氷の中で

雲椛湊己

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目覚め

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僕は、目覚まし時計の音で飛び起きた。

長い夢を見ていた様な気が、していたが、本の八時間程しか経っていなかった。

現在、二〇一二年一一月二九日木曜日、午前六時三〇分。

此れが、邯鄲の枕って言うのだろうね。

僕が、美悠の恋人の筈が無いのに、本当に可笑しな出来事だった。

僕は、制服に着替えてリビングに向かった。

母さんが、既に机にお弁当と朝食を並べていた。

僕は、左の方の椅子に座った。

ルヴィンが、後からやって来て僕の前の席に座った。

「今日は、早いんだね。」

「今日はな、美悠と一緒に登校するんだよ。」

ルヴィンは、嬉しそうな顔で言った。

そう、美悠は、ルヴィンの彼女なのだ。
二年程前に付き合い出した。

美悠に、何故付き合ったかを訊ねると、イケメンだからだった。
僕でも良かったと美悠は、言っていた。
正直、悔しかった。

委員会が、何故かランダムに選んでいるのにずっと一緒で、話が合うし、可愛いし…こんな子そういない。
もっと早くに想いを伝えていれば良かったのに。

執着だと思い込む前に。

「へえ、僕も一緒に行こうかな。」

「…まあ、良いけど、邪魔するなよ。」

朝食を食べ終えると、僕は鞄を持って靴を履いた。

ルヴィンもリュックサックを背負って靴を履いた。

「行って来ます。」

一緒に玄関を出た。

外には美悠が立っていた。
ルヴィンは、真っ先に美悠の方へ走って抱き付いた。

「おはよ。」

「お早う。」

美悠は、和やかにしていた。

「お早う、美悠。」

僕は、美悠の顔を覗き込んで言った。

「お早う御座います。」

美悠は、にっこり笑った。

「アレンさんって、もう、何処の大学に行くか決まっていますか?」

「一応、エスカレーターを希望だけど、大学入って七月位から、イギリスに留学する予定だよ。」」

「ルヴィンさんとは、違う大学に行くんですね。」

「アレンは、俺と違って、父さんの後を継がなくて良いし、好きな事出来るんだよ。」

ルヴィンは、皮肉を込めた言い方をした。

此の様な言い方をされると美悠と僕を引き離そうとして、好きでもないのに態と付き合っているのではないかと思えてくる。

僕は、知っている、ルヴィンは従姉妹のエミルが好きで裏で付き合っていると言う事実を。

ルヴィンと途中で別れた。

校門に着くと美悠は、僕の右袖を引っ張った。

「ルヴィンさんって他に好きな人いますよね。」

気付いていたのだろうか。

エミルの事は、知らない筈だ。

「さあ、如何なんだろうね。」

取り敢えず誤魔化した。

「私、分かるんです。私も他に好きな人がいるので。」

他に好きな人って…凄い気になるが、触れないでいよう。

仕方無い、言ってしまうしかないよね。

「イギリスにね、従姉妹がいるんだ。彼女は今、中一、日本では小六になるね。」

「ルヴィンさんってロリコンなんですね。」

美悠は、目を見開いた。

「そうなるね。」

「別れる事も出来るって事ですね。」

美悠は、意味深な事を言って靴箱の方に走って行った。

美悠が去った後、僕は同級生に囲まれた。

「兄貴の彼女を守る騎士君。」

肩をポンと叩かれた。

「今日も格好良いね。」

戯けながら言っていた。

僕は、クスッと笑った。

「唯斗の方が、格好良いよ。あー。白鳥と良い感じなんだろー?」

唯斗は、照れて頭を掻いた。

「中庭で、大声で叫んだんだろ、俺の彼女になって下さい!って。」

「らしいね。」

僕達は、笑った。

「笑うなよー。」

唯斗は、顔を真っ赤にしていた。

「そう言えばさ、アレンの兄貴も同じ様な事してたよな。」

僕は、少しドキッとした。

「卒業式の時ね。僕、ビックリしたよ。」

「其れには、俺も驚いた。」

「唯斗とは、格好良さの格が違うもんな。花束持ってたぞ。」

僕は、未だにあの出来事を今起こっているかの様に鮮明に思い出す。

皆にとっても印象的な事であったらしい。
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