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feel.emotion
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「おめでと、澪」
「澪さん、めっっっちゃ、きれい」
紫陽花が優雅に咲き誇る雨上がりの朝。虹色の雫に囲まれて6月の花嫁が誕生した。
「だっろ~? やっぱり俺の澪は世界一綺麗だよなっ‼」
隣には梅雨時の雨をも晴らす太陽スマイル。
「…えーたは、せかい2だけどね」
「おい、斗哉。世界二って何だよ?」
「だって、いちばんカッコいいのはパパだし」
「…まーなぁ。黎なぁ。まあ、あいつ、俺様の義弟だしな」
今日は瑛多くんと澪さんの結婚式。
凛としたカサブランカのブーケがよく似合う、純白ウエディングドレス姿の澪さんは、瑛多くんじゃなくても自慢したくなるパーフェクトな美しさだ。瑛多くんはもちろん、可愛いタイシード姿の斗哉くんも喜びに溢れてる。親族だけの小さな教会式だけど、穏やかな温かさと幸せマスカットな香りが弾けている。
開発中の新薬ANを巡る一連の事件で、犯人が逮捕されてから1か月が経っていた。
生活に必要な手続き諸々を済ませた後、私は黎くんと一緒にマンションを借りて暮らし始め、澪さんのマンションには瑛多くんが越してきた。
「バカじゃないの。ボクのパパはえーたでしょ」
「え、…」
「れいくんは、ゆののパパになるんだよ?」
「…え。それは、…そうなの?」
「しょうがないからゆずってあげるんだ。ゆのは、なきむしだからね」
「斗哉、お前、最高にカッコいいなっ‼」
もの凄く偉そうにふんぞり返っている斗哉くんを、感極まった瑛多くんがぎゅうぎゅうに抱きしめ、
「くるしいよ、…パパ」
斗哉くんは文句を言いながらもされるがままになっていた。
何だかじんわりして、涙が滲む。本当に私、泣き虫だな。こんな簡単に泣くキャラじゃなかったんだけど。
「俺、お前のパパでいいの? 奥さん」
この人が、泣いてもいいって言ってくれたから。
私の隣に立っていた黎くんが、くすくす笑って私の左手を取った。先日、黎くんが作ってくれたばかりの指輪が薬指にはまっている。ブレスレットとお揃いのデザインで、対のリングが黎くんの薬指にある。
「ダメ、…です」
「なんで敬語?」
黎くんの長くて綺麗な指が私の指の間に絡まった。
『お前のこと、一番近くで見ていたい。お前に何があっても、当たり前に俺が一番に知ってたい』
夢みたいに素敵な隠れ家風旅館から戻って、スマホなどの生活必需品を揃えたり、引っ越しの手続きをしたりするのと同じくらいの勢いで、
『結婚しよ』
黎くんが婚姻手続きを終えていた。
『早くない⁉』
『もう、待てナシ』
そんな悪戯めいた可愛い過ぎる笑顔を見せられて、引き留められる人間がこの世の中にいると思いますか。
完敗です。黎くん。無敵。
「ゆのちゃんも一緒に式すれば良かったのに」
温かく厳かで神聖な挙式の後、澪さんがブーケを私にくれた。
実は澪さんには、じゃあ一緒に式しようよと誘ってもらったわけですが。
いやいやいや。
急展開過ぎるしね。こんな美し過ぎる花嫁の隣に立つ勇気もないしね。
「そんな、勢いで挙式とかしねえよ。ちゃんと準備したいもんな、ゆの」
…うん。
なんか勢いだけで入籍した黎くんが真顔で言い放っていた。
「澪さん、めっっっちゃ、きれい」
紫陽花が優雅に咲き誇る雨上がりの朝。虹色の雫に囲まれて6月の花嫁が誕生した。
「だっろ~? やっぱり俺の澪は世界一綺麗だよなっ‼」
隣には梅雨時の雨をも晴らす太陽スマイル。
「…えーたは、せかい2だけどね」
「おい、斗哉。世界二って何だよ?」
「だって、いちばんカッコいいのはパパだし」
「…まーなぁ。黎なぁ。まあ、あいつ、俺様の義弟だしな」
今日は瑛多くんと澪さんの結婚式。
凛としたカサブランカのブーケがよく似合う、純白ウエディングドレス姿の澪さんは、瑛多くんじゃなくても自慢したくなるパーフェクトな美しさだ。瑛多くんはもちろん、可愛いタイシード姿の斗哉くんも喜びに溢れてる。親族だけの小さな教会式だけど、穏やかな温かさと幸せマスカットな香りが弾けている。
開発中の新薬ANを巡る一連の事件で、犯人が逮捕されてから1か月が経っていた。
生活に必要な手続き諸々を済ませた後、私は黎くんと一緒にマンションを借りて暮らし始め、澪さんのマンションには瑛多くんが越してきた。
「バカじゃないの。ボクのパパはえーたでしょ」
「え、…」
「れいくんは、ゆののパパになるんだよ?」
「…え。それは、…そうなの?」
「しょうがないからゆずってあげるんだ。ゆのは、なきむしだからね」
「斗哉、お前、最高にカッコいいなっ‼」
もの凄く偉そうにふんぞり返っている斗哉くんを、感極まった瑛多くんがぎゅうぎゅうに抱きしめ、
「くるしいよ、…パパ」
斗哉くんは文句を言いながらもされるがままになっていた。
何だかじんわりして、涙が滲む。本当に私、泣き虫だな。こんな簡単に泣くキャラじゃなかったんだけど。
「俺、お前のパパでいいの? 奥さん」
この人が、泣いてもいいって言ってくれたから。
私の隣に立っていた黎くんが、くすくす笑って私の左手を取った。先日、黎くんが作ってくれたばかりの指輪が薬指にはまっている。ブレスレットとお揃いのデザインで、対のリングが黎くんの薬指にある。
「ダメ、…です」
「なんで敬語?」
黎くんの長くて綺麗な指が私の指の間に絡まった。
『お前のこと、一番近くで見ていたい。お前に何があっても、当たり前に俺が一番に知ってたい』
夢みたいに素敵な隠れ家風旅館から戻って、スマホなどの生活必需品を揃えたり、引っ越しの手続きをしたりするのと同じくらいの勢いで、
『結婚しよ』
黎くんが婚姻手続きを終えていた。
『早くない⁉』
『もう、待てナシ』
そんな悪戯めいた可愛い過ぎる笑顔を見せられて、引き留められる人間がこの世の中にいると思いますか。
完敗です。黎くん。無敵。
「ゆのちゃんも一緒に式すれば良かったのに」
温かく厳かで神聖な挙式の後、澪さんがブーケを私にくれた。
実は澪さんには、じゃあ一緒に式しようよと誘ってもらったわけですが。
いやいやいや。
急展開過ぎるしね。こんな美し過ぎる花嫁の隣に立つ勇気もないしね。
「そんな、勢いで挙式とかしねえよ。ちゃんと準備したいもんな、ゆの」
…うん。
なんか勢いだけで入籍した黎くんが真顔で言い放っていた。
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