拾えるものなら全部拾いたい

１

「俺高校生にもなって何してるんだよ」
　涙を流しながら、思わず声を出してしまった。
　今までのの出来事を想像するだけで過去の自分に殺意が湧いてきた。
自分なんてこの世ではもういらないのではないかと思い、マンションの5階からとび降りようとしたその時、、、、

「あんたはまだ死ぬべき人間じゃない」

そんな言葉が聞こえた気がした。優しくて暖かいような声だった。
　俺はその時を境に外出するようになった。しかし高校にはいくことはなかった。
俺はなぜか会いたい人がいた。誰に会いたいのかは何も知らずに。

今日は東京に行くことにした。俺は宮城県の仙台市に住んでいるためしばらく『外出します』という置手紙を残して家を出た。
しかし俺はこの家には帰りたくはなかった。なぜなら自分を信じてくれないからだ。
　そもそも東京に行きたい理由は２つあった。1つは家出をして１人で暮らすこと。もう1つは会いたい人に会うためだ。
糸が東京まで繋がっている気がした。だからそこに彼女がいる気がした。

朝の6時くらいに新幹線に乗った。7時くらいには東京につくことができた。
東京についたものの登校する学生の少なさに僕は驚いた。
　なぜ少ないのかを考えてみた。そういえば今日から夏休みだったことに気がついた。

　東京来てからのことはもう決めていた。最初はバイト探しだ。
スマホがあるためそんなに困難なことではないと思っていた。しかし見つかる頃にはもう日が暮れていた。
歩きすぎて自分の足が棒のように感じられた。
急いで入ったネットカフェで寝泊まりした。
　結局見つかったバイトはなかった。

　午前はバイト探しをした。
　そして、俺は午後から人探しをしていた。場所は不思議なことになんとなく分かっていた。
なんとなく歩いていたその時、1人女の子が横断歩道で車にひかれそうになっていたので、その子の手をとっさに引いた。
まるで何かのアクション映画のようだった。

「ありがとうございます」

彼女の声を聞いて俺は驚いた。あの時の声にそっくりだった。彼女はポニーテールで俺と同じくらいの年齢だった。

「いえいえ、これくらい普通のことだよ」

俺はそもそも会うことが目的だったから、そう言って帰ろうとしたその時、俺は彼女に手を引かれた。

「ちょっと待って、これから空いてたりするかな」

彼女は顔を真っ赤にしてしてそういった。僕は少しばかり驚いていた。
なぜなら彼女は俺に恋をしているのではないかと思ったからである。しかし、俺は1度ももてたことがない。
つまり、彼女が俺に恋をするはずなんてないと思った。
　そして。俺は彼女の追いかけに対し

「空いてるよ」

そう答えた。