最強剣士異世界で無双する

夢見叶

文字の大きさ
69 / 162
セレモニア王国編 第3章王都奪還

第68話 VSエメル 1

しおりを挟む
 さっきまで俺達に気づいていなかった魔族達がこちらに向かってきた。

 それに、さっきまで二階の奥の部屋にあった二つの気配の内一つがこちらへと向かっていた。

「シェリー少しまずいことになりそうかも」

「まずいことって何なのよ」

 声が少し震えている。

「多分城の中にいる魔族の殆どがここに向かっている」

「それ少しじゃなくてかなりやばいじゃないの。早く先に進みましょう」

「それも出来ない。多分前から幹部の一人がこっちに向かってきてる」

「戦うしかないわね」

「ああ、そうなるな」

 お互いに覚悟を決めて魔族と戦うことにした。

 それからすぐに周りを魔族に囲まれた。

「分っていたけどなかなか中数だね」

 軽く周りを見てみると十や二十は軽くいる。そして、

「あらあら、お困りの用ですね人間」

 目の前の階段からゆっくりと一人の魔族が降りてくる。

「ケンイチあれが幹部なの?」

「そうみたいだな。それにセシルよりも強いかもしれん」

「ウソでしょ」

「それならいいんだけどな」

 シェリーの顔が険しい物になっている。

「お前は、一体何者だ」

「私は魔族幹部のエメルですわ。どうぞよろしく」

「別に魔族なんかとよろしくしたくないけどな」

「それはこちらも同じです。ですが自分を殺した相手の名前くらいは知っておきたいのかと思いまして」

 確実になめてきている。人間と魔族では身体の能力でかなりの差がある。それにセシルが使っていた魔法無効化出来る魔法。もしエメルも使えるならかなり厳しい戦いになる。それにあの時と違って今は周りにかなりの魔族がいる。やつらがどう動くかによっても戦い方が変わってくる。

「それで私達に何の用なの!!」

「用と言うほどでもないですが、あなた方をここで殺しておこうかと思いまして」

「でも私達はあなた方と同じ魔族幹部の一人セシルを倒しているのよ。そんな簡単にはやられないわよ」

「それは楽しみですね」

 エメルは、笑みを浮かべながら言っている。だがシェリー、メインで戦うの俺なのですが。と思ってしまった。

 俺は最初から剛炎剣と氷魔剣を構えて剣に魔法反射を付与して構えた。

 だがエメルは笑みを浮かべたままである。

 俺はまず正面から切りかかってみた。剣に魔力を流して向かって行く。だがエミルにもう少しのところで剣へ流していた魔力が消えてしまった。やはりかと思いながらも攻撃を仕掛けていく。

「やはり特殊魔法の使い手か」

 その言葉を聞き体が止まってしまった。

「図星のようだな」

 動きを止めた俺を見ながら言ってくる。

「お前も知っているのか?」

「お前も? そうかセシルの奴も気づいていたのか」

 笑いながら言っている。

 仲間の一人がやられているのに一体何を考えているのか分らない。

 だが、そんな事を話していてもしょうが無い。今度は足に気を集めて高速で移動しながら攻撃を仕掛けるが避けようともしない。

 思いっきり切りかかる。エミルの体に剣が当たるが切れない。

「堅い……」

 かなり力を込めたはずなの何故切れない。

「何故みたいな顔をしてるな。何で切れないのかと」

 全てお見通しのようだ。一度エメルとの距離を取った。

「私は、魔族の中でもトップの防御力を誇っているんだ。たかが人間ごときの攻撃でどうこうなる物ではないよ」

「最悪だな」

 小声で呟きながら笑ってしまった。何がおかしかったのか分らない。ただ今の絶望的な状況を考えると笑ってしまう。

「ケンイチ何笑ってるのよ。今の状況分ってるの?」

「分ってるよ。だからもし俺に何かあったら後よろしくな」

「何かあったときって何なのよ?」

 だがそのシェリーに答えずにエメルの方を見る。

「人間そろそろあきらめたか?」

「何をあきらめるって言うのですか?」

「そうかお前バカだろ。この絶望的な状況分ってないんだろう」

「分っていますよ。あなたに俺の攻撃が通用しない。かといって逃げ場はない。どうしようもないですね」

「分っているんなら何で諦めないんだよ」

「それはまだ希望が残っているからかもしれないですね」

「その希望ってまさか今地下室に向かっているあいつらのことか?」

 そのことにも気づいているのか。

「違うよ。なんだ特殊魔法の事を知っているから魔法反射以外の魔法について知っているのかと思っていたが思い違いだったよだな」

「そう言う意味だ」

「なに、簡単な話し、お前達魔族にも知らないことがあったって事だよ」

 俺は正面から攻撃を仕掛けていく。

「ちょっ……ちょっとケンイチあんた」

 後ろからシェリーの声が聞こえた気がしたが気にせずに突っ込んでいくのだった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

自力で帰還した錬金術師の爛れた日常

ちょす氏
ファンタジー
「この先は分からないな」 帰れると言っても、時間まで同じかどうかわからない。 さて。 「とりあえず──妹と家族は救わないと」 あと金持ちになって、ニート三昧だな。 こっちは地球と環境が違いすぎるし。 やりたい事が多いな。 「さ、お別れの時間だ」 これは、異世界で全てを手に入れた男の爛れた日常の物語である。 ※物語に出てくる組織、人物など全てフィクションです。 ※主人公の癖が若干終わっているのは師匠のせいです。 ゆっくり投稿です。

攻撃魔法を使えないヒーラーの俺が、回復魔法で最強でした。 -俺は何度でも救うとそう決めた-【[完]】

水無月いい人(minazuki)
ファンタジー
【HOTランキング一位獲得作品】 【一次選考通過作品】 ---  とある剣と魔法の世界で、  ある男女の間に赤ん坊が生まれた。  名をアスフィ・シーネット。  才能が無ければ魔法が使えない、そんな世界で彼は運良く魔法の才能を持って産まれた。  だが、使用できるのは攻撃魔法ではなく回復魔法のみだった。  攻撃魔法を一切使えない彼は、冒険者達からも距離を置かれていた。 彼は誓う、俺は回復魔法で最強になると。  --------- もし気に入っていただけたら、ブクマや評価、感想をいただけると大変励みになります! #ヒラ俺 この度ついに完結しました。 1年以上書き続けた作品です。 途中迷走してました……。 今までありがとうございました! --- 追記:2025/09/20 再編、あるいは続編を書くか迷ってます。 もし気になる方は、 コメント頂けるとするかもしれないです。

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

家ごと異世界転移〜異世界来ちゃったけど快適に暮らします〜

奥野細道
ファンタジー
都内の2LDKマンションで暮らす30代独身の会社員、田中健太はある夜突然家ごと広大な森と異世界の空が広がるファンタジー世界へと転移してしまう。 パニックに陥りながらも、彼は自身の平凡なマンションが異世界においてとんでもないチート能力を発揮することを発見する。冷蔵庫は地球上のあらゆる食材を無限に生成し、最高の鮮度を保つ「無限の食料庫」となり、リビングのテレビは異世界の情報をリアルタイムで受信・翻訳する「異世界情報端末」として機能。さらに、お風呂の湯はどんな傷も癒す「万能治癒の湯」となり、ベランダは瞬時に植物を成長させる「魔力活性化菜園」に。 健太はこれらの能力を駆使して、食料や情報を確保し、異世界の人たちを助けながら安全な拠点を築いていく。

異世界帰りの少年は現実世界で冒険者になる

家高菜
ファンタジー
ある日突然、異世界に勇者として召喚された平凡な中学生の小鳥遊優人。 召喚者は優人を含めた5人の勇者に魔王討伐を依頼してきて、優人たちは魔王討伐を引き受ける。 多くの人々の助けを借り4年の月日を経て魔王討伐を成し遂げた優人たちは、なんとか元の世界に帰還を果たした。 しかし優人が帰還した世界には元々は無かったはずのダンジョンと、ダンジョンを探索するのを生業とする冒険者という職業が存在していた。 何故かダンジョンを探索する冒険者を育成する『冒険者育成学園』に入学することになった優人は、新たな仲間と共に冒険に身を投じるのであった。

【完結】悪役に転生したのにメインヒロインにガチ恋されている件

エース皇命
ファンタジー
 前世で大好きだったファンタジー大作『ロード・オブ・ザ・ヒーロー』の悪役、レッド・モルドロスに転生してしまった桐生英介。もっと努力して意義のある人生を送っておけばよかった、という後悔から、学院で他を圧倒する努力を積み重ねる。  しかし、その一生懸命な姿に、メインヒロインであるシャロットは惚れ、卒業式の日に告白してきて……。  悪役というより、むしろ真っ当に生きようと、ファンタジーの世界で生き抜いていく。  ヒロインとの恋、仲間との友情──あれ? 全然悪役じゃないんだけど! 気づけば主人公になっていた、悪役レッドの物語! ※小説家になろう、カクヨム、エブリスタにも投稿しています。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

処理中です...