猟奇事件が頭をよぎる。
すなわち。
『講堂のトイレで女子生徒が倒れていて』
『見た目は綺麗なんだけど』
『病院に連れて行ってみると、臓器が全部無くなってるんだって』
という事件。
今月に入って三件。未解決のまま世間を騒がせている。
「あっ、……おいっ、アカリっ‼」
どさくさに紛れて真田の手からミニブタを取り返し、ポケットに突っ込むと講堂に向かって走った。
講堂が妖気に包まれている。
そんな気がした。
足を踏み入れたら何かに取りつかれて、後戻りできない……――
一瞬ためらってから、講堂内に立ち入り、側面に設置されているトイレに向かう。
トイレ入り口付近に水溜まりが出来ていて、それが徐々に広がっていた。
洗面台の水が出しっぱなしなんだろうか。
水溜まりの中に無数の悪意がうごめいているようで、不気味さを感じる。
極力水に触れないようにつま先立ちをしてドアを開け、トイレの中に進むと、いくつかある個室の扉は全て開いていた。その中の一つに人影がある。
アカリと同じ一年生の女子生徒。名前は確か、……加藤さん。
力が抜けたように床にへたり込み、ドアにもたれかかっている。こちらに向けた瞳は瞳孔が開いているようだ。
悲鳴を上げた状態で固まったかのように口は開けたまま、心なしか痙攣しているように見える。
「か、…とう、さ……」
声を出せたかどうかわからない。
絶望的な恐怖と悪寒。戦慄が込み上げ、足が竦んで動けない。
四件目。
狙われるのは九高の女子生徒。しかも一年生ばかり。
背格好。髪型。名前。ちょっとした印象。
気のせいかもしれない。気のせいに違いない。
けれど。被害者はそろってどこかアカリに近く。
今も、次第に近づいてくる。
そんな気がする。
一人目はC組の木下さんだった。二人目はA組の小金さん。三人目はE組の兼田さん。
そして……
……D組の加藤さん。
猟奇事件が発生してから、生徒たちの間で密やかに次のターゲットが囁かれていた。
九高の女子生徒で一年生。小柄やせ型。素朴な見た目。そして、カ行の名前……
次は恐らく。D組の加藤か、F組の風間か、……G組の草村。ではないか、と。
なんで。どうして。
意味のない疑問符だけがぐるぐる頭を回る。
頭の裏側がガンガンして、吐き気すら込み上げてくる。
そんなアカリをあざ笑うかのように、加藤さんの開いたままの口から、ぬるりと何かが這い出し、ぬるぬると濡れた床を滑るように近づいてきた。
一メートル、二メートル、……長い。
個室からトイレのドア口に立つアカリのところまで、途切れずに長く長く続いている。
……蛇?
全体は白く、赤く光る目玉とチラチラと細長い血のような舌を覗かせている。
ボコ、……ボコボコ……
アカリの周りにある濡れた床の水たまりから泡が沸き出した。泡の中に無数の赤い目が光ったかと思うと、目の前に迫りくるのと同じような蛇が、音もなく大量に浮かび上がってきた。
「い、……いや……っ‼」
気味の悪さと極限の恐怖に囚われて、金縛りにあったかのように動けない。
「キャアアアアア――――っっ‼」
空を切り裂く禍々しい悲鳴が響き渡った。
アカリたちが今いる中庭からほど近い講堂の辺り。
とっさに、最近、ここ東都第九高等学校で立て続けに起こっている猟奇事件が頭をよぎる。
すなわち。
『講堂のトイレで女子生徒が倒れていて』
『見た目は綺麗なんだけど』
『病院に連れて行ってみると、臓器が全部無くなってるんだって』
という事件。
今月に入って三件。未解決のまま世間を騒がせている。
「あっ、……おいっ、アカリっ‼」
どさくさに紛れて真田の手からミニブタを取り返し、ポケットに突っ込むと講堂に向かって走った。
講堂が妖気に包まれている。
そんな気がした。
足を踏み入れたら何かに取りつかれて、後戻りできない……――
一瞬ためらってから、講堂内に立ち入り、側面に設置されているトイレに向かう。
トイレ入り口付近に水溜まりが出来ていて、それが徐々に広がっていた。
洗面台の水が出しっぱなしなんだろうか。
水溜まりの中に無数の悪意がうごめいているようで、不気味さを感じる。
極力水に触れないようにつま先立ちをしてドアを開け、トイレの中に進むと、いくつかある個室の扉は全て開いていた。その中の一つに人影がある。
アカリと同じ一年生の女子生徒。名前は確か、……加藤さん。
力が抜けたように床にへたり込み、ドアにもたれかかっている。こちらに向けた瞳は瞳孔が開いているようだ。
悲鳴を上げた状態で固まったかのように口は開けたまま、心なしか痙攣しているように見える。
「か、…とう、さ……」
声を出せたかどうかわからない。
絶望的な恐怖と悪寒。戦慄が込み上げ、足が竦んで動けない。
四件目。
狙われるのは九高の女子生徒。しかも一年生ばかり。
背格好。髪型。名前。ちょっとした印象。
気のせいかもしれない。気のせいに違いない。
けれど。被害者はそろってどこかアカリに近く。
今も、次第に近づいてくる。
そんな気がする。
一人目はC組の木下さんだった。二人目はA組の小金さん。三人目はE組の兼田さん。
そして……
……D組の加藤さん。
猟奇事件が発生してから、生徒たちの間で密やかに次のターゲットが囁かれていた。
九高の女子生徒で一年生。小柄やせ型。素朴な見た目。そして、カ行の名前……
次は恐らく。D組の加藤か、F組の風間か、……G組の草村。ではないか、と。
なんで。どうして。
意味のない疑問符だけがぐるぐる頭を回る。
頭の裏側がガンガンして、吐き気すら込み上げてくる。
そんなアカリをあざ笑うかのように、加藤さんの開いたままの口から、ぬるりと何かが這い出し、ぬるぬると濡れた床を滑るように近づいてきた。
一メートル、二メートル、……長い。
個室からトイレのドア口に立つアカリのところまで、途切れずに長く長く続いている。
……蛇?
全体は白く、赤く光る目玉とチラチラと細長い血のような舌を覗かせている。
ボコ、……ボコボコ……
アカリの周りにある濡れた床の水たまりから泡が沸き出した。泡の中に無数の赤い目が光ったかと思うと、目の前に迫りくるのと同じような蛇が、音もなく大量に浮かび上がってきた。
「い、……いや……っ‼」
気味の悪さと極限の恐怖に囚われて、金縛りにあったかのように動けない。
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